2007年6月発売
かつて外資系証券会社の腕利きディーラーだった孝男は、元同僚だった冴子と十年ぶりに偶然再会した。遠い日のニューヨークでかわされた、いまだ実現していない約束。コインの裏表に託したふたりだけの運命が再び動き出した時、9・11WTCへのテロが…。著者が新境地に挑んだ、せつない大人の恋の物語。
モスクワの上流訓練学校で破壊工作技術を叩き込まれた九鬼鴻三郎は、数年ぶりに日本の土を踏んだ。秘密工作員となった彼に与えられた任務は、全身が凶器と化したアメリカ人二人の来日目的を探ることから始まる。接触の一瞬後には、生死を分かつ闘いの分水嶺が待っていた。
生きるのが辛くなった人々をやさしく迎えてくれる木戸番小屋があったーー 江戸の片すみ・澪通りの木戸番小屋に住む笑兵衛(しょうべえ)とお捨(すて)。心やさしい夫婦のもとを、痛みをかかえた人たちが次々と訪れる。借金のかたに嫁いだ女、命を救ってくれた若者を死なせてしまった老婆、捨てた娘を取り戻そうとする男……。彼らの心に温かいものが戻ってくる物語全8作。 第39回吉川英治文学賞受賞作 第一話 女のしごと 第二話 初恋 第三話 こぼれた水 第四話 いのち 第五話 夜の明けるまで 第六話 絆 第七話 奈落の底 第八話 ぐず
ついにグインは最強と謳われる闘技士ガンダルと対面した。紅鶴城の大広間に現われた伝説の戦士は、全身を鎧で固めた巨大な要塞のような男であった。ガンダルの執拗な挑発に辟易して広間を抜け出したグインは、城の一隅で、若くして死んだタイスの公子の幽霊と出会い、彼に導かれるように、地下水路への入口を発見する。そこでグインが見たものは、地下に広がる広大無辺な空間であり、そこに君臨するマーロールの姿であった。
部下の自殺をきっかけに自身もうつ病に罹り、会社を辞め妻子とも別れ、何もかも壊して故郷・博多に戻った精一郎。九年前にがんを発症し、死の恐怖から逃れようとするかのように、結婚と離婚をくりかえす敦。小学校以来の親友であるふたりの男は、このやるせない人生を受け入れられるのかー。
一族を惨殺され、秘伝書「辟邪剣譜」を奪われた林平之は、復讐を誓い武林の名門・華山派に弟子入りする。一方、華山派の一番弟子・令狐冲は、謹慎中に幻の楽譜「笑傲江湖」を手に入れるが…。二つの秘譜の謎をめぐる魔界魔道の大伝奇ロマン。
捕らえ損ねた盗賊の嘉三郎捜しに励む文之介だが、お克の嫁入りで肩を落としている中間の勇七に気をとられてばかり。一方、なかなか踏み切れなかったお知佳との仲に、ついに丈右衛門が求婚を決意!?が、その合間にも影の手は伸びてきて…。書下し長篇時代活劇。
「たとえ世界が滅びようともおまえを救いたい!」人間はすべて魔界の兵士となるべく生み出された異世界で高校生リツが巻き込まれる血と裏切りのドラマ。今、天界vs.魔界の壮絶な戦いが幕を開ける。
ある町で不可解な連続怪事件が起きた。新聞社に勤める雅輔は、先輩の万華、捜査主任の鳥居警部補と共に事件解決に乗り出す。その事件に「魔」の匂いを嗅ぎつけた雅輔はついに「能力」を発動させる。
幸せという花は、心の中にしか咲かない-仕事の成功、豊かな暮らし、恋愛の成就、人はそれぞれに自分の思い描いた幸せを追い求めて苦しむ。本当の幸せとは、一体何なのか-「清雅物語」から3年新たな着想で新境地に挑む。
死ぬことは怖くなかった。だって何が起きても確実にわたしは死に至る。わたしは死ぬ。それだけは決まっているんだから、安心して。本当の死ってこういうこと…死に向かって生きる二十代を描いた長編小説。
これが日本の恋愛小説の底力。田辺聖子「最高傑作」3部作 30年の時を経て復刊第1弾! 愛してないのに気があう剛。初めての悦楽を教える大人の男、水野。恋、仕事。欲しいものは手にいれた、31歳の乃里子。でも、唯一心から愛した五郎にだけは、どうしても、言い寄れない。 女たちに読み継がれ男たちを震撼(?)させた快作、復刊! <女> ●復刊!? やった! 読ませたい人がいっぱい!(33歳 独身 婚約中) ●最近つくづく、「好きな人ほど言い寄れない」って、わかる……(35歳 独身 彼氏微妙) ●そういえば、私の本棚にある。ずっとある。(42歳 既婚 彼氏あり) ●何十回読み返しただろう。そのたびに発見して共感して、怖いくらい揺さぶられる。こんな小説はほかにない。(35歳 既婚 彼氏なし) <男> ●こんなの10代で読んでたの!? ……女にはかなわねー……(34歳 既婚 彼女なし) ●……色っぽい小説だね。へえ こういうの好きなんだ。(41歳 既婚 彼女あり) ●30年前に書かれたとは思えない。我々はこれで現代の女性を勉強すべきだ。(62歳 離婚 彼女あり)
19歳で途中失明して夢を失った凛子。向日葵のようだった母の死に続き、寡黙だけど優しい漫画家の父までいきなり「消えて」しまった。残ったのは、自分のことに精一杯で気配りの足りない兄・真司だけ。その日から「世界中の誰よりも気が合わない二人」だけの生活が始まった!一番近くにいても誰より遠い二人の未来に待っているのは…。家族の愛がぎっしり詰まったハートフルな長編小説。
洋服を脱ぐのも、脱がされるのも、キスするのも、されるのも、もどかしかった。会いたかった。好きだった。好きで好きでたまらなかった。別れたあとも、片時も、忘れたことはなかった。だがら…、だからこそ。言えないことがある。二度と会えない人がいる。守らなければならないことがある-。抑えきれぬ想いとすべてを捧げる愛。涙なしに読めない本物の大人の愛のかたち。静かに、そして激しく本物の恋愛堪能小説。
大火や洪水、旱魃に見舞われ、藩の財政は常に逼迫していた。国を思いながら一度の過ちで追放の身となった忠臣の決意、子宝に恵まれずに離縁された主家の女を見舞う下僕の情。困難に立ち向かう者もいれば、押しつぶされる者もいた…。儚い家臣の運命と武家社会の実像を描く連作短篇集。
労働者として闘うあつよしがよりどころとしてきた組合は、もう労働者の味方ではなかった。あつよしは、あらためて故郷の大いなる川に向かう。人間の絆を問いながら、社会への鋭い批判をひそませたシリーズ完結編、『四万十川』文藝賞受賞二十年を記念してついに文庫化。書き下ろしエッセイ「四万十川から二十年」収録。
偶然大手製薬会社の会長と知り合った広告マンの佐伯はその場で殺人事件と出くわすが、奇妙にも会長は何事もなかったかのようにふるまった。新薬開発の鍵となるムラサキイトユリの謎を探るうち、これが連続殺人であることに気が付いた佐伯は、百合に導かれ古代の神々の世界へと引き込まれていく。巨匠の傑作伝奇ミステリー。
北海道東方でジャンボ機がハイジャックされた。針路は米軍三沢基地か?緊急発進する自衛隊のF-15。同じ夜、福島の原子力発電所が襲撃される。阻止のため潜入した“毒”と呼ばれる死を恐れない究極の狙撃手、暗号名はダンテ。事件は大規模な謀略戦の序奏に過ぎなかった。ダンテは標的を打ち抜けるのか!?風を読み、息を潜めるスナイパーの鼓動を感じる傑作。
各国の傭兵たちを陰でサポートするーそれが「傭兵代理店」である。東京で密かに運営される代理店に、藤堂浩志が訪れた。元刑事の彼は、ある殺人事件の犯人を追い傭兵部隊を渡り歩いていた。あれから十五年、事件はすでに時効だが、彼の帰国を待っていたかのように異常殺人が再発、謎の刺客が現われた!やがて背後に浮かび上がった、防衛省と政府要人の陰謀とは。