2007年発売
沖縄には、神様が静かに降りてくる場所があるー。心ここにあらずの母。不慮の事故で逝った忘れえぬ人。離婚の傷がいえない私。野生の少女に翻弄される僕。沖縄のきらめく光と波音が、心に刻まれたつらい思い出を、やさしく削りとっていく…。なんてことないよ。どうにかなるさ。人が、言葉が、光景が、声ならぬ声をかけてくる。なにかに感謝したくなる滋味深い四つの物語の贈り物。
かれんの気持ちを何度でも確かめたい!強い愛の言葉がほしい!遠距離恋愛のもどかしさに、悶々とした日々を送る勝利。そんな時、あの、かれんが二人で逢うために休みをとった。久しぶりの再会を楽しもうとあれこれ考えていた勝利だったが…。好きになればなるほど、深く複雑になる恋人たちの想いを、村山由佳が綴る。人気シリーズ、待望のSecond Seasonへ。
もしあなたが21歳で、いきなり貴族社会に紛れ込んだら…。下着からゴミ箱の中身までチェックされる生活になったら…。夫は「愛している」とひとことも言ってくれなかったら…。ヒッチコックが自身の映画(アカデミー作品賞、撮影賞受賞)でも描けなかった、ミステリアスでスキャンダラスな真実、ひたむきな愛の物語。
京には悪を懲らしめる、足引き寺といわれる寺がある-。宗徳が助けた娘は、無実の罪で打ち首になる兄を助けたいと訴えた。弱者の声なき叫びが刻まれた符牒をくわえ、豪が京の町を走る!ご存知、闇の仕事師、四人と一匹。好評シリーズ最新刊。
MBA取得の才色兼備銀行ウーマン。町工場相手に良心的融資を実践する銀行支店長。鉄道マニアのリタイア官僚。廃線が決定したローカル鉄道を救うため、三人が株式会社ドリームトレインを興した。奇想天外、破天荒な方法で田舎町に旋風を巻き起こす、ロマンチック・ビジネス・ストーリー。
一九六八年、日本人青年医師に、ルソーの魂が降臨した。彼は『エミール』の理想を実現すべく、理想の子供を育てることを決意し、孤児院を創設する。集められた子供たちは、“世界の救い主”を作り出すための、実験体であった…。天使が舞い、混沌が支配し、血と精液にまみれた溟い幻想が憩う、濃密な作品世界。第8回日本SF新人賞受賞作品。
一編の詩の魔術に、 運命を狂わされていく人々 ーーそこには読者も含まれる ーー宮内悠介推薦 【日本SF大賞受賞】 1948年。戦後のパリで、シュルレアリスムの巨星アンドレ・ブルトンが再会を約した、名もない若き天才。彼の剏りだす詩は麻薬にも似て、人間を異界に導く途方もない力をそなえていた……。時を経て、その詩が昭和末期の日本で翻訳される。そして、ひとりまたひとりと、読む者たちは詩に冒されていく。言葉の持つ魔力を描いて読者を翻弄する、川又言語SFの粋。著者あとがき=川又千秋
不慮の死を遂げた県会議員・牧岡の一人息子の実紀は、父親の政敵であった高野に引き取られることを拒み、密かに家を出る。…それから2年。かつて兄のように慕っていた父の元秘書、宏晃と再会するが、彼は怜悧で非情な男に変わっていた。宏晃に捕えられた実紀はマンションの一室に監禁され、ヤクザの組長への貢物として、ありとあらゆる調教を施されるのだったが…。キチク・眼鏡攻め・ハードエロス書き下ろし。
ここに収められた作品は、1970年以降のスイスの女性作家たちが描いたスイスの女性像である。当然、それぞれの世代によって異なった方法と状況がある。しかし、ひとつひとつの作品を読んでいくと、その多様性と開放性とに驚かされる。そして短編ながら、個々の作品は深い味わいをもっている。
どんなに危険な魔術でも使わなければいけないときがあるんだ!おばあちゃんとの約束でミラクル・キャベツが誕生し、町は救われたかに見えたが…スピリチュアル・ファンタジー、第2弾。
忘れられていた日本の美が甦る。 ▼平安時代に宮廷で大流行した「句題詩」は、ある時期から忘れ去られ、今日までその実態は謎につつまれていた。本書は、「句題詩」をさまざまな面から検討することで、 和歌とならんで〈日本の美〉を表現する方法であった、この「忘れられていた伝統」を明らかにした論文集である。 序 言 佐藤道生 句題詩概説 佐藤道生 句題詩の展開ー「漢ー詩」から「和ー詩」へー ヴィーブケ・デーネーケ 『詩序集』の破題表現と『和漢朗詠集』 山田尚子 平安後期の題詠と句題詩ーその構成方法に関する比較考察ー 佐藤道生 『童蒙綴詞抄』についてー付・本文翻刻ー 本間洋一
昭和51年に福岡県で発生し、日本列島を震撼させた「一家四人惨殺事件」。満州で生まれ、極貧のなかに育ち、あらゆる辛酸を嘗め尽くしたあげく事件に至った一人の男の姿は、読むものの必を揺さぶらずにはおかない。ミステリー界の雄が渾身の力で対象に肉薄し、その謎と背景とを解き明かした、日本版『冷血』ともいうべき大著。
評定所留役としてエリート街道を驀進していた拝郷鏡三郎は、幕閣内での政争に巻き込まれて失職。いわゆる縮尻後家人となってしまう。上役の勘定奉行の世話で、現在は捕縛した者を取り調べる「大番屋」の元締だ。出世の道から外れたものの、江戸に暮らす人々のよろず相談事が持ち込まれ、大忙し。好評シリーズ第二弾。
日本橋「いせ辰」の手代・英助には誰にも言えない秘密があった。母が死に際に遺した「お前のお父っつぁまは北町奉行の遠山様なのだよ」という言葉である。表題作ほか、北齋の娘・お栄の胸の内(「酔いもせず」)、松前の応挙と呼ばれた蛎崎波響の選んだ道(「夷酋列像」)など、実在の人物に材をとった時代中篇小説集。
妻の浮気が先か、それとも僕の失職が原因か?ともあれ僕は、会社を辞め離婚した。顔面至上主義のプレイボーイ津田と、別れてもなお連絡が来る元妻、そして新しい恋人…。錯綜する人間関係と、男と女の行き違いを絶妙な距離感で描く長嶋有初の長篇。斬新な構成と思わず書きとめたくなる名言満載の野心作。