2007年発売
ついにグインは最強と謳われる闘技士ガンダルと対面した。紅鶴城の大広間に現われた伝説の戦士は、全身を鎧で固めた巨大な要塞のような男であった。ガンダルの執拗な挑発に辟易して広間を抜け出したグインは、城の一隅で、若くして死んだタイスの公子の幽霊と出会い、彼に導かれるように、地下水路への入口を発見する。そこでグインが見たものは、地下に広がる広大無辺な空間であり、そこに君臨するマーロールの姿であった。
部下の自殺をきっかけに自身もうつ病に罹り、会社を辞め妻子とも別れ、何もかも壊して故郷・博多に戻った精一郎。九年前にがんを発症し、死の恐怖から逃れようとするかのように、結婚と離婚をくりかえす敦。小学校以来の親友であるふたりの男は、このやるせない人生を受け入れられるのかー。
一族を惨殺され、秘伝書「辟邪剣譜」を奪われた林平之は、復讐を誓い武林の名門・華山派に弟子入りする。一方、華山派の一番弟子・令狐冲は、謹慎中に幻の楽譜「笑傲江湖」を手に入れるが…。二つの秘譜の謎をめぐる魔界魔道の大伝奇ロマン。
捕らえ損ねた盗賊の嘉三郎捜しに励む文之介だが、お克の嫁入りで肩を落としている中間の勇七に気をとられてばかり。一方、なかなか踏み切れなかったお知佳との仲に、ついに丈右衛門が求婚を決意!?が、その合間にも影の手は伸びてきて…。書下し長篇時代活劇。
「たとえ世界が滅びようともおまえを救いたい!」人間はすべて魔界の兵士となるべく生み出された異世界で高校生リツが巻き込まれる血と裏切りのドラマ。今、天界vs.魔界の壮絶な戦いが幕を開ける。
ある町で不可解な連続怪事件が起きた。新聞社に勤める雅輔は、先輩の万華、捜査主任の鳥居警部補と共に事件解決に乗り出す。その事件に「魔」の匂いを嗅ぎつけた雅輔はついに「能力」を発動させる。
幸せという花は、心の中にしか咲かない-仕事の成功、豊かな暮らし、恋愛の成就、人はそれぞれに自分の思い描いた幸せを追い求めて苦しむ。本当の幸せとは、一体何なのか-「清雅物語」から3年新たな着想で新境地に挑む。
死ぬことは怖くなかった。だって何が起きても確実にわたしは死に至る。わたしは死ぬ。それだけは決まっているんだから、安心して。本当の死ってこういうこと…死に向かって生きる二十代を描いた長編小説。
愛してないのに気があう剛。初めての悦楽を教える大人の男、水野。恋、仕事。欲しいものは手にいれた、31歳の乃里子。でも、唯一心から愛した五郎にだけは、どうしても言い寄れない。田辺聖子「最高傑作」三部作。30年の時を経て復刊第1弾。
19歳で途中失明して夢を失った凛子。向日葵のようだった母の死に続き、寡黙だけど優しい漫画家の父までいきなり「消えて」しまった。残ったのは、自分のことに精一杯で気配りの足りない兄・真司だけ。その日から「世界中の誰よりも気が合わない二人」だけの生活が始まった!一番近くにいても誰より遠い二人の未来に待っているのは…。家族の愛がぎっしり詰まったハートフルな長編小説。
洋服を脱ぐのも、脱がされるのも、キスするのも、されるのも、もどかしかった。会いたかった。好きだった。好きで好きでたまらなかった。別れたあとも、片時も、忘れたことはなかった。だがら…、だからこそ。言えないことがある。二度と会えない人がいる。守らなければならないことがある-。抑えきれぬ想いとすべてを捧げる愛。涙なしに読めない本物の大人の愛のかたち。静かに、そして激しく本物の恋愛堪能小説。
大火や洪水、旱魃に見舞われ、藩の財政は常に逼迫していた。国を思いながら一度の過ちで追放の身となった忠臣の決意、子宝に恵まれずに離縁された主家の女を見舞う下僕の情。困難に立ち向かう者もいれば、押しつぶされる者もいた…。儚い家臣の運命と武家社会の実像を描く連作短篇集。
労働者として闘うあつよしがよりどころとしてきた組合は、もう労働者の味方ではなかった。あつよしは、あらためて故郷の大いなる川に向かう。人間の絆を問いながら、社会への鋭い批判をひそませたシリーズ完結編、『四万十川』文藝賞受賞二十年を記念してついに文庫化。書き下ろしエッセイ「四万十川から二十年」収録。
偶然大手製薬会社の会長と知り合った広告マンの佐伯はその場で殺人事件と出くわすが、奇妙にも会長は何事もなかったかのようにふるまった。新薬開発の鍵となるムラサキイトユリの謎を探るうち、これが連続殺人であることに気が付いた佐伯は、百合に導かれ古代の神々の世界へと引き込まれていく。巨匠の傑作伝奇ミステリー。
北海道東方でジャンボ機がハイジャックされた。針路は米軍三沢基地か?緊急発進する自衛隊のF-15。同じ夜、福島の原子力発電所が襲撃される。阻止のため潜入した“毒”と呼ばれる死を恐れない究極の狙撃手、暗号名はダンテ。事件は大規模な謀略戦の序奏に過ぎなかった。ダンテは標的を打ち抜けるのか!?風を読み、息を潜めるスナイパーの鼓動を感じる傑作。
烏賊川市警の失態で持ち逃げされた拳銃が、次々と事件を引き起こす。ホームレス射殺事件、そして名門・十乗寺家の屋敷では、娘・さくらの花婿候補の一人が銃弾に倒れたのだ。花婿候補三人の調査を行っていた“名探偵”鵜飼は、弟子の流平とともに、密室殺人の謎に挑む。ふんだんのギャグに織り込まれた周到な伏線。「お笑い本格ミステリー」の最高峰。
各国の傭兵たちを陰でサポートするーそれが「傭兵代理店」である。東京で密かに運営される代理店に、藤堂浩志が訪れた。元刑事の彼は、ある殺人事件の犯人を追い傭兵部隊を渡り歩いていた。あれから十五年、事件はすでに時効だが、彼の帰国を待っていたかのように異常殺人が再発、謎の刺客が現われた!やがて背後に浮かび上がった、防衛省と政府要人の陰謀とは。
22世紀のある巨大都市で、突如理解不能の残虐な連続殺人事件が発生した。犯人は、ゴーレム100、8人の上品な蜜蜂レディたちが退屈まぎれに執り行った儀式で召喚した謎の悪魔である。事件の鍵を握るのは才気あふれる有能な科学者ブレイズ・シマ、事件を追うのは美貌の黒人で精神工学者グレッチェン・ナン、そして敏腕警察官インドゥニ。ゴーレム100をめぐり、3人は集合的無意識の核とそのまた向こうを抜け、目眩く激越なる現実世界とサブリミナルな世界に突入、自らの魂と人類の生存をかけて闘いを挑む。しかしゴーレム100は進化しつづける…『虎よ、虎よ!』の巨匠ベスターの最強にして最狂の幻の長篇にして、ありとあらゆる言語とグラフィックを駆使して狂気の世界を構築する超問題作がついに登場。
うち続く災害に荒廃した平安京では、羅生門に近寄るものもいなくなっていた。その楼上で、生活のすべを失い行き場をなくした下人は、死人の髪の毛を抜く老婆に出くわす。その姿に自分の生き延びる道を見つける…。文壇処女作となった「羅生門」をはじめ、初期の作品を中心に18編を収録。人間の孤独と侘しさを描いた名品の数々は、時代を超えて新鮮な驚きを読者に与え続けている。芥川文学の原点を示す、繊細で濃密な短編集。