2008年発売
江戸・向嶋で種苗屋を営む若夫婦、新次とおりんは、人の心を和ませる草木に丹精をこらす日々を送っている。二枚目だが色事が苦手な新次と、恋よりも稽古事に打ち込んで生きてきたおりんに、愛の試練が待ち受ける。第3回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
地獄に堕ちた女郎の願いは、蜘蛛になること。代わりに閻魔が命じたのは、鬼の御用聞きと地獄の見回り、そして日誌を書くこと-。鬼蜘蛛と変化した女郎が見つめる、怨むこと怨まれること、許すこと許されることの意味。第三回小説現代長編新人賞作品。
日本一アンラッキーな男・鮎太に襲いかかる不幸の連続!25歳で人生が決まってたまるか。鮎太は、オネエ言葉の大道寺、ナマ脚自慢のナオたちとともに、幸せになることに図々しく生きていく。
誰もが不安を抱えて歩き続ける、未来への“道”。子どもが感じる無力感、青春の生きにくさ、幼さゆえの不器用…。それぞれの物語を、優しく包み込んで真正面から描いた珠玉の三編を収録。涙がこぼれ落ちる感動の欠片が、私たちの背中をそっと押してくれます。はじめましての方にも、ずっと応援してくれた方にも。大好きな“彼ら”にも、きっとまた会えるはず。
男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。湯川が推理した真相はー虚数解。理論的には考えられても、現実的にはありえない。
織田信長の岐阜城下にふらりと現れた男。真っ赤な袖無羽織に二尺の大鉄扇、日本一と書いた旗を従者に持たせたその男こそ紀州雑賀党の若き頭目、雑賀孫市。無類の女好きの彼が信長の妹を見初めて……痛快長編。
木下藤吉郎に請われ、織田勢に荷担した孫市だったが、「信長にだまされた」と飛び出し、なんと信長最大の敵・石山本願寺の侍大将を引き受ける。信長に「尻啖わせ」、戦国を駆け抜けた快男児を活写する痛快長編。
日下刑事は、叔父・黒田信行のマンションを訪れた。彼の娘から、父と連絡が取れないと相談を受けたからだ。日下が部屋に入ると、そこには身元不明の死体が横たわっていた!現場に残された謎のアルファベットを手掛かりに、十津川警部は湖西へと飛ぶが、第2、第3の殺人事件も発生し…。-犯人の目的は?謎の文字の意味は?点が線へと繋がった時、恐るべき陰謀が浮かび上がる。傑作トラベル・ミステリ。
第三セクター「秋田杉美林センター」の欠陥住宅問題と、県が同社に追加融資した巨額の金の行方に揺れる秋田県。県政のイメージを一新するため副知事に抜擢された望月世津子のもとには、怪しい警告文とともに、謎の焼死事件に関する記事が送られてきた。「やつらにやられた」と言い遺したにもかかわらず自殺とされた死の真相は?世津子の私設秘書として同地に赴いた浅見光彦が政治の闇に鋭く斬り込んだ傑作社会派ミステリー。
群雄割拠する戦国の世に、尾張半国を斬り従えて頭角を現した父・織田信秀は、国主大名へと成り上がる野望を果たせず病没した。内外を敵に囲まれて跡目を継いだ信長は、内戦を勝ち抜き、ついに強敵・今川義元を桶狭間に討ち取ると、美濃攻略に取りかかる。天下への大きな一歩を踏み出そうとしていた…。革命児・織田信長の素顔に迫り、空前のブームを巻き起こした記念碑的大作。文字が大きく読みやすい角川文庫版。
尾張を統一した織田信長は、宿敵・斎藤氏を滅ぼし美濃を攻略した。木下藤吉郎が次第に頭角を現す。心の安らぎであった愛妾・吉野が世を去り、岐阜に居を移した信長は楽市・楽座など画期的政策を導入、「天下布武」を鮮明にする。近江の浅井長政に妹・お市を嫁がせると、明智光秀の要請を容れ、ついに足利義昭を奉じ上洛を果たす。信長の軍略・政策を明らかにした津本歴史文学の最高傑作。文字が大きく読みやすい角川文庫版。
金子みすゞの詩集から切り取った1ページと置き手紙を残し、女は消えた。数年後、1ページだけ切り取られた詩集を持った少女の母親が殺される。警視庁捜査一課・棟居弘一良は再び人間の宿業と対峙する!
米国ニューメキシコ州にある長距離専門の陸上競技クラブNMAC。日本人が主宰するこのクラブの所属選手、エチオピア出身のジェシカ・エドルは、日本人選手アユミ・ハラダの異変に気づいた。アユミは夜ごと合宿所を抜け出し、呪殺の儀式を行っていたのだ。アユミがそこまで憎む相手とは誰なのか?彼女の口から明かされたのは、意外な人物の名前と衝撃の事実だった…。不可解な謎と巧妙な罠。驚天動地の傑作ミステリ。
21世紀半ば。熱帯化した東京には巨大積層都市・アトラスがそびえていた。さまざまなものを犠牲に進められるアトラスの建築に秘められた驚愕の謎とはーー? まったく新しい東京の未来像を描き出した傑作長編!!
21世紀半ば。熱帯化した東京には巨大積層都市・アトラスがそびえていた。さまざまなものを犠牲に進められるアトラスの建築に秘められた驚愕の謎とはーー? まったく新しい東京の未来像を描き出した傑作長編!!
旧態依然とした邦銀を飛び出した桂木英一は、ウォール街の投資銀行に身を投じた。数々の案件を通じて成長する桂木の前に、「伝説の男」竜神宗一が現れる。世界金融の激変期を圧倒的なリアリティと迫力で描く。
旧態依然とした邦銀を飛び出した桂木英一は、ウォール街の投資銀行に身を投じた。数々の案件を通じて成長する桂木の前に、「伝説の男」竜神宗一が現れる。世界金融の激変期を圧倒的なリアリティと迫力で描く。
商社マンの長男としてロンドンで生まれ、フィラデルフィアで天涯孤独になった朝倉恭介。彼が作り上げたのは、コンピュータを駆使したコカイン密輸の完璧なシステムだった。著者の記念碑的デビュー作。