2009年11月発売
30歳を目前に仕事を辞めた花。おしゃれもダイエットもセックスもやめた。頑張っても、いつか若さは失われると気づいてしまったから。投げやりに引きこもる花を、優しく見守る恋人だったがー(「しゃぼん」)。高3の夏。海。大好きな慎ちゃん。でもあたしは他の男たちとも寝ている。慎ちゃんには見せられない姿でー(「ねむりひめ」)。悩める女の子必読!リアルでキュートなガールズ小説集。
著名な建築家の伊織祥一郎は、妻子と別居して青山のマンションで独り暮らしをしていた。部下である笙子という恋人がいながら、霞という人妻と出逢う。茶室の横に咲く佗助のように控え目なのに、豪奢で豊饒な余韻がある。そんな彼女に心を奪われ、秘やかに愛を育む。奈良へ旅立ち、霞は激しく燃える。だが、伊織は笙子との関係も切れずにいた。ふたりの女性のはざまで揺れる男心を描いた不滅の名作。
妻との離婚が現実のものとなっていくなか、伊織は霞をともなってヨーロッパへ旅立つ。性愛の極みを次第に昇りつめる霞、徐々に離れていこうとする笙子。どちらを本当に愛しているのか。結論を出せない伊織。移ろいゆく季節とともに、ひとつ、またひとつ、愛は去っていくものなのか。甘美なまでの愉楽。烈しくも雅やかな情痴。切なく、はかない男と女の結びつき。究極の愛を謳いあげた代表作。
長州征伐。欧米列強の四国艦隊の下関砲撃。風雲急を告げる情勢下、突然、勝海舟が軍艦奉行を罷免される。寄る辺なき龍馬たちは西郷隆盛の援助で亀山社中を結成し、海運に乗り出す。かたや薩摩への怨嗟に燃える長州、かたや主導権を握らんと虎視耽々の薩摩。時局打開のためには両雄藩の連合をおいてほかないと、その仲介に龍馬が乗り出した。まったく新しい視座から肉迫した龍馬伝、いよいよ佳境。
テレビ報道記者のブリットが目覚めた隣には、刑事ジェイの全裸死体。前夜の記憶が全くないまま、ブリットは殺人容疑を掛けられ仕事も追われる。死ぬ直前まで、ジェイが彼女に告白しようとしていたことは何なのか?ブリットは、5年前に同様の経験をした元消防士のラリーと真相究明に乗り出すが大きな陰謀が二人の命を脅かす。ラストまで驚きの仕掛けづくしの傑作サスペンス。
法律事務所長・北見貴秋は、ドラッグ依存症による二ヵ月の入院療養から戻ったその日、幼馴染みの作家・今川が謎の死を遂げたことを知る。自殺か、事故か、それとも…。死の真相を探ろうとする北見の前に、ドラッグによって失われた記憶の壁が立ちはだかる。
2010年、宇宙船アレクセイ・レオーノフ号は地球を旅立とうとしていた。10年前に遥か木星系で宇宙飛行士4人が死亡、1人が失踪した事件を調査し、遺棄された宇宙船ディスカバリー号を回収することがその任務だった。はたして真相は究明されるのか?そして、木星軌道にいまも浮かぶ謎の物体モノリスの目的とは…前作を上回る壮大なスケールで全世界に興奮を巻き起こした傑作にあらたな序文・あとがきを付した新版。
“紅天”政府による最後通牒により、連邦宇宙軍蒼橋平和維持艦隊に撤退命令がくだった。EMP被害の救援活動中であるムックホッファ准将の部隊を残し、“星湖”基地へ帰還すべく蒼橋跳躍点へと向かうキッチナー中将率いる平和維持艦隊を、突如として、無数のビームが包みこんだ!紅天艦隊が奇襲攻撃をしかけてきたのだ。平和裏に撤退中の艦隊を、なぜ攻撃?かくて壮絶なる蒼橋跳躍点会戦の火ぶたは切って落とされた。
修学旅行先で、真夜中に目を覚ました少女は、左手の小指に巻かれた赤い糸に気づき、その糸をたどっていくが…(「赤い糸をたどって」)。百発百中の占い師から「あなたは将来、この人と結婚する」と言われた彼女は、顔も知らぬその男性に逢いに行こうと決意する(「運命の人、綾瀬幸太郎」)。まるで運命としか言いようのない、いくつもの奇蹟が織り成す、読めば必ず幸せな気持ちになれる恋物語。
チンギス・カンの長子ジュチの子でありながら、父の出生疑惑を理由に後継者候補からはずされたバトゥは、暗闘を繰りひろげる一族に背を向けひたすら帝国の拡大に力を注ぐ。モンゴル高原から遠く地中海まで遠征し勝ち続けた名将にして、「賢明なる王(サイン・カン)」と呼ばれた男の鮮烈な生涯。
正岡子規-文学に生き文学に死す、秋山真之-松山のガキ大将、ロシア海軍を倒す、秋山好古-校長先生は「最後の古武士」。司馬遼太郎を初めて読む若い読者にも、また、NHK初ドラマ化『坂の上の雲』の予習にも。明治初頭の青年たちを描いた青春小説として、『坂の上の雲』を大胆に読み解く。
手を下さなければ殺人ではない。私は何もしていないーー偶然と悪意が重なる瞬間に“完全犯罪”を成し遂げた、春夏秋冬を名に冠する四人の少女。彼女たちの前にそれぞれの罪を見抜いた男性が現れる時、その心をよぎるものとは。全編を通してプロバビリティの犯罪を扱う幻の傑作ミステリ短編集が初文庫化。「危険区域」他、全四編を収録。
柴崎家のアイドル、マルチーズのトビ丸が食卓をぐるりとまわれば、自然と笑みがこぼれだす。祖母、母、姉、トビ丸、そして時々おじさんと、下町に暮らす柴崎章太の、何でもないけどかけがえのない日々。朝日新聞好評連載の書籍化。
クラスで一番地味な道子は、高校2年生で初めて携帯電話を手に入れた。そして紹介されたSNSサイト“アバQ”に登録した日から道子の毎日は一変し、自らの分身“アバター”に夢中になっていくがーー!
夜のバーで恋人を待ちながら、子どものころ近所の空き地で、インドの人混みをかき分けながら、あいつらから逃げ隠れた小さな部屋で、占い師が予言した運命の人を探しながらーそれぞれが迎える、午前零時。13人の豪華競演による、夜の底から始まった、誰も知らない物語たち。P.S.昨日の私へ今夜、人生は一瞬で変わってしまうと知りました。でも運命の夜は、まだ始まったばかり。13人の豪華競演による、真夜中の物語。