2009年8月発売
ユーモラスな思春期男女の性の芽ばえ、曲折にとむ恋愛や結婚生活に揺れる微妙な心理を描いたチェーホフの魅力あふれる一冊選集。『芝居がはねて』『かわいいひと』『犬をつれた奥さん』など12篇を読みやすい日本語で贈る。
午睡中、大蛇が口から入りこみ、腹中に居すわられてしまった男。彼を「被害者」に見たて、運動に利用しようとする組織。卓抜な発想と辛辣な批評精神で、当時の世相を切りとった「蛇」。性と悪の問題に真正面から挑んだ「蠍たち」-。一九六〇年、「パルタイ」で衝撃的なデビューを果たした著者の、その後の五年間の初期作品七篇を精選。イメージの氾濫する「反リアリズム」の鮮やかさを示す一冊。
時は一九七〇年代。田舎町に住むヤンチャでムチャでワンパクな男子高校生と町の駐在さんが“あいかわらず”繰り広げるイタズラ合戦第五弾。町に新しくやって来た通学バスの運転手が乱暴なことに腹をたてたママチャリ達は、バス停を勝手に増やす、というイタズラを思いつく。そこに偶然降り立った、挙動不審な女性が気になるジェミー。追っていくうちに、次第に彼女と親しくなるが、彼女には誰にも言えない秘密があった。書き下ろし作品『すもももももも』と番外編『ふりむき地蔵』そして特別編ショート『夏いちりん』を収録した、この夏いちばん熱い超豪華版。
古書店“文車堂”で、龍造寺は小夜子、白石たちには詰問され、“有鬼派”大生部には襲撃される。魔書“本草霊恠図譜”が奪われたというのだ。その行方を追って一同は、知る人ぞ知る存在、“曰くつきの品”を引き取り封じる“呪物館”を訪れる。しかし、そこには数々の不可解な事件が待ち受けていた。妖怪伝奇小説、佳境へ。
「康平、銀行には勝てんよ。金を返すまではね」。丹波から身一つで出てきた森沢康平は愛知で染色業を営む矢井田と出会い、かつて「ガチャ万」と言われた繊維業界で働くことになる。昭和から平成、日本経済が大きく動いたとき、同郷の幼なじみ、大手銀行に勤める治夫と再会しー。走り続けた男たちの物語。
あきらめてしまうのか? NO.6の治安局員に連行された沙布を救い出すため、矯正施設の内部への潜入に成功した紫苑とネズミだったが、そこには想像を絶することが待ち受けていた。まるで地獄。くじけそうになる紫苑……その一方で、沙布には妖しげな魔の手が刻一刻と伸び始める。彼らの未来はいったい? (講談社文庫) 本当の地獄も知らずにその言葉を使うな。ここが「地獄」だ。 矯正施設へ潜入ーーそこはーー死ぬことすらありがたく感じられる場所 「自分と闘ってくれ」それは、まさに哀願だった。 あきらめてしまうのか?NO.6の治安局員に連行された沙布を救い出すため、矯正施設の内部への潜入に成功した紫苑とネズミだったが、そこには想像を絶することが待ち受けていた。まるで地獄。くじけそうになる紫苑……その一方で、沙布には妖しげな魔の手が刻一刻と伸び始める。彼らの未来はいったい。
夏休み、人けのない校庭に男の死体が転がっていた。校内には十五人の生徒だけ。警察へは通報せずに、生徒たちによる犯人捜しが始まる。微妙に絡み合う人間関係と錯綜するアリバイから浮かび上がる意外な犯人は?蒼こと薬師寺香澄が活躍する「建築探偵シリーズ」の番外編。ミステリーの醍醐味、ここにあり。
青年探偵・信濃譲二シリーズ 青年探偵はなぜ殺されなければならなかったのか!?「家」シリーズ完結! 傑作本格推理第3弾 名探偵・信濃譲二は、とある小劇団にマネージャーとして参加し、万能ぶりを発揮し始める。だが、特別公演「神様はアーティストがお好き」の初日、惨劇の幕が切って落とされた。次第に疑心暗鬼になっていく団員達。6年前の稽古中の死亡事故と関係が? 信濃が命をかけて謎解きに挑む、傑作本格推理第3弾。 そこには生涯をミステリに捧げることを誓った若き推理作家の、並々ならぬ決意が読み取れる。確かなものは残り続け、読まれ続けなければならないのだ。--霧舎巧氏「解説」より ※本作品は、1989年8月、講談社ノベルスとして 初版刊行され、1993年に文庫版として刊行した作品の新装版です。
感動の江戸川乱歩賞受賞作が待望の文庫化! 極限の凍土、シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年の沈黙を自らに強いた男が突如、姿を消した。歴史の闇に光を当てた、魂を揺さぶる渾身の一作。 第52回江戸川乱歩賞受賞作! 男は帰還(ダモイ)を果たし、すべてを知った。 自費出版に持ち込まれた原稿が60年前のシベリアと現代の事件を結ぶ。 舞鶴でロシア人女性の遺体が発見された。時を同じくして抑留体験者の高津も姿を消す。2つの事件に関わりはあるのか。当時のことを綴った高津の句集が事件をつなぐ手がかりとなる。60年前極寒の地で何が起こったのか? 風化しても消せない歴史の記憶が、日本人の魂を揺さぶる。 ※本書は2006年8月、小社より単行本として刊行されました。
戦国七雄が割拠する紀元前三世紀。他国へ遣られた人質の子として生まれながら、大商人・呂不韋の深謀遠慮によって、わずか13歳にして秦王に即位。政敵を倒し、三度の暗殺未遂を乗り越え、権謀術数と軍事力によって全中華を制したファースト・エンペラー。権力をほしいままにした男の49年の生涯を描き切る。
王国の矛盾を背負い、兵器として育成される凶暴な蛇ーー闘蛇。 各界で話題騒然!傑作ファンタジー巨編、ついに文庫化。 リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すがーー。苦難に立ち向かう少女の物語が、いまここに幕を開ける! 序 章 母の指笛 1 闘蛇の弔い笛 2 霧の民 3 母の指笛 4 精霊獣 第一章 蜂飼い 1 流れついた子 2 女王の飛翔 3 女王の乳 第二章 天翔ける獣 1 蜂と竪琴 2 夏の小屋 3 天を翔ける獣 第三章 幼獣の献上 1 神速のイアル 2 真王と大公 3 幼獣の献上 第四章 カザルム王獣保護場 1 ジョウンの息子 2 入舎ノ試し 3 ユーヤン
王権の象徴として、神々が遣わしたとされる聖なる獣ーー王獣。 数々の受賞に輝く世界的注目作家、新たなる代表作。 カザルム学舎で獣ノ医術を学び始めたエリンは、傷ついた王獣の子リランに出会う。決して人に馴れない、また馴らしてはいけない聖なる獣・王獣と心を通わせあう術を見いだしてしまったエリンは、やがて王国の命運を左右する戦いに巻き込まれていくーー。新たなる時代を刻む、日本ファンタジー界の金字塔。 第五章 運命の曲がり角 1 竪琴の響き 2 運命の曲がり角 3 教導師たちの決定 4 最期の便り 5 傷 第六章 飛翔 1 不安の胎動 2 飛翔 3 霧の民の大罪 4 野生の雄 5 二頭の飛翔 第七章 襲撃 1 真王の行幸 2 ダミヤの誘惑 3 襲撃 4 治療 5 闘蛇の印 6 決意 第八章 風雲 1 求婚 2 獣の血 3 ダミヤの
わたしが搦め取った男でございますか? これは確かに多襄丸(たじょうまる)と云う、名高い盗人でございますーー。馬の通う路から隔たった藪の中、胸もとを刺された男の死骸が見つかった。殺したのは誰なのか。今も物語の真相が議論され続ける「藪の中」他、「羅生門」「地獄変」「蜘蛛の糸」など、芥川の名作、6編を収録。 ※本書は、講談社文庫『羅生門・偸盗・地獄変・往生絵巻』(1971年7月)および、『日本現代文学全集56 芥川龍之介集』(1980年5月)を底本とし、旧漢字・旧かなとなっているものは新漢字・新かな遣いに改め、ふりがなを加えました。底本に見られる誤植等は訂正するなどしましたが、原則として底本にしたがいました。また、底本にある表現で、今日からみれば不適切と思われる言葉がありますが、作品が書かれた時代背景と作品的価値、および著者が故人であることなどを考慮し、底本のままとしました。よろしくご理解のほどお願いいたします。
予想外の針路をとることでシンディック軍司令部を翻弄することに成功したアライアンス艦隊。バルター星系では、ギアリーの用兵によりあまりにも自軍の損害が少ないことに混乱した自動兵站システムの誤作動で原料の不足という思わぬ事態に陥るが、補給物資の強奪にも無事成功。次々に転移する星系で敵艦隊を撃破し、まさに順風満帆に思われた。だがその行く手には、艦隊を壊滅の危機に陥れる怖るべき罠が待ち受けていた。
世界最強の国家として知られるケイロニアの首都サイロンが、黒死病の脅威にさらされ、壊滅の危機にあり、グインの安否も不明だという驚くべき知らせに、ヴァレリウスは苦悩を深める。一方、聖地ヤガに潜入したヨナとスカールは『ミロクの兄弟の家』の虜囚とされてしまう。さらに、フロリーたちの行方を捜しながらヤガの様子を探る彼らは、ミロク教がなにやら不可解な変貌を遂げつつあることに疑念と不安を抱くのだった。
ボトム(どん底)と呼ばれる丘の上で育った黒人の少女、奔放なスーラとおとなしいネル。正反対の性格をもつゆえに、少女たちは固い友情で結ばれた。二人で犯した許されざる罪でさえ、隠し続けられるほどの絆。だが時がたち、ネルの結婚式の日を迎えると、なぜかスーラは町を去ってしまう。十年後に二人は再会を果たすものの、その友情は…。黒人社会の光と影を、女性たちの成長とともに描く、ノーベル賞作家初期の傑作。
独房No.404に収監された元人民委員ルバショフ。覚えのない罪への三回の審問と獄中の回想、壁越しの囚人同士の交信に浮かぶ古参党員の運命。No.1とは誰か。なぜ自白は行われたか。スターリン時代の粛清の論理と戦慄のモスクワ裁判を描いて世界を震撼させたベストセラー。心理小説の傑作(1940年刊)。【解説=岡田久雄】 第一回審問 第二回審問 第三回審問 文法的虚構 訳者あとがき 解 説(岡田久雄)
武士は負け様、死に様が肝心。他人の罪を被り、流人となって2年。元公用人・物集女蔵人は、命がけで島を抜け、江戸に舞い戻る。かつての主君・水野忠邦の過ちをただし、その本懐を遂げさせるために。武士の熱い魂を描く、書き下ろし本格時代小説。
米花町で立て続けに起こった二つの殺人事件。探偵・毛利小五郎の捜査にいつものようについてきた小学生の江戸川コナンは、そこでゲームブック『嗤う黒猫』を発見した。この本に書かれた殺人事件は米花町で起きた事件と奇妙に符号。しかも、そこには第三の殺人事件も書かれていたのだ。米花町で再び殺人が行われる可能性があるということ…!?そんなとき、本を読み終えたコナンは、次に事件が起きる時間や場所、犯人名を告げ、見事に惨劇を食い止めたのだ。コナンが本の中で見つけた事件解決の鍵とはなんだったのか?本まるごと1冊が事件の手がかり。