2010年5月発売
季節は初夏。今日も図書館塔最上階、秘密の小部屋で読書にふけるヴィクトリカの頭上に、金色の書物が落ちてきた。そこには“未来の汝よ。我は愚者なり。そして汝、愚者の代弁者となりて、我が愚かなりし秘密を暴け!”とメッセージが。時を同じくして学園にやってきた謎の人物。そして、時計塔で起きた密室殺人…知恵の泉のもと、すべての謎がひとつになるとき、王国の禁忌が白日のもとに!?人気ミステリ、急展開の第4巻。
“伝説の男”は“硬派な男”-唯一無二のあたしの野獣ー対立チーム、『デビセブ』に『野獣』のメルセデスが襲撃されたーミカゲまでもが襲われて重体に陥り、事態は最悪な方向へ…。そしてまた、決着をつけるためリュウキも…大長編、ここに完結ー涙と感動のファイナル。
愛してほしかった…ずっと愛情に飢えてた…多額の借金、家族崩壊ー愛のない家庭に育ち、心に闇をかかえたあたしは、18歳で家を飛び出した。あてどなく街をさまようあたしに、声をかけてきた一人の男。「ナンバー1にならないか?」あなたと出会って、その一言で、あたしは「マリア」になったーiらんど大賞2009優秀賞。
俺、28歳。金もなけりゃ、女もいない。定職にも就いてない。同い年の喜彦とつるんでは行きつけのバーで酒を呑み、泥酔したサラリーマンから財布を奪ったりしてはソープランドへ直行する日々。輝いて見えるものなど何もなかった。人生はタクシーに乗っているようなもので、全然進まなくても金だけはかかってしまう。そんな俺たちに今日も金の臭いがするトラブルが転がり込む。第11回大藪春彦賞受賞作。
捨てたはずの故郷に戻り、父が大金を持っているとの噂に踊らされた男。呆けて我がまま放題の母と猫の世話に煮詰まっていく女。売りつけられたスクーターに乗り、愛犬と骨を掘り出してばらまく少年。好きな女の先輩を安物の車に乗せて旅立ったプー太郎。夫のDVに苦しめられ、死んだチワワの骨を抱え岬に立つ女。北海道の風土に閉ざされた人間の闇をえぐる全5話。新境地を拓いた傑作揃いの短編集。
ソクラテスとオリンピックの意外なつながりを描く(「戦場のソクラテス」)。22世紀から1世紀に「ジーザス」という男の伝記映画のロケ隊がやって来て…(「ガラリアのエキストラ」)。ダッチ・ロールなどオランダ起源の言葉の謎とは(「あきんどの国」)。アレクサンドロス大王は、図に乗った田舎者!?(「イスカンダルの伝説」)などなど。学校では教えてくれない清水版エンターテインメント新世界史19史伝。
わたしの名前はエヴァン・ディレイニー。職業はとりあえず作家。一応、弁護士資格あり。彼氏?ものすごくハンサム。その自慢の彼ジェシーと、彼の親友をひき逃げした男が3年ぶりに姿を現した。憎いそいつを警察に突き出そうとあちこち探っていくうちに、ほかにも人が殺されて、とんでもない企みが浮き彫りになり…。エドガー賞受賞も納得のサスペンス・シリーズ。
物語としての『三国志演義』は、いかに作られたのか。正史『三国志』に基づいた史実と、フィクションを交えた叙述のスタイルを分析する。さらに唐代以前から明清代にいたる『演義』の成立事情、謎につつまれた作者羅貫中の人物像、関羽・劉備・張飛ら登場人物のキャラクターの変遷など、奥深い作品世界を案内する。後半では、『演義』の研究にも大きな影響を与えた民間伝承『花関索伝』、明清代の書坊による出版戦争、『演義』に反映された正統論や五行思想など、物語の背後にある文化や世界観も描き出す。本「増補版」では、初版から十七年を経た研究の進展を随所に反映させるとともに、日本と韓国における『演義』受容の様相を第九章として新たに加えた。
真実は奇なり、愛は変なり。世にヘンアイの種はつきまじ。ギャルが漂着した孤島にはイケメン男子だけが住んでいた…「彼氏島」、体の中にブリザード吹き荒れる空虚を持つ少女の哀しみ…「スペシャリスト」、会ったこともない友人の妹への妄想愛を育む独身老人の物語…「妹」-など。新たに発掘された11編の“変愛高濃度・現代英米文学”。
この感覚は、決して悟られてはならない。人には言えない歪みを抱きながら戦前〜戦後の日本をひとり生きた女性を描く表題作のほか、ラスト一頁で彼岸と此岸の境を鮮やかに越える「巻鶴トサカの一週間」など、名手・皆川博子の傑作短篇七篇を収録。
ほんまに悲しいときは、男の子も、泣いてええんよー。城山家の、男ばかり六人兄弟の五番目のハァちゃん。感受性が豊かなあまり、幼稚園の先生が辞めると聞いては泣き、童謡に出てくるどんぐりの行方を案じては泣いてしまう。家族に見守られ、友人たちと野山を駆け巡って、力強く成長してゆく過程を瑞々しく描く。心理学者・河合隼雄の遺作となった、せつなく温かな自伝的小説。