2011年12月発売
ガサツで不真面目で自分勝手な高校1年生の鈴木友子。夏休みのある日、友子たちダメ女子高生は、病院送りにした吹奏楽部の代わりにジャズを始めることに…。友情?技術?練習場所?えー、指導者も!?なんにもないところから始まったビッグバンドは、やがて素敵なメロディを奏でる。コメディ映画の鬼才・矢口史靖監督、書き下ろし青春小説。
奇妙なニックネームで呼び合う4人の男たち。なんの縁もなかった彼らの共通項は“殺意”。どうしても殺したい相手がいる、それだけで結託した彼らは、交換殺人を目論む。誰が誰のターゲットを殺すのか。それを決めるのはたった4枚のカード。粛々と進められる計画に、法月警視と綸太郎のコンビが挑む。
異界族と共存する19世紀の英国。人狼団の長マコン卿は、妊娠が発覚した妻アレクシアを放逐した。人狼に繁殖能力はないからだ。不貞行為の濡れ衣をかけられたアレクシアは、男装の発明家ルフォーと旅に出た。だがイタリアを目指す一行を吸血鬼が襲う!一方、ロンドンではアケルダマ卿が姿を消し、マコン卿の副官ライオールが謎を追って奮闘していたー歴史情緒とユーモアで贅沢に飾られた懐古冒険スチームパンク第三弾。
「ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」作家のデイヴィッドは、祖父レフの戦時中の体験を取材していた。ナチス包囲下のレニングラードに暮らしていた十七歳のレフは、軍の大佐の娘の結婚式のために卵の調達を命令された。饒舌な青年兵コーリャを相棒に探索を始めることになるが、飢餓のさなか、一体どこに卵が?逆境に抗って逞しく生きる若者達の友情と冒険を描く、傑作長篇。
宿敵ザラチェンコと対決したリスベットは、相手に重傷を負わせるが、自らも瀕死の状態に陥った。だが、二人とも病院に送られ、一命を取りとめる。この事件は、ザラチェンコと深い関係を持つ闇の組織・公安警察特別分析班の存在と、その秘密活動が明るみに出る危険性をもたらした。危機感を募らせた元班長は班のメンバーを集め、秘密を守る計画を立案する。その中には、リスベットの口を封じる卑劣な方策も含まれていた。
リスベットは回復しつつあった。ミカエルは様々な罪を着せられていた彼女を救うため、仲間を集めて行動を開始する。だが、特別分析班は、班の秘密に関わる者たちの抹殺を始めた。一方ミカエルは病院内のリスベットと密かに連絡を取り、有益な情報を得ようとする。そして、特別分析班の実態を調べる公安警察と手を組む、巨大な陰謀の解明に挑む。やがて始まるリスベットの裁判の行方は?驚異のミステリ三部作、ついに完結。
2069年2月、19年間の人工冬眠から覚醒させられた英国陸軍の元兵士ビセサは、世界が驚くべき状況下にあることを知らされた。2042年に魁種族によって引き起こされた太陽嵐を、人類は壮大な計画を実行に移して、なんとか生き延びた。だが、その27年後、人類の文明を凌駕する知識と力をもつファーストボーンが新たな攻撃をしかけてきたというのだ。Q爆弾と名づけられたファーストボーンの武器は、何年も前に太陽系外から地球をめざして進みつづけており、21カ月後には地球に到達する予定なのだった。この非常事態に対処するべく、世界宇宙評議会などの組織が動きはじめていた。冷凍睡眠施設から出たビセサは、娘マイラとともに地球外をめざす。いっぽう、過去200万年の歴史上のさまざまな時代の断片がつなぎあわされている、もうひとつの地球ミールにある神殿でも、異変を告げる事件が起こっていた。ビセサが残していったフォンが呼びだし音を鳴らしはじめたのである。バッテリー切れを起こしていたはずのフォンに、いったいなにが起こったのか…?太陽系に住む人類を襲う苛酷な試練と、その苦難に立ち向かう人々の活躍、ふたたび旅だったビセサの壮大な冒険行を、英国SF界の新旧ふたりの巨匠が練達の筆致で描く長篇SF。巨匠クラークとバクスターが、『2001年宇宙の旅』に始まる“宇宙の旅”シリーズを新たな角度から描いた“タイム・オデッセイ”三部作、待望の完結篇。
1914年、ヨーロッパではふたつの勢力が拮抗していた。遺伝子操作された動物を基盤とする、英国などの「ダーウィニスト」と、蒸気機関やディーゼル駆動の機械文明を発達させたドイツら「クランカー」。両者の対立は深まり、オーストリア大公夫妻の暗殺につながった…。両親を殺した一派に追われる公子アレックと、空への憧れから男装し英国海軍航空隊に志願した少女デリン。ふたりの運命は、やがて巨大飛行獣リヴァイアサンで邂逅する。奇妙なテクノロジーが彩る第一次大戦下の世界で、少年と少女の成長と絆を描く、ローカス賞受賞の冒険スチームパンク三部作、開幕篇。
戦国の気運高まる室町末期、自らの力だけを頼りに各地を転戦する傭兵集団がいた。その名は「蛇衆」。頭目の朽縄をはじめ、6人は宗衛門老人の手引きで雇い主を替え、銭を稼いでいた。九州のとある地方の領主・鷲尾嶬嶄に雇われ、目覚ましい働きを見せた。だが、鷲尾家は血で血を洗う激しい跡目争いの渦中にあった!比類なき臨場感のノンストップ活劇時代小説。第21回小説すばる新人賞受賞作。
日本を終世愛してやまなかったハーン(一八五〇-一九〇四)が我が国古来の文献や民間伝承に取材して創作した短篇集。有名な「耳なし芳一のはなし」など、奇怪な話の中に寂しい美しさを湛えた作品は単なる怪奇小説の域をこえて、人間性に対する深い洞察に満ちている。
伝説の男は消えたのか、消されたのか。ヤバすぎるその闇に、男は何を見たのか。悪の論理、狂う女、死にゆく男…。AV業界の底辺とそこに巣食う魑魅魍魎たちを圧倒的なスケールで描いた、実録闇物語、渾身の書き下ろし。
教えたこともない経を唱え、行ったこともない土地を語る息子。古い井戸の底に住む謎の美女。すべてを黄金に変える廃液をたれ流す工場。身元不明の少女に弟子入りされた仏師。山に住む鬼におびえて暮らす人々。父を亡くした少女と、人が頭に思い浮かべた物を持ってくる奇妙な巨鳥。生まれつき耳の悪い母が魅せられた、死の間際に聞こえる美しい音楽。親と子の絆を描いた、懐かしくも幽幻な山白朝子の怪談7篇。
ふたつの都市国家“ベジェル”と“ウル・コーマ”は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく…。ディックーカフカ的異世界を構築し、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞をはじめ、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説。
歴史小説『かくも献身的な王妃』がベストセラーとなった後、パリに引っ越してきたジョゼフィーヌ(ジョー)と娘たち。しかし、ジョーを待っていたのは一筋縄ではいかないことばかり。姉のイリスは入院し、母には責められる。娘たちもどことなく冷たい。そこに事件が起きた。夜道でナイフを持った何者かに襲われたのだーフランスでシリーズ累計400万部を突破した人気作、急展開の第二弾が登場。
ニューハンプシャーの山あいの小さな林業の町に暮らす、料理人とその息子。ある夜、寝室から漏れるただならぬ呻き声を聞いた息子は、父親が熊に襲われていると思い込み、ベッドの上の何者かをフライパンで撲殺してしまう。それは父の愛人であり、悪いことに町の悪辣な治安官の情婦でもあった。そして二人の逃避行が始まるー。構想20年!半自伝的大長篇。
追っ手を逃れてニューハンプシャーからボストンへ、そしてヴァーモントへ移り住んだ料理人とその息子。成人した息子は作家として成功し、父親となるが、やがて愛する者たちを次々に失ってしまう。運命に導かれるように、気づけば彼は故郷の町の川のほとりに辿り着き、かつて自分を守ってくれた樵の物語を書き始めるー。ハートフルで壮大、待望の最新長篇。