2011年発売
茶道の家元、本郷家四男は真守は三十八年間、恋愛とは無縁のまま生きてきた平凡でお堅い考古学准教授。ある日、日本文化論の非常勤講師としてやってきた端麗な美貌の年下英国貴族アラステアから、そんな真守の地味さに興味を惹かれたと宣言され、意味不明な接触に砂糖漬けの台詞の数々…すっかりアラステアのかまわれ対象にされた真守。ついに、残業中の研究室で純情処女オヤジの下半身に最大の危機が迫る!?-。
誰が言いだしたのか、その土地は呪われた「ジプシーが丘」と呼ばれていた。だが、僕は魅了された。なんとしてでもここに住みたい。そしてその場所で、僕はひとりの女性と出会った。彼女と僕は恋に落ち、やがて…クリスティーが自らのベストにも選出した自身作。サスペンスとロマンスに満ちた傑作を最新訳で贈る。
“悪魔の手”と名のる人物から、警視庁に送りつけられた怪文書。そこには、連続殺人の犯行予告と、帝都大学准教授・湯川学を名指しで挑発する文面が記されていた。湯川を標的とする犯人の狙いは何か? 常識を超えた恐るべき殺人方法とは? 邪悪な犯罪者と天才物理学者の対決を圧倒的スケールで描く、大人気シリーズ第4弾。 『容疑者Xの献身』で警察には協力しないと宣言した湯川が、再び迫り来る事件に対峙する。「落下る(おちる)」「操縦る(あやつる)」「密室る(とじる)」「指標す(しめす)」「攪乱す(みだす)」の短篇、全5篇を収録。
「私の父の深沢武吉は、生涯巡査であった」。戦中から昭和三〇年頃までの淡路島。小さな駐在所に暮らす、ある一家の悲喜こもごも。-自身の父親と家族をモデルに阿久悠が遺した珠玉の物語は、父親とは何か、時代の激変のなかの家族のつながり、人間としての矜持、生きることの諦観と希望とは何かを問いかけてやまない。
蜀、魏、呉の創業の英雄たち、劉備、関羽、張飛、孔明、曹操、孫権らはすでに亡く、二代目以降の守成の時代となるやその活力の低下は苦しい。やがていずれも晋の皇帝司馬炎の軍門に下り天下は統一された。太唐元(西暦二八〇)年のことである。
新史料・津田三蔵書簡を読み解きながら、津田の内面を描きつつ、大津事件(一八九一年)の謎に迫る異色作。津田三蔵巡査がロシア皇太子を襲撃した動機とは何か。著者は一人の青年の西南戦争での体験を重視し、同時にその煩悶を見つめながら、明治期社会の深淵の中で事件をとらえなおす。幾多の文学作品で描かれた大津事件像とは異質の視点から、事件を描き、明治期社会の闇とともに現代の闇にも迫る。
50年以上にわたって冒険小説のヒーローであり続けたジェームズ・ボンド、暗号名007。その新たな冒険行を、リンカーン・ライム・シリーズなどで知られるサスペンスの巨匠ディーヴァーが手がけたのが本書です。舞台を現在に移し、秘密兵器を開発するQ課が製作した特殊スマートフォンとワルサーPPSを手に、9.11後の世界を駆け回るボンド。スタイリッシュなボンドの言動に彩られたスピーディな展開というボンドものらしいストーリーに、“ドンデン返しの魔術師”ディーヴァーらしい巧妙なプロットが仕掛けられています。
一九六四年、東京。深夜の皿洗いのバイトをするおれは、官能の塊のような女イスズミをめぐってすさまじい喧嘩に巻き込まれる。職を転々とし、次に出会ったのは、後に妻となる女性だったーぎらぎらとあぶなっかしい若き日々が二十年後の冒険と交錯する、渾身の青春冒険純文学。
組織によって選ばれた、利用価値のある社会的要人の弱みを人工的に作ること、それが鹿島ユリカの「仕事」だった。ある日、彼女は駅の人ごみの中で見知らぬ男から突然、忠告を受ける。「あの男に関わらない方がいい…何というか、化物なんだ」男の名は、木崎ー某施設の施設長を名乗る男。不意に鳴り響く部屋の電話、受話器の中から静かに語りかける男の声。「世界はこれから面白くなる。…あなたを派遣した組織の人間に、そう伝えておくがいい…そのホテルから、無事に出られればの話だが」圧倒的に美しく輝く強力な「黒」がユリカを照らした時、彼女の逃亡劇は始まった。
思わぬ幸せも、不意の落とし穴もこの道の先に待っている。どこから読んでも、何度でも、豊かに広がる10の物語。誰もが迎える、人生の特別な一瞬を、鮮やかにとらえる森絵都ワールド。
「終点のあの子」作者の誰もが待ち焦がれた新作は、仲良し四人組の探偵小説。ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子。恋愛の荒波も、仕事の浮き沈みも、四人の絆で乗り越えてみせる。
お葬式のご用命は、真心と信頼の旅立ち・セレモニー黒真珠までー小さな町の葬儀屋「セレモニー黒真珠」を舞台に、シッカリしすぎなアラサー女子・笹島、喪服が異常に似合う悩めるメガネ男子・木崎、どこかワケあり気な新人ハケン女子・妹尾の3人が織り成す、ドラマティック+ハートウォーミングストーリー。連作短編全6作品を収録。
あたし夏子、高校一年生。クラスに春香っていう一人ぼっちでいるのを気にしない女の子がいた。いじめの経験があるあたしは、彼女がどうして平気なのかわかんなかった。でも彼女はそうするしかなかったんだ。耳が聴こえなかったから。春香をきっかけに、あたしはろう学校に通うダンス好きの美紗と知り合った。最初のうち、春香を美紗を避け、一緒にダンスすることも大反対。美紗が一人で練習をしているとき、同じように一人で踊る女子大生の澪さんと出会った。澪さんも耳が聴こえなかったんだ。生まれつき聴こえない、幼少期に病気で聴こえなくなった、最近事故で聴力を失った女子三人によるダンスチームが結成。あたしは彼女たちのマネージャーに。さらに、澪さんがコーチ(それも男性!)を引っ張ってきたんだけど、そのコーチもちょっといわくつきで、ダンスチームは波瀾万丈、もうたいへん!困難はあれど力をあわせて前向きに生きる、ポップな青春小説登場。
英国での奇跡調査からの帰り、ホールデングスという田舎町に滞在することになった平賀とロベルト。ファイロン公爵領であるその町には、黒髪に赤い瞳の、美貌の吸血鬼の噂が流れていた。実際にロベルトは、血を吸われて死んだ女性が息を吹き返した現場に遭遇する。屍体は伝説通り、吸血鬼となって蘇ったのか。さらに町では、吸血鬼に襲われた人間が次々と現れて…!?『屍者の王』の謎に2人が挑む、天才神父コンビの事件簿、第5弾。
盟友・橘逸勢らと共に、遣唐使として長安に入った若き僧・空海。密教の真髄を「盗みにきた」と豪語する空海は、ありあまる才で多くの人を魅了していく。一方長安では、奇怪な事件が続いていた。役人・劉の屋敷に猫の化け物が取り憑き、皇帝の死を予言したという。噂を聞いた空海と逸勢は、劉家を訪れ妖猫と対峙することに。その時から2人は、唐王朝を揺るがす大事件にかかわることになるー!中国伝奇小説の傑作ここに開幕。
妖猫に取り憑かれた劉家の妻が唄った歌。それが、およそ60年前、詩仙李白が玄宗皇帝の寵妃・楊貴妃の美しさを讃えた詩だと知った空海と逸勢は、偶然知り合った後の大詩人・白楽天と共に馬嵬駅へ行き、楊貴妃の墓を暴くことに。だが驚くべきことに、そこには妖しい呪がかけられていたうえ、石棺の中に楊貴妃の姿はなかったー。そんな空海に、謎の方士・丹翁は「このことは忘れよ」と警告するが…?中国伝奇小説の傑作、第2弾。