2011年発売
19世紀ロシア。農奴解放令にともない、古い貴族文化は、新しい民主的文化に取って代わろうとしていた。その転期に、「ニヒリスト」なる者たちが台頭しはじめるー。旧世代と若者たちとのさまざまな議論を通して世代間の思想の相克を描きつつ、そこに新時代への曙光を見出さんとした。19世紀ロシア文学の最高傑作のひとつを漫画化。
ある夜、怪物が少年とその母親の住む家に現われたーそれはイチイの木の姿をしていた。「わたしが三つの物語を語り終えたら、今度はおまえが四つめの物語をわたしに話すのだ。おまえはかならず話す…そのためにこのわたしを呼んだのだから」嘘と真実を同時に信じた少年は、なぜ怪物に物語を話さなければならなかったのか…。
国際江戸川大学の1年生、ぴいくんと慎之介は、同期生の古都里ちゃん、海月ちゃんと居酒屋「ちの利」で開く宴が学校帰りの楽しみ。そんなある日、大学に伝わる恐怖の七不思議、通称「江戸七」の一つを目の当りにしてしまう。4人は、ぴいくんの従弟である天才高校生、千葉千波くんに解決を依頼するのだがー!?書き下ろし特別編も収録した、ユーモアとパズル感覚満載の好評シリーズ第5弾。
ただ一人の乗員を目的地に届ける片道分の燃料しか積んでいない緊急発進艇に密航者がいたら、パイロットのすべきことはただひとつー船外遺棄だ!だがそれが美しい娘で、しかもたった一人の兄会いたさに密航したのだとしたら、あなたならどうする?…SF史上に燦然と輝く記念碑的名作「冷たい方程式」をはじめ、名作、傑作の誉れ高い作品全9篇を厳選。旧版からの2篇に新たに7中短篇を加えたSF入門書の新版登場。
大河ロマン「グイン・サーガ」の続篇を書き継いでいくプロジェクト第3弾。外伝連載第3回「星降る草原」ではスカールとリー・ファの出会いが、「リアード武侠傳奇・伝」ではついにサーガ最大の禁忌が、「宿命の宝冠」では陰謀が引き起こすさらなる悲劇が描かれる。遺稿「スペードの女王」は、伊集院大介シリーズ最新作。「手間のかかる姫君」は、ユーモラスな初期グイン・サーガ外伝。中島梓の内面に迫るエッセイ他。
女性誌「フレンジー」の人気連載小説「あなたの愛へ」。その同姓同名の主人公が自分だと思い込んだ川上孝一は、思い余って著者の榛名ミサキを刺してしまう。それに端を発して起こる、デパ地下惣菜売り場での異物混入事件、ネットでの企業中傷事件、そして郊外マンションでの連続殺人ーだが、その背後には謎の女マイコの存在があった…。現態人のささやかな狂気と、連鎖する因縁の果てに明かされる驚愕すべき真実とは?『殺人鬼フジコの衝動』の著者が仕掛ける、もうひとつの罠。
女性調査員リスベットにたたきのめされた後見人のビュルマンは復讐を誓い、彼女を憎む人物に連絡を取る。そして彼女を拉致する計画が動き始めた。その頃ミカエルらはジャーナリストのダグと恋人ミアが進める人身売買と強制売春の調査をもとに、『ミレニアム』の特集号と書籍の刊行を決定する。ダグの調査では背後にザラという謎の人物がいるようだ。リスベットも独自にザラを追うが、彼女の拉致を図る者たちに襲撃された。
子供の頃から居眠りばかり、けれども女好きなることこの上なく、国家老になってからも「昼行燈」という、あだ名をもらっていた男。柚子味噌をなめながら晩酎をし、妻女と仲よく暮らし、たまさかには出張にことよせて、あまり上等でない遊女たちと、たわむれ遊ぶことに無上の喜びを感じていた男…大石内蔵助という男の足音。
苦沙弥先生の書斎に今日も集うのは、迷亭、寒月、三平ら、太平の逸民たち。人間どもの珍妙なやりとりを、猫は黙って聞いている。滑稽かつ冗舌な文体と痛烈な文明批評。発表当時から「とにかく変っている」という折り紙がついた、夏目漱石の処女小説。読んで笑うもよし、首をかしげるもよし、深く考えるもよし。
タクシードライバーの蛭間正は深夜、新宿で若い女を乗せた。だが、何者かに胸を刺されていた彼女は「佐賀へ連れて行って」と言い遺し、車内で絶命する。遺族の懇願もあり、いつしか蛭間は死者を乗せて佐賀までの1200kmを疾走することにー。正体不明の追跡者が現れるなか、蛭間は困難をくぐり抜けられるのか。豪雨、落石、そして謎の追跡者。数々の困難がドライバーを襲う。戦慄のサスペンス。
「ことさら深刻ぶるのはよそうぜ」などとカッコいいせりふを吐いてぼくたち二人はおたがい納得して「離婚」したのです。ところがどこでどうなったのでしょうか、ぼくはいつのまにか、もと女房のアパートに住みついてしまって…。男と女のふしぎな愛と倦怠の形を、味わい深い独特の筆致で描き出す直木賞受賞作品。
生物と機械の境界が曖昧になった近未来のトーキョー。便利屋のおれが引き受けた「ラクダを捜してほしい」という奇妙な依頼が、謎の中国人、妖艶なひとつ目女を道連れにした、驚異に満ちた冒険へと発展する。著者の歩いたアジアの風景が、誰も見たことがない魅惑的な世界に結実した会心のシーナ的SFワールド。
貴方が生きている限り、避けることのできない苦しみがある。どんなにうまく人生を遣り繰りしてきたつもりでも、身の処し方に迷うことがある。そんな時、拠り所になる信条を持っていますか?遠く懐かしい記憶を、今でも大切にしていますか?かつて幼かった貴方の姿を、瑞々しい筆致で描いた掌編小説集。
「沙高樓へようこそ」女装オーナーの言葉で、今宵もめくるめく百物語が始まる。日本刀の真贋をめぐる真実、かつての日本映画界の伝説、やくざ渡世の内幕ー巨万の富と名誉を得た者が胸に秘めてきた驚愕の光景が、鮮やかな語り口とともに展開する。ストーリーテラー・浅田次郎が本領発揮した超贅沢な短編集。
売れっ子芸者のお袖との仲も円満、親友に恋の指南もするとびきりの色男・瓢六。智恵と愛嬌を買われかりだされたある事件の聞き込みで、致命的なミスを犯してしまう。自分には何かが欠けているーお袖とも離れ、重い心を抱えた瓢六は、事件の陰にいる謎の美女を追い詰められるのか。人気シリーズ新展開。
城林大ミステリ研究会で、年末恒例の犯人当てイベントが開催され、サークル一の美人・赤江静流が、長身の彼氏を部室へ連れてきた当日、部室の本の上には、あるものが置かれていた。突如現れたシットを巡る尾篭系ミステリの驚愕の結末とは!?「読者への挑戦」形式の書き下ろし短編、「三つの質疑」も特別収録。