2012年11月発売
2030年9月16日午前6時19分。研究学園都市・鹿鳴市郊外の原子力生物学機構第6研究所・通称『ラボ』にて、深刻な事故が発生する。爆発の続く施設内に閉じ込められた高校生・天川夏彦と、記憶を失くしたレスキュー隊隊長・笠鷺渡瀬。二人の邂逅は、この危機を打開出来るのか!?最悪の極限状況の中で、壮大な人間ドラマがいま幕を開ける。
復讐が終わり、黒い夢のなか。瞳の奥には在りし日の兄の姿。兄の遺品を頼りに辿り着いた、狼哭の里で弟が見たものとは?「蛇」から「鷹」へ至る空白の物語、小説で解禁。
メアリーに初めてできた友だち、マミヤくん。マミヤくんはとても見た目のいい小学六年生の男の子で、メアリーにいつも“お願い”をする。先生が、生徒が、少しずつ教室からいなくなる中、クラスメイトのカセくんは、マミヤくんを止めようとする。メアリーは“お願い”を叶え続けるのかー。児童文学の新鋭が描く、戦慄の名作。手に汗にじむ展開、慟哭のラスト。
琵琶湖の湖北、国友村。鉄炮を幕府に納めるこの村では扶持の半分を年寄四家が独占、平鍛冶の藤兵衛は、想いを寄せる人の身売りを止めることもできないほどの貧困に喘いでいたー時の将軍にも重用された伝説の鍛冶師、奇跡の人生を描く長編ロマン。第7回小説現代長編新人賞受賞作。
なぜジャン・ヴァルジャンは、パリのその街区に身を隠したのか?里親から虐待を受けるコゼットが、夜店で見ていた人形はどこ製か?19世紀の美麗な木版画230葉を106シーンに分け、骨太なストーリーラインと、微に入り細を穿った解説で、“みじめな人々”の物語をあざやかに甦らす。長大な傑作の全貌がこれ一冊でわかる。
浜町河岸のご隠居・武部九郎右衛門に、大金を隠し持っているとの噂あり。その額、五千両とも一万両ともいわれ、金目当ての有象無象がかまびすしい。縮尻御家人こと拝郷鏡三郎も興味津々、事の成り行きを見守るが、ご隠居の覚悟もさるもの、おいそれとは尻尾を掴ませない…。老境の哀歓を見事に描き切った忘れがたき傑作。
ついにケータイを購入すべく、秋葉原を訪れた浅見光彦。その帰路、若い女性が彼の腕の中に倒れ込み、そのまま絶命してしまう。淡路島出身の彼女は、故郷の禁忌を破ったことを気にしていたという。古事記に「国生み」神話を残す淡路へ、引き寄せられるように赴いた光彦は、事件の背後に巨大な闇が存在することに気づくー。
事件解決の鍵が一本の「道」にあると察した浅見光彦は、テレビ記者の松雪真弓とともに伊勢へと向かう。真相に近づき、淡路に戻った二人を出迎えたのは、新たな死体だった。民間信仰、政治家と大企業の癒着、新興宗教ー。すべてがひとつにつながったとき、戦慄の事実が浮かびあがる。巻末に著者による「自作解説」を付す。
七福神めぐりが流行る神楽坂で、寿老人役の爺さんが石像に頭をつぶされて亡くなった。近所ではずいぶん嫌われ者の老人だったのだが…。一方、奉行所が十年来追い続ける大泥棒・品川左衛門が久々に姿を現す。贋の恵比寿天から弁財天の口吸いまで、不可思議な事件が相次ぐ。根岸肥前が活躍する書き下ろし余話「虫一匹」を収録。
町田駅前ー刑事総務課のシングルファーザー・大友鉄は、捜査三課からの要請で老スリの現行犯逮捕を手伝うことになる。簡単に終わるはずの仕事は、同時に起きた自殺騒ぎで撹乱され…。消えたアタッシュケースの先に待ち受けていた驚愕のアナザーフェイスとは?警察小説の面白さがすべて詰まった大人気シリーズ第4弾。
薬種問屋の主が斬殺され、娘が身投げをした。浪人に手篭めにされ、強請られていたのが原因だという。そこで浮かび上がった浪人・宗方慎之介は、元は直参旗本、そして秋山久蔵の幼馴染みだった。追い詰められ、「公儀に恨みを晴らす」と言い残して死んだ友の無念に、久蔵は隠された悪を暴くことを誓う。人気シリーズ新装版第7弾。
銅吹所からたれ流される鉱毒に汚された町・宝亀町。原因不明の病に苦しむ町人は、金と引き換えに引っ越しを持ちかけられる。「こんな雀の涙みたいな金で、故郷を捨てろというのか!」-情熱と情報力と権力を携えた若き町年寄・三四郎が大規模な問題に立ち向かう人気シリーズ第八弾。幼馴染の佳乃との仲もいよいよ進展!?
コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の近くに、ライバル店「つづら」が開店した。つづらは元和菓子屋だったが、近隣では経営難のオーナーから詐欺まがいの手口で土地家屋を買い叩く業者グループがいるという噂がある。小蔵屋を営む気丈なおばあちゃん・杉浦草は、背景を調べ始めるが…。
京都市内を流れる琵琶湖疏水に浮かんだ、男の溺死体。親友の死に疑念を抱いた若き僧侶・蜷川賢了は、遺体から違法ドラッグが検出されたことを知り、調査に乗り出す。一方警察には、国宝級の仏像の不正売却を告発する怪文書が届いていたー。京都に君臨する巨大宗派の欺瞞を抉り出す、新・社会派ミステリー。
こんなに純粋で、他に何もない、ただひたすらの欲情に我と我が身が翻弄されるのは実に久しぶりだった。直子と一緒だった頃、俺はこんなふうに生きていたのだろうかー挙式までの五日間、抗いがたい欲情に身を任せる賢治と直子。出口の見えない、男と女の行き着く先は?不確実な世界の、極限の愛。