2012年発売
真っ白に海が凍るオホーツク沿岸の町で、静かに再会した男と女の凄烈な愛を描いた表題作、酪農の地を継ぐ者たちの悲しみと希望を牧草匂う交歓の裏に映し出した、オール讀物新人賞受賞作「雪虫」ほか、珠玉の全六編を収録。北の大地に生きる人々の哀歓を圧倒的な迫力で描き出した、著者渾身のデビュー作品集。
著者自身が厳選した待望の著作集。読売文学賞受賞の代表作「仮往生伝試文」全作を収録。説話が伝える僧俗の往生、現代の日常に滲む死の実相、今昔の死と生を往還し虚と実、夢と現を果てしなく越境して、文学の無限の可能性を尽くした戦後文学の金字塔。
子供たちが読書を通じて、希望と、困難を乗り越える強さを持つことができるように祈るー世界に感動を与えた美智子さまの国際児童図書評議会世界大会での挨拶(英語、日本語)を収録。
「無法請負人」モンク・イーストマン、「動機なき殺人者」ビル・ハリガン(ビリー・ザ・キッド)、「傲慢な式部官長」吉良上野介など、読者には先刻お馴染みの悪党や無法者についての史実や原話を本歌取りしたボルヘス最初の短篇集。ボルヘスによる悪党列伝。
過去を隠して孤児を育てる元「捜宝人」の宋格之。父の命を奪った彼と生きる美しい紫蘭。ささやかな希望が芽生えた町を、ある日、皇帝の陰謀が襲った。美少女仙人・僕僕先生と王弁は、鋼の手で敵を滅ぼす伝説の神を求めて湖の底へー。シリーズ第6弾。
漫画界の巨匠が遺した未発表原稿。発見された50枚の原稿には、若い女性を誘拐・監禁し、苦悶する姿をデッサンして殺害する“漫画家”なる人物が描かれ、さらには、作中の被害者の顔は、35年前の連続女性失踪事件で消えた女性に酷似していた。果たしてこれは巨匠本人が描いたものなのか?別人だとすれば誰が、何のために?作者は現実に女性を次々に誘拐し殺した犯人なのかー原稿に遺された痕跡が新たな猟奇事件を招き、驚くべき犯人像が浮かび上がるが…。二転三転から、ありえない結末へ。伝説的名作『MASTERキートン』原作者の一人。漫画界のカリスマだからこそ書けた驚愕のミステリー長編。
ピーター・ジャンセンは生物学を専攻する大学院生。マサチューセッツ州ケンブリッジの大学で、仲間の六人の院生と共に先端研究にいそしんでいた。そんな七人の科学者が、新薬開発を行なうベンチャー企業Nanigenマイクロテクノロジーズにリクルートされる。ハワイの謎めいた研究所に招かれたピーターたちは、そこでハイテクを駆使した革新的な装置“テンソル・ジェネレーター”の存在を知るが…。やがてNanigenが関わる犯罪を知ったピーターら七人は、“テンソル・ジェネレーター”によって身体を百分の一サイズに縮められ、ハワイの密林に放り込まれてしまう。四十八時間以内にもとの大きさに戻らないと副作用から死を招くらしい。牙をむく獰猛な大自然を前に、若き科学者たちは専門知識のみを武器にジャングルから決死の脱出を図るー。クライトンの死後パソコンから発見された未完の遺稿を、練達のサイエンス・ライターが書き継いだ、巨匠の真骨頂を示す最後の傑作スリラー。
獲物をかじる不気味な物音、闇にこだまするあやしい鳴き声、鬱蒼たる森にうごめく奇怪な虫たちー。そのただなかで、身長二センチほどのマイクロヒューマンにされたピーター・ジャンセンら7人の大学院生は、持てる知識を総動員して脱出を目指していた。その一方、七人の存在が目障りなNanigenの社長ヴィン・ドレイクは、武装した刺客を“テンソル・ジェネレーター”で縮小して送り込む。だが、同社周辺で続発する事件に不審を抱いた警察が動き始めた。さらに、行方不明となった院生らを気づかう謎の人物もまた、Nanigenをひそかに監視していた。ピーターら若き科学者たちは無事にスーパージャングルを切り抜け、もとの身体に戻ることができるのか?科学とフィクションを巧みに融合させたエンターテインメントの最先端にして、大自然への畏敬に満ちた巨匠のラスト・メッセージ。
大脳が異常発達した小学生5人が信仰する最悪の宗教、それが「勉教」。その布教活動を、絶対に止めなければならない。担任の吉野亞夜花は、その決意を元恋人に託して自殺した。しかし彼女の部屋からは、15本もの指が発見される。連続猟奇殺人鬼フィンガー・ハンターの収集品だった。異常なのは生徒なのか教師なのか?警視庁超常犯罪捜査班チームクワトロは、謎のカルト宗教を操る驚異の存在を探り当てた。書き下ろし。
アイルランドの女子大生ブリーダの、英知を求めるスピリチュアルな旅が始まる。旅を導くのは、ふたりの師。恐怖を乗り越えることを教える男と、魔女になるための秘儀を伝授する女。ふたりから特別な力があると認められたブリーダだが、自分の道は自らの手で切り拓かねばならない。実世界との結びつきと、刻々と変容していく自分自身との狭間で、ブリーダの心は揺れるー。コエーリョ初期の感動作、待望の文庫化。
偶然、近くの席に座ったから。共通点があったから。それとも、正反対だったから?私たちは出会いと別れを繰り返し、成長し続けていくー。旬の作家が集結、それぞれが描いた出会いと別れの物語とは?いま読みたい名作を厳選したラインアップでおくる、短編小説集。
レトルト食品工場に勤める若宮は鬱屈を感じていた。花火大会の夜、少女・花歩を殺めてしまう。花歩は母・理絵とともに、被害者が加害者と向き合う修復的司法に携わり、犯罪被害者支援にかかわっていた。13歳の娘を殺された理絵のもとに、犯人逮捕の知らせがもたらされる。しかし容疑者の供述内容を知った理絵は真犯人は別にいると確信。かつて理絵の教え子であった若宮は、殺人を告白しようとするが…。驚愕のラスト、社会派ミステリー。
浅見家の菩提寺、聖林寺の鐘の音が夜中に鳴り渡った。浅見光彦と雪江が不気味に思っていると、翌日その鐘から血が滴っていたと住職から知らされる。さらに半月後、顔に鐘の紋様痕をつけた男の変死体が隅田川に浮かんだ。浅見は、琴電の切符を唯一の手掛かりに四国高松へと飛ぶ。被害者の美しい妹と共に事件を追う浅見は、「カネ」にまつわる過去の死と人間の愛憎を浮かび上がらせ…。浅見の名推理を堪能できる傑作長編。
1922年、北海道・旭川で生まれた私は、両親や兄弟姉妹の愛情に包まれながらも、体が弱かったせいか人一倍臆病な子供で、無気味さと淋しさ、不安や恐怖の入りまじった中にあったような気がする。しかし小学校にあがり、級友たちとのふれあいや人の死など様々なことを経験し、「生きる」とはどういうことかをおぼろげに感じ始めるー。愛と信仰と文学に生きた作家、三浦綾子の原点が鮮やかに描かれた、長編自伝小説。
「もの凄いモテ年になる」-。おかまの繁蔵の占いどおり、静湖姫の周りには次々と素敵な男性が現れていた。そんなある日、赤穂浪士を最後に預かった大名家で奇妙な文献が見つかったとの報せが。そこには討ち入りについての驚愕の新事実が記されていた!さらにその記述にまつわる殺人事件も発生。新事実と事件の調査に右往左往する静湖姫の前に、また素敵な男性が現れてー。人気沸騰の「姫は、三十一」シリーズ第2弾。
生まれ育った銀の森屋敷を切り盛りするパット。愛する愛族に囲まれて幸せなはずだったが、兄たち、そして妹までが結婚することになり周囲からは「売れ残り」と陰口をきかれるようになる。この人こそはー。そう何度も思いながらなかなか結婚にたどり着くことができない、そんなパットが最後に手に入れた真実の愛とは?恋愛や結婚そして生き方に迷うすべての女性に贈るモンゴメリの傑作『銀の森のパット』感動の完結編。