2013年1月発売
警視庁刑事部長を務めるキャリア、伊丹俊太郎。彼が壁にぶつかったとき頼りにするのは、幼なじみで同期の竜崎伸也だ。原理原則を貫く男が愛想なく告げる一言が、いつも伊丹を救ってくれる。ある日、誤認逮捕が起きたという報に接した伊丹は、困難な状況を打開するため、大森署署長の竜崎に意見を求める(「冤罪」)。「隠蔽捜査」シリーズをさらに深く味わえる、スピン・オフ短篇集。
新作が書けぬ小説家・下村に届いた旧友春男の近況。長く疎遠だった春男は、三十を過ぎうつ病を発症したという。青春の華やぎを一切拒絶して引きこもる息子を案じ、両親の相談を受けた下村は、筆の進まぬ窮状を脱する好機と、ある不穏な「実験」を思いつくが…。潮風と砂が吹きつける海峡の町で、孤独且つ平和という泥濘であがく人々の精神の危機を冷徹にえぐる表題作ほか2篇。
上賀茂神社の禊ぎの川で発見された、素肌に絢爛豪華な振袖をまとい、二つに折れた破魔矢を持った若い女性の死体。さらに、下賀茂神社の糺の森や蚕ノ社の三柱鳥居の足元にも、素肌に振袖を着せられ、破魔矢を持たされた女性の遺体が…。京都文化大学民俗学部教授・竹之内春彦が、人神交婚伝説に仮託された猟奇的連続殺人の謎に挑む、民俗学ミステリー。
2001年1月〜2002年1月放送の仮面ライダーアギトの小説版です。 翔一が失った過去に秘められていたのは!? ロード怪人“アンノウン”を倒すことができるのは、アギトかギルスかG3か!? 記憶喪失という苦悩を背負いながらもアギトに変身してアンノウンと戦う翔一。ギルスへの変身能力に覚醒したがために肉体が蝕まれてゆく涼。神秘のベールに包まれた戦士アギトとギルス、そしてG3・氷川を交え、真魚をとりまく人々の運命はーー!? プロローグ 第一章 第二章 第三章 第四章 エピローグ
2003年1月〜2004年1月放送の仮面ライダーファイズの小説版です。 ファイズvsオルフェノク 戦いの行方は!? すべてが去ってしまった五年後ーー。巧と真理に何が起きたのか。 数奇な運命に振り回された巧と真理。啓太郎、雅人、直也、勇治、彼らとの出会いと別れーー。新たに登場した光る戦士の正体とは。何もかもすべてが去ってしまった今、巧と真理は幼い頃に感じた温もりと鼓動を胸に、再び歩き始める……。 ※この作品は2004年8月、小社より刊行された『仮面ライダーファイズ正伝ー異形の花々-』に「五年後」を追補したものです。 プロローグ 第一章〜一八章 エピローグ 五年後
両親の死により全寮制の賀来宮学園に転入した祐哉。だが、早々に風紀委員兼寮長の凪に敵意を向けられてしまう。裕福な子息たちが通う賀来宮学園ー偶然にも幼馴染みの彬と再会を果たすが、生徒たちは凪と彬に、そして“卒業”という言葉に怯えていた。“卒業”の意味する学園の闇が祐哉に近づく中、自分を守ろうとする凪の行動に戸惑う。一方、変貌した彬の憤怒の矛先は…。祐哉、凪、彬が迎える結末とは!?-。
大手自動車メーカー勤務の宏夢は、デザイン開発に役立てるべく28歳にして大学院へ進学。所属することになる流体力学の研究室に顔を出したのだが、そこでよりによって最も会いたくなかった男、鮫島響と再会する羽目に…。中学高校と一緒で、一時期つきあっていたこともある間柄。だが、彼とは最悪の別れ方をした。十年前の悪夢を忘れない!…とつれない宏夢をよそに、すべては誤解だと響の熱烈再愛攻撃が始まり…。
「定吉七番」-大阪商工会議所秘密会所所属の情報部員、「殺人許可証を持つ丁稚」である。八つ接のハンチング、唐桟のお仕着せに前垂れかけて、愛用の包丁「富士見西行」を懐に、関西経済界の破壊を目論む悪の結社「NATTO」(汎関東主義秘密結社)に、再び挑む。日本中を熱狂させた伝説のシリーズが、四半世紀ぶりに復活。爆笑必至のスパイアクションコメディ。
夫の「優しさ」を耐えられない私(「やさしナリン」)、進路とBITCHで悩む俺(「すっとこどっこいしょ」。)、卑猥な渾名に抗う私(「ンポ先輩」)、“作日の僕”と対峙する僕ー(「あまりぼっち」)。出会いと別離のディストピアで個を貫こうともがく七人の「私」たちが真実のYOUTOPIAを求めて歩く小説集。第148回芥川賞候補作「美味しいシャワーヘッド」収録。
高校生の広海は、祖父である大和尚の仕事を手伝っている。ある日、同級生のサチがお寺にやってきた。ふたりは次第に親しくなるが、彼女は母親との関係に苦しんでいてー東北の町を舞台に、人生につまずいてしまった人たちが再び歩き始める姿を描く、凛としたやさしい物語。