2013年4月発売
20世紀初頭に入り爛熟期を迎えた文化都市ウィーン。音楽と犯罪学に打ち込む素人探偵ダゴベルトは、友人グルムバッハ夫妻との晩餐後、葉巻と珈琲を楽しみつつ、ハプスブルグ朝末期の社交界で起きる様々な難事件解決の顛末を披露する。「クイーンの定員」にも選出されたダゴベルト探偵譚から9篇を精選。オーストリアのコナン・ドイルと称される著者の本邦初となるオリジナル短篇集。
公演を終え骨休めに訪れた地で遺体に遭遇したアバークロンビー・リューカー。深入りする気はなかったが、関係者の些細な嘘を契機に、眠っていた探偵の勘が呼び覚まされた。誰かが何かを隠そうとしている。あれを事故と考えるなら不自然な点にどう説明をつけるのか、殺人であれば犯人と動機が存在するはず…。探索を始め妙な光景を目にした夜、リューカーは新たな遺体を発見。
魔術の首都ロンドンー一羽の“ハヤブサ”が首に重いお守りをかかえながら飛行していた。それは、ヒヨッコ魔術師の危うい命令に従わされている5010歳のベテラン妖霊バーティミアスの姿だった…。超人気ファンタジーシリーズ、読みやすい軽装版。
1年間限定で自転車部に所属することになった正樹。走る喜びと恐怖の間で葛藤しながらも、レースに挑んでいく。走ることが祈ることであるかのように…。「サクリファイス」シリーズ最新長編、新たな舞台は大学自転車部。
福島県費生として上海に学び、現地入営した矢田部信幸。復員列車で助けられた男を探し、深山を巡るうち木工に魅せられ、木地師の源流とこの国のなりたちを辿ってゆく。23歳の終戦、いかに生き直すか。直木賞受賞作『生きる』から10年、著者初の現代小説。
山岳怪談実話の名手が放つ、著者自ら訊き集めた極上の山の怪異譚。自分が体験した話、山仲間から聞いた話、山麓の呑み屋で仕入れた話…。渓流釣りや山菜狩り、キノコ狩りなど、登山以外の山の達人から聞き集めた怪談も。山を愛する著者ならではの山岳描写豊かな全21編。文庫化にあたり書き下ろし「ポニーテールの女」を収録。
“アルトデステニア皇国”の南方に位置する南洋諸国で、突如事件が起きた!皇国を追われた貴族が海賊となって島を襲い、多数の死傷者を出したのだ。事態を重く見た摂政レクティファールは、自ら海賊討伐に乗り出すことを決めるー。
ワープに失敗して飛びこんだのは、宇宙海賊相手の連合宇宙軍の包囲網の真っ只中だった。しかも輸送中の急病人や付添人まで「ミネルバ」から消え失せている。そして失神から目覚めたジョウを待っていたのは、クラッシャーの資格停止を含む最悪の事態。汚名をそそぐべく、罠を仕掛けた依頼人を追って、ジョウのチームは惑星ライゴールに飛んだ。安彦良和監督による劇場映画『クラッシャージョウ』を原作者が完全ノベライズ。
レストランで偶然聞こえてきた若い娘とその婚約者との何気ない会話を描く、短くも鮮烈な表題作。南フランスにある海辺の保養地をおとずれた新婚夫婦の仲が、あるいきさつから危機に直面する様子を中年の作家がほろ苦くつづった「ご主人を拝借」-本邦初紹介となる「祝福」と「戦う教会」を含む多彩な味わいの十六短篇を収録。ひそやかなユーモアと胸を打つ哀感をあわせもつ、イギリス文学の巨匠の日本オリジナル短篇集。
かつて魔法使いが月を引き下ろして創った王国“緑の凍土”。極寒の地で唯一豊穣の恵みを享受するその国を支えるのは、伝説の鹿サルヴィの角。それが崩れるたび、王国は災厄に見舞われてきた。王子でありながら家臣に育てられた少年ディアスは、そこで王位継承争いとは無縁の穏やかな日々をおくっていた。しかし異母兄オブンの奸計により、突如故郷から追放されてしまう。同じ頃、姪であり幼馴染みのアンローサにも危機が迫っていた。角の崩壊に怯え、度重なる危機に疲弊した王国、そしてディアスとアンローサが窮地に立たされたとき、彼らの選択が未来を切り拓くー。
燃えるような赤毛のバイオリニスト、サマー。男性とうまく関係を築けない彼女は、音楽に没頭することで気を紛らせてきた。しかし路上演奏の最中に騒動に巻き込まれ、大切なバイオリンを失ってしまう。失意に沈む彼女だったが、謎の男から新しいバイオリンを提供するとの突然のメールが。それも奇妙な条件付きで…。彼はいったい誰?官能ベストセラー『エイティ・デイズ』シリーズ第一弾。
プロの暗殺者“影ジェント”瀬見塚は豪華客船のオーナーを暗殺するため洋上の船に潜入した。船員はみな薬物で眠らせたはずだったが、なぜか暗殺チームの一人が殺される。しかも船は自動操縦で数時間後に座礁の危機。暗殺任務に加え、どこからともなく飛来したコンドル三兄弟の襲撃をかわし、仲間殺しの犯人を見つけなければならない。敵味方入り乱れて推理が交錯し、本格パズル・ロワイヤルの幕が開く。
すべては1世紀半前、当代の名優が観劇中のリンカーンに向け放った銃弾から始まった。演劇的想像力が世を覆い、大統領暗殺は、アメリカのみならず、世界全体へのテロリズムとなるだろう。ブッシュ、オバマ政権以降、ますます鮮明になるアメリカの終わらない「物語」の構図を、克明に解き明かす。
高校に入って初めての夏休み。先ごろ眞魔国第27代魔王に就任した野球小僧・渋谷有利は、自分の誕生日前日、水族館のイルカプールに落ちて流され、3度目の異世界行きを果たす。するとそこではニセ魔王騒動が起きていて!?(「今夜はマのつく大脱走!」)彼女いない歴=年齢の魔王ユーリの前に、ある日“ご落胤”を名乗る幼女が現れた!身に覚えのない隠し子の登場に動揺が走るが…(「明日はマのつく風が吹く!」)。大暴走ファンタジー、第2弾。
浅見光彦は、母・雪江のお供で兵庫県の名湯・城崎温泉を訪れた。土蜘蛛伝説が伝わるこの地で温泉情緒を満喫しようとした浅見母子だが、現地で「幽霊ビル」と呼ばれるいわくつきの建物で死体が発見された現場に行き当たり、現地で調査を始めることに。3人目の遺体が発見された異常事態を自殺と決め込む現地警察に対し、浅見はこのビルが悪徳商法で名高い保全投資協会に建てられた物であることから、事件性が高いと主張するがー。
時は平安。相棒の物の怪とともに都に戻ってきた、大陰陽師・安倍晴明の末の孫・昌浩。だが、失われた『眼』の力は房らないままだった。一方、都では、彰子の異母姉妹である中宮・章子が病に倒れ、中宮の平癒祈願に向かった晴明が、玄い影に襲われるという非常の事態が起きていた。昌浩は中宮の里内裏である土御門殿を訪れるが、そこには謎の怪僧が待ち受けていた!?大人気の見習い陰陽師物語「天狐の章」第2弾、登場。
天下の日本橋。ふらふらと橋を歩く坊主頭がいた。凶暴な顔つきのその男が、頭巾のようなものをかぶった途端、驚くべきことが起きた。なんと男は、いきなり爆発したのだ。阿鼻叫喚の騒ぎとなった橋から、男は逃げていったという。前代未聞の出来事が、実は長州忍者のしわざだと思った織江は、やがてその恐ろしい目的に気づくー。そして晩年、遠く離れた地で暮らす彦馬と織江は、再び妖しい影と対峙する。シリーズ第2弾。