2013年発売
「どっか行こうぜ。-二人で」幼なじみの大地が妖怪だったという、衝撃の事実を知った萩子。けれど、そのおかげ(?)で二人の仲は急接近。そして、夏休み直前のある日のこと、萩子は大地から二人きりのデートに誘われる。どことなくそわそわしつつ、デートの日を楽しみにする二人だったが、彼らの前に、突然、川の妖怪・蛟が現れてー。後輩・栄永の先祖に会いに来たと言う蛟は、いろんな騒動を巻き起こすのだが…。山間の田舎町、幽谷町で繰り広げられる、恋と青春と、たまに変身のハートフルご近所あやかし物語、第2弾。
浜町堀沿いで三人組に襲われている松尾を助けたことから、円十郎は三千石の旗本・松尾家の家督相続にからんだ、正体不明の刺客の始末を依頼される。そんな折、牢人者が三人組に斬り殺される事件が起こる。その三人組を、松尾を狙った刺客と睨んだ円十郎だったのだが…。一刀流の手練が揃った刺客一味を、円十郎の直心影流は倒すことができるのか。待望のシリーズ第四弾。
浅草界隈で頻発する辻斬り。下手人が侍だとわかったため、町方は手を出せないのだが、新米の岡っ引である美代次の気持ちは収まらない。「侍がどうしたってんだ」-美代次は独断で夜回りを始めるも、また犠牲者が…。やがて、下手人が浮かび上がり、その旗本屋敷に一人乗り込んだ美代次だったが、そこには思いがけない事情が隠されていた。「二本十手捕物控」シリーズ第二弾。
香港の中国返還目前の1997年。中国本土を経て香港からアメリカへと運び出されるヘロイン(チャイナホワイト)の流通が激減する異常事態に陥った。新規ルート開拓に旅立ったニューヨークのシチリアマフィアの顧問弁護士を追って、連邦司法省麻薬取締局(DEA)捜査官ベリコフはロシアに飛ぶ。新宿で潜入捜査中に同僚を射殺され、麻薬取締官三崎は自らも瀕死の重傷を負うー傑作巨編、怒涛の上巻。
ホワイトタイガーなる人物が率いる麻薬密売組織が香港に代わるルートに日本に目をつけ、日本最大の広域暴力団に取引を持ちかけた。三崎は故あって独自にホワイトタイガーの正体に迫ろうとする。来日したベリコフはホワイトタイガーの情報を求める中国人趙と出会い、同じ目的を持った三人は共闘して世界的な麻薬犯罪の中核に挑んでいくがー一大スケールのエンターテインメント大作、完結巻。
幕末の九州で「からくり儀右衛門」と呼ばれた男がいた。その名は田中久重。天性の才能を生かし、精巧な「からくり人形」を生み出した。「人の役に立つ技術でないと意味がない」という思いから、灯具、万年時計など、生活機器を作り出し、明治維新後は銀座に工房を設立、後の東芝の祖となる。歴史の波に揉まれながら「技術大国ニッポン」の基礎を作った男の生涯を描く、著者渾身の歴史小説。
ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介。父が横領した金を返済するため、陽介は都内の名門中学を退学し、母の姉が運営する札幌の児童養護施設、魴〓(ぼう)舎に入ることになる。急激な暮しの変化に当惑しながらも、パワフルなおばさんと個性豊かな仲間に囲まれて、陽介は“生きる”ことの本質を学んでゆく。ときに繊細で、たくましい少年たちの成長を描いた青春小説。第26回坪田譲治文学賞受賞作。
あの頃、僕らはいつだって、目の前の何かに夢中になって、彼方の誰かに恋をしていた。宇宙飛行士を目指す兄の背中を、一途に追いかけていた幼い日々。たったひとりの親友以外には友達もいない学校生活で、不意に胸に焼きついた女の子の横顔ー。まっすぐでイノセントな少年少女たちの一瞬を切り取った、心あたたまる青春小説集。巻末に可愛い絵本も収録の、中村航・初の文庫オリジナル作品。
絶対にファイター・パイロットになるんだー。親子三代での戦闘機乗りを目指す航空学生出身の坂上陸と、防衛大学卒業後、国を守りたいという強い思いから航空自衛隊に入ったエリートの高岡速。立場も考え方もまるで違う二人の青年の人生が交差するとき、心揺さぶられる熱いドラマが生まれる!戦闘機に乗ることに憧れを抱き、夢に向かって突き進む若者たちを描いた壮大な“空”の物語。
カントリー・ロックのカリスマ、テイジャ・マクファーランドがライブ公演中に銃弾に倒れた。自殺か他殺か?会場に居合わせたジョー・ベケットはテイジャの死の背景を探る。テイジャはストーカーにつけ狙われていた。そして大統領元夫人でもあった。テイジャの死は彼女個人の問題ではなく、国家を巻き込む陰謀の一端なのか?やがてジョーの動きを封じようとする力が働きだして…。人気サスペンス第3弾。
吉祥寺に出店する大手書店チェーンに転職を果たした理子と亜紀。しかし、大型書店の店長という、いままでと違う職責に理子は戸惑っていた。一方、文芸書担当として活躍する亜紀にも問題が。妊娠をきっかけに起こった夫との確執、書籍の回収騒動ー。そんな忙しい日々の中、本と本屋の力を信じる二人が考え出した新たな挑戦とは?書店を舞台とした痛快お仕事エンタテインメント第二弾。
看護師の貴子が出会った少女、まりもは、ある事件から学校に行けなくなってしまった。貴子は少女を牧場へと誘う。そこで待ち受けていたのは風変わりな牧場主と、乗馬耐久競技(エンデュランス)という未知の世界だったー。北海道の牧場を舞台に描かれる命の輝き。底知れぬ感動をよぶ、祈りと希望の物語。
東京・佃島に400年住み着いている多和田家の娘・笑子は、大学入学をきっかけに一人暮らしを計画。大学近くの洋館「メゾン・ポテ」でルームシェアをすることに。ところがこのお屋敷、改築と増築で中は迷宮状態な上、住んでいる住人たちもなにやら奇妙奇天烈で…。一方、小説家の新城カズマ氏は家出少女たちの相互扶助組織「家出少女連盟」なる組織の噂を聞き込み、その正体を探るべく取材を進めるのだったー。SF・ライトノベルのカリスマが贈る、都市をさすらう非定住者たちのサーガ。
時勢ゆえ戦争に駆り出され、海の男になったピーター・ダルース。久方ぶりの休暇を愛妻アイリスと水入らずで、と思いきや好事魔多し。宿の手配に右往左往、大事な軍服を盗まれ、あげく殺人の容疑者に仕立てられる始末。軍務復帰まで三十時間、警察に引っ張られるなんて冗談じゃない。私立探偵コンビの助力を得て逃避行と真相究明が始まり…。謎が謎を呼ぶ、パズルシリーズ第三作。
濃霧に包まれた晩秋のロンドン。帰庁途中のマクドナルド首席警部は、深夜の街路で引ったくりから女性を救った後、車を警視庁に置いて帰宅した。翌日、彼は車の後部座席に、悪魔の装束をまとった刺殺死体を発見する。捜査に乗り出したマクドナルドは、同夜老オペラ歌手の車に、ナイフと『ファウストの劫罰』の楽譜が残されていたことを掴む。英国本格黄金期の傑作、本邦初訳。
美術店の店主・草介は悠々自適な毎日を送るも、ひとり孤独を感じていた。そんな草介の姿をいつも店先から見つめる少女から、『生きてますか』とひと言だけ書かれた手紙が届く。その不思議な手紙に導かれ、草介は少女の母親と出会い、少女が数日前から家出していることを知る。その頃、少女は恐竜の卵の化石を掘り起こすことが夢だと語る青年に出会う。少女の行方を追う草介は青年の姉のもとにたどり着くが、少女と青年は化石の発掘現場を最後に姿を消してしまっていた。過去を置き去りにしてきた秘密のつながり、そして偶然の出会いが生んだ奇跡とはー。
表は堅気のお人好し、裏は差配も店子も凄腕の悪党が揃う「善人長屋」。天誅を気取り、裏街道の頭衆を血祭りに上げる「閻魔組」の暗躍は、他人事として見過ごせない。長屋を探る同心の目を潜り、裏稼業の技を尽くした探索は、奴らの正体を暴けるか。