2013年発売
2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り…。公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。
フランケンシュタイン家の双子コンラッドとヴィクター。兄コンラッドは冷静で思慮深く、弟ヴィクターは情熱的と正反対の性格ながら、二人の絆は固かった。だが、コンラッドを突然の病が襲う。兄を救おうと、ヴィクターは遠縁の娘エリザベス、親友のヘンリーと一緒に、錬金術師ポリドリを訪ねる。求めるは不老不死の霊薬。若き日のフランケンシュタインを描いたダークファンタジー。古典的名作『フランケンシュタイン』その知られざる前日譚。
昭和3年6月4日未明、張作霖を乗せた列車が爆破された。関東軍の暴挙に激怒した昭和天皇の密命を受けて、若き軍人が綴った「満洲報告書」で明かされる「真相」とは?該博な知識と丹念な取材に裏打ちされた浅田史観で、闇に葬られた昭和史最大のミステリーを追う。絶好調『蒼穹の昴』シリーズ第4部開幕。
山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。週刊誌記者の仲屋京介は取材中に感染してしまう。感染者は400名近くに膨れ上がり、死者も続出。結果、“竜脳炎”感染者で、意識が戻ったのは京介を含めた三名だけだった。隔離生活を続けるうち、三人は不思議な「後遺症」を身につけていることに気づく。
「後遺症」として不思議な能力を身につけてしまった“竜脳炎”の生還者三人。その能力はメディアの注目を集め、テレビ収録中に謎の死者が出る。容疑者として追われる身となった彼らは、己の能力に「最強」の特殊な力が加わっていることを知る。SF、ミステリ、そしてアクション。驚愕の終末へ。
エーランド島の石切場のそばのコテージに暮らしはじめたペール・メルネル。ある日彼のもとに、疎遠にしていた派手で傲慢な父ジェリーから、迎えに来るよう求める電話が入る。渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父だった。そして直後に別荘は全焼する。なぜこんな事件が起きたのか?娘の病気などの悩みを抱えながらも、ペールは父の暗い過去を探りはじめるー。エルフとトロールの伝説が息づく島で、人々の切ない記憶と過去が交錯する。北欧の注目作家が贈る深い余韻が残るミステリ。
良いニュースと悪いニュースがある。多崎つくるにとって駅をつくることは、心を世界につなぎとめておくための営みだった。あるポイントまでは…。
この人が私の運命の相手?十年前、再会の約束を交わした元彼、同棲し始めたばかりの彼女、自分の理想の名前を持つ相手、小説家を目指すきっかけになった女性、上司のすすめでお見合いをした相手、同じ趣味を持つ同僚…。あなたの求める「たったひとり」はきっとこの世のどこかにいるはず!?注目の女性作家たちが描く傑作恋愛アンソロジー。
「四十五歳までに、跡目を継いで代議士になってみせる」主田衆議院議員の第一秘書戸原清一は改めて心に誓った。金庫番という地位を活かし、自らの選挙資金を密かに蓄えていた戸原。そんな折、主田が倒れ、息子や娘婿との間で熾烈な跡目争いが始まった!戸原は“女と金”を巧みに操り、蹴落としに奔走するが…。政界の裏の裏を赤裸々に描いた傑作官能サスペンス。
凍てつく冬、蝋燭問屋殺しで、腹違いの弟・忠助が捕らわれる。番頭らの話から日頃の冷遇を恨んでの凶行と思われた。だが事件の夜、外で忠助を見たという大工は証言を翻した挙げ句、不審死を遂げる。忠助の無実を確信し、黒幕を灸り出すべく大胆な罠を張る青柳剣一郎。驚くべき奸計が顕わになる時、敵は牙をむいた。青柳父子は真に守るべき者を守りきれるのか!?-。
便り屋・日々堂で代書をする剣術家・戸田龍之介は、剣でも恋でも道を譲ってばかり。だが、己が身を退けば丸く収まるはずが裏目の日々。実家と並ぶ鷹匠支配・内田家への婿入り話を譲つた異母弟・哲之助も、思わぬ不幸に見舞われていた。侭ならぬ人生の皮肉に悩む龍之介。そんな彼を、お葉の温かい眼差しが見守っていた…。人気沸騰の“泣ける”時代小説、第五弾。
城下町、小田原。介護施設の同僚だった朝子と正人、梓と卓也は恋人同士。けれど以前はお互いの相手と付き合っていた。新しい恋にとまどい、別れの傷跡に心疼かせ、過去の罪に苦しみながらも、少しずつ前を向いて歩き始める二組の恋人たちを季節の移ろいと共にみずみずしく描く。
テロ組織「黒い三角定規」が、いよいよ浜村渚に直接対決を挑んできた。渚と武藤龍之介をミュージカル劇場に招き寄せ、一次方程式を解けという。だが、その問題は普通のやり方では解けないうえに、「黒い三角定規」の驚くべき策略を示唆するヒントまで仕込まれていた!シリーズ第五弾、文庫書下ろしで登場。
13年前の夏休み最終日、僕は「裏山」でロープを首に巻いた美少女を見つける。自殺を思いとどまった少女は、私の命をあなたに預けると一方的に告げた。それから7日間、ばらばらに存在する人や思いや過去が繋がりはじめた。結末は何処に?切なさと驚きに満ちた鮮烈デビュー作。第42回メフィスト賞受賞作。
母親と東京に住む小学生のハヤトは、同じ団地のトンダじいさんから「一生に一度のお願い」を頼まれる。それは古いオルゴールを鹿児島に届けること。福知山線の事故現場、広島の原爆ドーム、父さんの再婚ー出会うものすべてに価値観を揺さぶられながら、少年は旅を続ける。直木賞作家が紡ぐ心温まる成長物語。
カフェ・バークマンに勤めながら脚本を書いているユダヤ人のエリック。継父と団地に住むヒスパニックの少年トリスタン。妻と別れ息子たちをもてあますアイルランド系の刑事マッティ。一人の青年の死が人々の哀しみに光を当て、それぞれの人生を静かにつないでいく。米読書界絶賛の傑作長編。
満員電車でふと自分の手に触れた冷たい手。間違いなく、それは38歳で死んだ嫁の手だった。生前からちょっと変わったところのある女だった嫁が、どうしても伝えたかったこととは。表題作「嫁の遺言」の他、不器用だけれどあたたかい人情に溢れ、人間がいっそう愛おしく思えてくる注目女流作家の珠玉短編集。