2013年発売
死体を燃やす殺人鬼・フレイムに妹を殺された天祢山紫郎は、音が見える探偵・音宮美夜と捜査に乗り出す。美夜は殺意の声を見てフレイムを特定するも、動機がわからない。一方、山紫郎は別の人物を疑い…。ホワイダニット(動機のミステリ)の新たな金字塔が登場!第43回メフィスト賞受賞作を全面改稿。
施設育ちの芳子と周也は、実の姉弟のように生きてきた。芳子にとって、周也はこの世で唯一「私のもの」といえる存在だ。周也は仕事が続かないが、芳子は優しく受け入れる。周也を甘やかし、駄目にしてきたのは自分だと芳子はわかっていた。そう、周也が「罪」を犯した時でさえー。直木賞作家による究極の恋愛小説。
東京大空襲の五日前、直ちに東京を離れろと警告された者がいた?山本五十六は撃墜死でなく墜落後の他殺だった?太平洋戦争の謎を解き明かすべくアメリカへ飛ぶジャーナリスト。『下山事件 最後の証言』の著者が、長年の取材に基づき、隠された歴史の真相に迫る!
羽毛のかわりに女性の体毛をつめた寝具にくるまれて、死の国へ旅立つ…愛する妻に先立たれ、長い生をすごす老人は、途方もない計画に取り憑かれる。死を迎えんとした時、意志に反して救われ、病室に繋がれた自称百九歳の老人は妄執と現実との間を、生と性の異世界を深く、しかし嬉々と彷徨う。傑作短編集。
董卓に想い人を奪われた若き日の陳宮。己の無力に打ちひしがれていた時「俺の臣になれ」と言う男・曹操が現れ、彼の人生を変えた。名将に重用されながら、呂布に寝返った謀将。その愚行の裏には知られざる熱い友情と真心の物語があった。まったく新しい三國志、第一弾。「小説現代長編新人賞」奨励賞受賞作。
仲間の力を借りて、素人集団の選挙戦がスタートする。健一郎は妻子と離れて、泣く泣く単身赴任。達彦は知事を務めていた祖父の疑惑が浮上し、大慌て。事務所は荒らされるし、情報はライバル陣営にもれてしまう。ついでに昔の恋までからみ、悩みはつきない。彼らは見失った自分を取り戻すための戦いに挑む!
ドイツの田舎町に千年以上も前からある尼僧修道院を訪れた「わたし」は、家庭を離れて第二の人生を送る女性たちの、あまり禁欲的ではないらしい共同生活に興味が尽きない。そんな尼僧たちが噂するのは、わたしが滞在するのを許可してくれた尼僧院長の“駆け落ち”という事件だったー。紫式部文学賞受賞作。
三国志より600年前の春秋戦国時代、誰より魅力的な男がいた。その名は伍子胥。楚に生まれながら、大儀のために祖国をも討ち滅ぼそうとする、大きく強い意志の男。そのスケールの大きさと、その濃密なる生きざま、そして滅びの美学を描ききる「伍子胥篇」、第一弾。20歳の伍子胥が主として立つまでを鮮烈に描く。
武術大会で五人の臣を得た伍子胥は、彼らの「主」となる。呉と楚の戦いも始まる中、太子に仕える父・五奢と兄・伍尚には、同じ楚の佞臣・費無極の陰謀が忍び寄る。費無極に背くことは、楚の王に背くことを意味する。父と兄を救うため、人生で初めて伍子胥は「反逆者」となる。大河中国歴史小説の伍子胥篇、第二弾。
窓際中年の樺沢亦蔵は、路上喫煙が禁止されているマンハッタンでタバコに火をつけた。すぐさま逮捕され拘置所にぶち込まれた亦蔵だったが、釈放されるや否やまたマルロボを!奇妙なサムライの“雄姿”は全米で騒動を引き起こし、亦蔵を護衛するメグルはついに必殺技を!?読まなきゃ損、「秘剣」シリーズ第二弾。
一人の女を捜して欲しいーすべてはその依頼から始まった!依頼主が頼ったのは、フィリピンで暮らし、“海洋民族”の女から学び自己訓練に没頭する海自の元特殊部隊員、河合斌。心の奥深くに秘めたある思いを引きずりながら“人捜しビジネス”を請け負った河合だったが、意外な事実が待ち受けていた。
調査実績が信頼の証明。お客様のお悩みを、超能力で解決いたします!お困りの際は、迷わず当事務所まで。『武士道』『ストロベリーナイト』シリーズの著者による最高に楽しいエンターテインメント誕生!!
本所亀沢町にある「おけら長屋」は騒動の宝庫だ。大家の徳兵衛、米屋奉公人の万造、左官の八五郎、後家女のお染ーひと癖ある住人が入り乱れて、毎日がお祭り騒ぎ。そんなおけら長屋に、わけあり浪人の島田鉄斎がやってきて…。貧しいくせにお節介、そそっかしいけど情に厚い。そんな庶民が織りなす、江戸落語さながらの笑いと情緒にあふれる連作時代小説。文庫書き下ろし。
遊園地に残されたカメラ、撮影現場から失踪した斬られ役、喫茶コーナーで倒れた記憶喪失の男ーわずかな手がかりから人生の謎を解き明かし、ねじれた過去を修復するのが思い出探偵社の仕事。京都府警の刑事だった実相浩二郎、元看護師の一ノ瀬由美、かつて両親を惨殺され心に傷を抱える橘佳菜子に、新メンバーを加えた探偵社の面々が繰り広げるハートフル・ミステリ第二弾。
文庫本未収録の三篇を加え、茂七親分の物語が再び動き始めた!茂七とは、手下の糸吉、権三とともに江戸の下町で起こる難事件に立ち向かう岡っ引き。謎の稲荷寿司屋、超能力をもつ拝み屋の少年など、気になる登場人物も目白押し。鰹、白魚、柿など季節を彩る「初もの」を巧みに織り込んだ物語は、ときに妖しく、哀しく、優しく艶やかに人々の心に忍び寄る。ミヤベ・ワールド全開の人情捕物ばなし。
シャトー・ディフから脱獄し、ファリア司祭から知らされたモンテ・クリスト島の宝を手に入れたダンテスは、遠大な計画の実行にかかった。モンテ・クリスト伯の名が社交界に高まり、次々とふしぎな事件やエピソードが生まれてゆく。達意の文章と複雑な構想を駆使したこの物語は、いよいよ佳境に入る。
代表作「夫婦善哉」に、二〇〇七年に発見された「続 夫婦善哉」をあわせて“正続”とし、その他、芥川賞候補作「俗臭」、作者が「或る意味で私の処女作」という「雨」、あるいは伝説の棋士坂田三吉を主人公にした「聴雨」など、織田作之助(一九一三ー四七)のおもに戦中期の代表的短篇を収録する。