2013年発売
大島不動産販売前社長の遺児で、難病に苦しむ大島雅弘の世話係を務めていた若宮恵美子は、派閥争いのあおりを受け、新設部署への異動を命じられた。雅弘をトップに、3名だけでクレーム対応をする部署らしい。現社長の高丸は、反高丸派の旗頭である雅弘に無理難題を押しつけ、責任を取らせて追い出したいのだー。次から次へと問題物件を押しつけられ途方に暮れる恵美子の前に、「探偵」を名乗る奇妙な男が現れて…。前代未聞の名探偵(?)犬頭光太郎登場!!居座り、自殺、ゴミ屋敷、ポルターガイストに失踪まで。お部屋に関する問題を、人間離れした能力で華麗に無理矢理解決!破天荒極まりないミステリー!
幼いころ毎晩、祖父から残酷で暴力的な話を聞かされて育った男は、祖父の望みどおりの荒くれ者となった。仕事を求めてメキシコの港町に流れ着き、やがて、その町で満月の夜のたびに催されるイヌと人との1対1の闘い、ドッグ・ファイティングにファイターとして参加するようになるー恋愛の極点を目指す血と暴力の物語。大型新人デビュー作!
アカ狩りがはびこりレイシズムとセクシズムの壮絶な暴力が横行する街。核戦争の恐怖に覆われた末世澆季、ハルマゲドンを預言する黒人カルト教祖の荘重な声が響き渡る…異常なまでの外見偏重とその裏返しの内面の歪み、肥大化した自我のケダモノと化した青年の破滅と現実への帰還を描く「カフカ的パルプ・フィクション」。ディック二十五歳の処女作。あまりの過激さゆえ長く筐底深く沈めることを余儀なくされ、死後四半世紀を経てようやく日の目をみた問題作。待望の日本語版。
謎の人物モンテ・クリスト伯となったかつての青年ダンテスが、いまはモルセール夫人となっている昔の恋人メルセデスの子息アルベールとローマで親交をむすび、パリでついにメルセデスと対面する。新しい読者を絶えず獲得してきた不朽の名著、第三冊。
地図1 ハマスミスから大英博物館への道 地図2 テムズ川をさかのぼる 第一章 議論とベッド 第二章 朝の水浴 第三章 ゲストハウスとそこでの朝食 第四章 途中の市場 第五章 路上の子どもたち 第六章 買い物を少々 第七章 トラファルガー広場 第八章 一人の年老いた友 第九章 恋愛について 第十章 質疑応答 第十一章 政府について 第十二章 くらしのとりきめについて 第十三章 政治について 第十四章 事はどのように処理されているか 第十五章 コミュニズム社会には労働意欲をうながすものが欠けているか 第十六章 ブルームズベリー市場のホールでの午餐 第十七章 変化のいきさつ 第十八章 新しいくらしのはじまり 第十九章 ハマスミスまでの帰り道 第二十章 ハマスミス・ゲストハウスふたたび 第二十一章 テムズ川をさかのぼる 第二十二章 ハンプトン・コートと過去の賛美者 第二十三章 ラニミードの早朝 第二十四章 テムズ川をさかのぼる──二日目 第二十五章 テムズ川の三日目 第二十六章 頑固な拒絶者たち 第二十七章 上 流 第二十八章 小さな川 第二十九章 テムズ川上流の休息所 第三十章 旅の終わり 第三十一章 新しい人たちのなかの一軒の古家 第三十二章 宴のはじまり──終わりに 訳者解説──未だない〈どこにもない場所〉からのしらせ ウィリアム・モリス略年譜 訳 注
『蜻蛉日記』は、大政治家の藤原兼家の妻として、波瀾に富んだ生涯を送った道綱母が、その半生を書き綴った王朝女流文学の代表作。結婚生活の苦しみ、夫兼家とその愛人たちへの愛憎の情念が、流麗にして写実的な筆致で描かれる。作品中の和歌は、一段の精彩を放っている。韻文と散文が互いに交響することで、物語に独特の陰翳を与えている。室生犀星の味わい深い現代語訳により、日本古典文学の豊穣な世界に、現代の読者を誘う。
11歳の少年の、故国からイギリスへの3週間の船旅。それは彼らの人生を、大きく変えるものだった。仲間たちや個性豊かな同船客との交わり、従姉への淡い恋心、そして波瀾に満ちた航海の終わりを不穏に彩る謎の事件。映画『イングリッシュ・ペイシェント』原作作家が描き出す、せつなくも美しい冒険譚。
物キャラクター小説オムニバス第3弾。今回の特集は、映画「貞子3D2」公開を記念して、最初で最後の「貞子」大特集! 「貞子」トリビュート小説、主演の瀧本美織インタビュー、特写「貞子」など盛りだくさん!
いつのまにかなくなったもの、というのが、人生にはたくさんある。たとえば、赤ん坊のときに好きだったぬいぐるみ。水玉模様のかさ。初めてできた友だち。恋とは気づけなかった幼くてまばゆい初恋…。松尾たいこの彩り豊かなイラストから角田光代が紡いだ5編の小説には、そんな愛しくてなつかしい記憶がぎっしり。人生の出会いと別れをこまやかに綴った、せつなくもあたたかい作品集。
作家の“私”はなかなか思うように執筆がはかどらない。小説の取材で、宇宙線研究所や盆栽フェスティバルなど、様々な地を訪れる“私”だったが、いつも知らず知らずのうちに不思議な世界へと迷い込んでしまう。苔料理を出す料亭、海に繋がる大浴場、ひとが消えてゆくアートの祭典。これは果たして現実なのか。幻と現の狭間で、作家は日々の出来事を綴り続けるー。日記形式で紡がれる長編小説。
大正三年、東京。画家を志して家を飛び出した槇島功次郎は、雪の無縁坂で、容姿端麗な青年画家・穂村江雪華と出会う。風変わりだが聡明、ずば抜けた画才を持つ雪華は、この世に未練を残して死んだ者の魂を絵で成仏させる、驚くべき能力の持ち主だった。果たせぬ恋、罪深き業…死者たちの断ち切れぬ思いが、二人の周囲に不可思議な現象を巻き起こす。幻想と怪奇に満ちた、大正怪異事件帖。
「白雪姫」「シンデレラ」「みにくいアヒルの子」……誰もが知っている西洋童話をモチーフに泉鏡花文学賞受賞作家が紡ぎだした、耽美で鮮烈な現代のおとぎ話7編を収録した短編集。(解説/榎本正樹)
店内を大改装することになった個性派ホストクラブ「club indigo」。仮店舗での営業中、ホストたちはプライベートで様々な事件に巻き込まれてしまう。ホストの一人・犬マンは、公園で知り合ったホームレス画家の青年と交流を深めていた。しかし、青年が殺人事件の犯人と疑われて!?(『シン・アイス』)など、大人気ミステリーシリーズ第3弾は、ホストたちの恋や店外での素顔を描いた連作集!
道頓堀に巨大なタコが現れた。対処に大わらわの大坂西町奉行所の面々をよそに、大食漢の名物奉行・大邉久右衛門が用人・佐々木喜内に命じたのはー(『蛸芝居』)。連日連夜、豆腐ばかりの献立に、久右衛門は爆発寸前。どうやら財政難のせいばかりではないようでー(『地獄で豆腐』)。書き下ろし1編を含む垂涎必至の4編を収録。大坂を舞台に描く、謎あり恋ありグルメありの食いだおれ時代小説第2弾。
異様な暑さに目を覚ますと、「僕」は砂漠にいた。そこへ突如降ってきたのは、ごくごくありふれた電話ボックスだった。-いったいなぜ?混乱したまま電話ボックスに入り、助けを求めて119番に電話をかける。だが、そこで手にした真実はあまりにも不可解で…。過去と現在が交錯する悪夢のような世界から、「僕」は無事に生還することができるのか。ミステリアスな傑作長編。文庫書き下ろし。
16世紀ロンドン。法廷弁護士シャードレイクのもとに、従弟殺害の罪を問われている少女エリザベスの弁護依頼が舞い込む。少女は黙秘を続け、このままでは拷問死をまぬがれない運命だった。一方、摂政クロムウェルは、少女の審議期間延長と引き換えに、古くから伝わる幻の「ギリシャ火薬」の製法と現物を探し出すようシャードレイクに命ずるのだが…。イギリスで人気の歴史ミステリー・シリーズ第2弾。
幻の破壊的兵器「ギリシャ火薬」を追ううちに、関係者のむごたらしい死に遭遇し、自身も命を狙われるシャードレイク。手掛かりがつかめないまま、弁護を請け負った少女の審議期日も迫っていた。クロムウェル以外にギリシャ火薬を追うのは誰なのか?黙秘を続ける獄中の少女エリザベスのみが知る恐ろしい真相とは?猛暑のロンドンをシャードレイクが駆け抜け、思いもよらぬ結末を迎える迫真のミステリー!
樋口一葉の歌の師匠として知られ、明治の世に歌塾「萩の舎」を主宰していた中島歌子は、幕末には天狗党の林忠左衛門に嫁いで水戸にあった。尊皇攘夷の急先鋒だった天狗党がやがて暴走し、弾圧される中で、歌子は夫と引き離され、自らも投獄され、過酷な運命に翻弄されることになる。「萩の舎」主宰者として後に一世を風靡し多くの浮き名を流した歌子は何を思い胸に秘めていたのか。幕末の女の一生を巧緻な筆で甦らせる。
女47歳。最後かもしれない恋は突然訪れた 主人公は大学の同級生3人。主婦になり不妊治療をあきらめてカフェのパートに励む千乃、バツイチとなっても義母と同居し2児を託して証券会社に勤務する泉、起業家と結婚し専業主婦として2児を育てる真子。彼女たちが47歳の夏に再会し、更年期や子供との関係に悩む一方で、新たな恋、先の見えない恋に陥りながら、女としての残りの人生を考える姿を描く。 女はいくつまで女でいられるのか、いくつからが中年なのか。体や心の変調に悩むR40読者の間で波紋を呼んだ『中年前夜』(小学館)から4年。甘糟氏がR40、50世代の女性にあらためて問う一作です。 「若くもない女の恋愛なんて、美しいものではない」「夕方を待つ空は美しい。自分たちはまさしくこの空のようだと思う」「いくつになっても、恋は最初で最後」---印象的で美しい言葉が彩る大人の恋愛小説です。