2013年発売
六十歳を過ぎての結婚から、八十三歳の死まで、自らの「老い」と「病」を見つめた、晩年二十年にわたる珠玉の短篇を集成。三十歳年下の女性との結婚に至る葛藤と顛末を描いた「彼」「老残」。その後の結婚生活の波瀾を記す「老坂」。病と向き合う「海浜病院にて」「七十歳」。死を身近に感じる「夕映え」、そして絶筆「死に近く」-最期まで文学への情念の炎を燃やし続けた「私小説家」川崎長太郎の真髄に迫る。
「週刊キンダイ」芸能記者の矢口慶太は、CMで話題沸騰中の美女「Qrosの女」の正体を探るが、核心に迫る情報を得られない。ようやくCMで彼女と共演した俳優・藤井涼介のネタを仕入れたので、先輩記者の栗山にサポートしてもらい、藤井の自宅を張り込む。すると「Qrosの女」とおぼしき人物を発見!それは偶然?それとも仕組まれた罠?芸能記者、ブラック・ジャーナリスト、そしてヤクザも!?ネット情報に踊らされながら、思惑が交錯し、驚愕の真相へ。
「ご主人の欠点は浮気性」帰宅すると不倫相手が妻と談笑していた。こんな夜遅くに、なぜ彼女が俺の家に?二人の関係はバレたのか?動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。妻の目を盗みキスを迫る。そしてボディタッチ。彼女の目的は何か?平穏な結婚生活を脅かす危機。俺は切り抜ける手だてを必死に考えるが…(「夜の訪問者」より)。愛する人の“秘密”を描く傑作集!
探偵・神山健介を訪ねてきた和服姿の美女。彼女の依頼は雪に閉ざされた会津の寒村で起きた、ある事故の調査だった。そこで目にした過去の陰惨な事件の痕跡。吹雪で閉じ込められた神山の前に次々と明らかになる連続大量殺人事件!犯人は村人の中にいるのか。古くから伝わる昔語りに隠された歴史の闇とは!?残酷な悲劇の連鎖の謎を、神山は解き明かすことができるのか!
「夫は自ら死んだのではない」自殺とされた札差の妻おとよは確信していたが、証拠がない。話を聞いた青柳剣一郎は調べを進め、死の直前に御家人と不審な大金の取引があったことを掴む。すると、探索を阻むよう、次々と刺客が姿を現した。この執拗さは一体…戸惑いながらも、真実に迫る剣一郎。だが、敵は予想外の奇策に打って出る。シリーズ第二十六作、衝撃の結末。書下ろし長編時代小説。
剣術家の戸田龍之介は、朋輩の三崎から酒に誘われた。御徒組次男坊の三崎には、急逝した親友の遺言で、その許婚・桜木登和との見合話が進んでいた。桜木家は家格も上で登和は美人。逆玉のはずが、三崎は登和から耳を疑う告白をされていた。話を聞いたお葉も仰天。直後、日々堂では飼い猫のシマが行方不明になりさらなる大騒ぎに…。人気沸騰の“泣ける”時代小説!
東京・亀有で探偵事務所を開く小仏太郎。かつての警視庁の同僚・安間善行から受けた依頼は、調布市にある謎の家の主・宇堂忠次の正体を調べてほしいというものだった。“予修寮”と呼ばれるその家は「駆け込み寺」と呼ばれ、いじめで学校をやめた少年少女数人が住んでいるらしい。部下の下地に聞き込みをさせたところ、寮で家庭教師を務める女は北海道・旭川の出身だという。そんななか、その旭川に近い大雪山の麓にある層雲峡で、ホテル従業員の内村京子が殺される事件が発生。しかも彼女はかつて予修寮に勤務した過去があったことも判明。事件と謎の家とのかかわりは…!?
浅草の老舗「駒形どぜう」を舞台に、幕末・明治の歴史の渦に翻弄されつつも、江戸っ子の意地と持ち前の明るさで店を守りぬく主人“助七”と、店に集う人びとの人生模様を描く。感涙必至の傑作歴史時代小説!
江戸の町を繁栄させるのは物が動き、銭が動くことだーいなりずしから贋金まで、物価にまつわる騒動の始末に奮闘する同心・澤本神人。家では亡くなった妹の娘・多代を男手ひとつで育ててきたが、そこに居酒屋の美人女将が現れてー物の値段に人情を吹き込む新機軸の時代ミステリー!
警察署長ブルーノは友人のエルキュールからある問題の調査を依頼される。トリュフ市に粗悪な中国産トリュフが紛れ込んでいるというのだ。だが聞き込みを始めた矢先、エルキュールが何者かに殺害される。彼はかつて情報部に所属する伝説の秘密警察官だった。犯人はその過去を知っていたのか?圧巻の取材力と緻密な構成、そして驚愕の真相。ベテランジャーナリストが放つ傑作!
探偵二人にある家で一晩泊まってほしいという、簡単だが奇妙な依頼。指示された家に向かったスタンリーとケンウッドに家人は何も説明せず、二人は酒を飲んで寝てしまう。未明に大きな物音で目覚めた二人が目にしたのは、凄惨な殺人現場だった。罠なのか?警察を連れて現場に戻ると、死体が消失していた!?大胆かつ奇妙な事件の謎を大幅改稿で贈る、第二十回鮎川哲也賞受賞作。
あの老人を殺したのはぼくなのですー出版資金ほしさに雇人と共謀して金持の老人を殺害した主人公は、いつしか三人の警官が管轄し、自転車人間の住む奇妙な世界に迷い込んでしまう。20世紀文学の前衛的方法、神話とノンセンス、アイルランド的幻想が渾然となった奇想小説。
作家兼編集者の三津田信三が紹介された男、龍巳美乃歩が語ったのは、旧家、百巳家での迫真の実話怪談だった。数日後、送られてきた原稿を読んだ三津田と周囲の人々を、怪現象が襲い始める。もうひとつの怪異長編『蛇棺葬』から繋がる謎と怪異が小説の内と外で膨れあがるホラー&ミステリ長編。全面改稿版。
大伯父が遺した博物館は、時間旅行の秘密の実験場だった。天涯孤独になった勇介は、過去を彷徨う大切な人の魂を救うため、危険な旅路に出る。パートナーは青い瞳の不思議な学芸員枇杷。「命綱」は固くつないだ手。この手が離れれば二度と現代には戻れない。過酷な旅が今、始まる。新感覚ミステリー長編!
18年前の嵐の日、美しくて奔放な姉が下着を剥ぎ取られ惨殺された。事件は、当時12歳の妹ベラミーの心に深い疵を残した。大人になったベラミーは過去を清算するつもりで事件を小説に綴ったが、それが予想外のベストセラーになると、彼女の身辺で次々と不気味な出来事が起きる。真相を探るため当時の姉の恋人で第一容疑者だったデントに急接近するのだが…。ラブ・サスペンスの女王、サンドラの傑作!
街の弁護士・衣田征夫は、不慣れな殺人事件を担当することになった。容疑者は知人の峰岸諒一。彼は妻の父で、養父でもある巌雄宅に放火、殺害した疑いで逮捕された。現場には諒一のライターが落ちていて、巌雄を罵倒する声を聞いたという証言もある。さらに彼の顔と手には火傷の跡が…。だが、諒一は否認を続け、弁護人の衣田にも詳細を話さない。そんなさなか、諒一の妻が別荘の地下で水死した。すると諒一は言った。「妻が死んだ以上、もはや秘密を守る必要はなくなりました。すべてをお話しします」-。とある冤罪事件に端を発する連続不審死。複雑に絡み合う家族関係、見えない利害対立、狡猾な犯行計画ー。