2014年10月15日発売
『失われた時を求めて』の冒頭部「コンブレー」を取り上げ、主人公の眠れぬ夜の時間意識、登場人物たちの思いがけない造形過程、サンザシの匂いや色彩などの相を精細に読み解く。細部から壮大な全体へと及んでゆく精妙なプルースト的生成を、長年の研究蓄積を踏まえて鮮やかに開示する。岩波文庫版『失われた時を求めて』の個人全訳に取り組む著者による最良のプルースト入門。
女子の前でひどくあがってしまう中井海彦は野球部に所属する中学二年生。ある日、父親から受験のためにクラブ活動を二年生までで辞めるように言われた海彦は、顧問に練習を休みたいと申し出る。急に暇になってしまった海彦は、帰宅の途中、入学時から気になっていた女子の生徒手帳を拾った。小路の先に楠本ユカリ本人の姿を発見し急いで跡を追う。ユカリが向かった雑居ビルの6階は「たそがれ探偵社」と書かれていた。「ここ、幽霊専門の探偵社なの」扉を開けたその瞬間から、海彦のとんでもない二学期がはじまる!
五月のあの朝、わたしはどうしようもなく恋に落ちてしまったー。木に片思いをしたり、バービー人形と真剣交際したり。変な愛はこんなにも純粋で狂おしい。数多くの熱心な読者を持つ訳者が選び抜いた、奇想天外で切実な想いのつまった11篇。ありふれた恋愛小説とは一味も二味もちがう、「究極の愛」の姿。
「無関係でも関係なく無抵抗でも抵抗なく没交渉でも交渉なく貪るように喰らい尽くすー『人喰い』の出夢だ」これは、ひょっとしたら実ったかもしれない、小さな恋の物語だ。「人間シリーズ」-完結編ー関係四部作。
ボタンのかけ違いでもう会わないと決めた良介と日出子。親友の内海から愛人が妊娠したという相談を受け、ゴルフの師と仰ぐ大垣老人からは思いがけない過去を打ち明けられる。亡き妻に似てきた娘、登校拒否の息子、そして別れた二人の思いは?人生における朝と夜、人間の幸福について問う。
中学二年生の淑子は、市営斎場の真ん前に建つ祖父母の店の手伝いをつづけていた。ある日、父親の中学時代の同級生が急死、クラスで一番うるさい男子も暴走族の親戚が事故で亡くなり、通夜が行われることになった。やりきれない気持ちで暖簾をくぐる人たちがそっと伝えてくれる、あたたかくて大切なこと。
今、あらためて読みたい。必死に生き抜き、自らの道を切り拓いた世界に誇るべき「日本人」の物語。土佐生まれの作家・山本一力が、精魂こめて描く郷土の偉人、ジョン・マンこと中浜万次郎の奇跡の生涯。
白昼堂々、都内の暴力団が何者かに殲滅され、偶然駆けつけた刑事2人も重傷を負う事件が発生。警視庁の威信をかけた捜査が進む中、例のごとく失態をおかし戦力外となった海月と設楽は、暴力団同士の抗争であるという捜査本部の見立てからあえて外れて、単独で事件を追うことに。しかし、必死に駆け回る警察をあざ笑うかのように、東京中をパニックに陥れる夜が迫っていた…。凸凹コンビが活躍する、人気シリーズ第3弾!
鈴木陽子というひとりの女の壮絶な物語。涙、感動、驚き、どんな言葉も足りない。貧困、ジエンダー、無縁社会、ブラック企業…、見えざる棄民を抉る社会派小説として、保険金殺人のからくり、孤独死の謎…、ラストまで息もつけぬ圧巻のミステリーとして、平凡なひとりの女が、社会の暗部に足を踏み入れ生き抜く、凄まじい人生ドラマとして、すべての読者を満足させる、究極のエンターテインメント!
さまざまな夫婦のかたち。立て続けに起こる事件と、ちらつく行方知れずの親分の影。文治とお加代がつきとめた驚くべき真実とはー。巨漢の十手持ちと知恵者の看板娘に、襲いかかる試練。俊英渾身の傑作時代推理長編。
大好きな作家の最新刊。発売を楽しみにしていたある日、中学二年生の野々香は、学校の手洗い場の角で忘れ物の本をみつける。好奇心から書店のカバーを外してみると、それは、まだ発売されていないはずの最新刊だった!野々香と、クラスの図書委員・高峯秀臣は、本の持ち主の正体と、どうやって手に入れたかを探り始めるー。大切な本との出会いをめぐって巻き起こる、賑やかでやさしい物語。
宝くじで3億円を当てた図書館司書の一男。浮かれる間もなく不安に襲われた一男は、「お金と幸せの答え」を求めて大富豪となった親友・九十九のもとを15年ぶりに訪ねる。だがその直後、九十九が失踪したー。ソクラテス、ドストエフスキー、アダム・スミス、チャップリン、福沢諭吉、ジョン・ロックフェラー、ドナルド・トランプ、ビル・ゲイツ…数々の偉人たちの“金言”をくぐり抜け、一男の30日間にわたるお金の冒険が始まる。人間にとってお金とは何か?「億男」になった一男にとっての幸せとは何か?九十九が抱える秘密と「お金と幸せの答え」とは?