2014年3月発売
違法捜査を厭わない尾津航平と、ヤマザとの癒着が噂される荒くれ者の白戸恭太。迷宮事件を扱う捜査一課強行犯捜査第二係の分室の二人に、再捜査の指令が出た。四年前、関東誠和会傘下の稲葉組組長が新宿で射殺された事件だ。被害者に怨みを持つ者が次々と浮上する中、警察内部にも容疑者がいると分かるのだが…。最強コンビが辿り着いた真相は!?好評シリーズ第二弾。
会社員本山健一の恋人はやっかいなタイプ。猫のように大きな瞳の童顔で小柄、ショートの黒髪がよく似合う美人。そのうえ体の相性も抜群。だが、職場での協調性はなく、ブリッ子でチヤホヤされるのが大好きという、まさに「女の敵」なのだ!そのせいで社内トラブルや擦れ違いなど問題が続出。やがて会社が危機に瀕した時、彼の愛が試される!?世の男女に贈る純愛官能。
「ああいう男はとり除かねば」文政半ばの年末、江戸城内外で奥祐筆組頭・越後織部は謀議を重ねていた。翌春、長兄で目付・片岡信正の婚儀の喜びも冷めぬ中、今は市井に生きる末弟・唐木市兵衛は、信正配下の小人目付・返弥陀ノ介捕縛、責問の報に驚愕。信正も謹慎中と知り、真相の究明に乗り出すが…。冤罪に落ちた兄と友を救うため、“風の剣”が城に巣くう闇を斬る!
手習い子の一人・太吉が新参の巳之吉を殴った。理由を言わぬ太吉に、太吉の非を言い募る巳之吉。双方納得がゆく“納め時”を見極めんとする師匠の秋月栄三郎だったが、即座に太吉を叱らぬ栄三郎に巳之吉の父・儀之助は激高。結果、巳之吉は姿を見せなくなり、栄三郎には不穏な影が…。剣客にして取次屋、その表の顔は手習い師匠。栄三が示す心温まる人生指南とは?
1920年冬、エルシーは教会で純朴な青年に声をかけた。恋人となった彼が4年後に彼女を切り刻むなどと、だれに予想できただろうー。英国で実際に起きた殺人事件をもとにした「養鶏場の殺人」と、強盗殺害事件を通して、小さなコミュニティーにおける偏見がいかにして悲惨な出来事を招いたかを描く「火口箱」を収録。現代英国ミステリの女王が実力を遺憾なく発揮した傑作中編集。
古代の浮彫に描かれた美女グラディーヴァ、彼女にとり憑かれた考古学者の妄想、夢うつつの青年は女の幻影を追ってポンペイの町をひたすら彷徨する。この小説に強く触発されたフロイトは、「W・イェンゼン『グラディーヴァ』における妄想と夢」を執筆、だが精神分析家による初の記念碑的な文学論は、対象との境界すら曖昧な危険で魅惑的なものだった。
北アルプス常念岳に通じる林道沿いの小屋から男女の変死体が発見され、長野県安曇野署・道原伝吉の捜査が始まった。男女とも身元がわかる所持品はなく、死亡日時が二〜三日違うことが判明。女のバッグから、大相撲の入場券、奈良正倉院展や銀閣寺のチケット、男の所持品の中に東京・世田谷の酒屋の名刺が見つかった。次第に明らかとなる二人の関係と二人を取り巻く人間模様。女の家族全員の失踪、殺された男の親友だった警察官の拉致…。謎が謎を呼ぶ会心の傑作長篇。書下し。
まるで時の女神が回収し忘れたようだ。北の大地の片隅に、ぽつんとたたずむ中学校分校には、一年生四人と三年生一人が学んでいた。たった五人でも、自称霊感少女もいれば、嘘つきな少年もいる。そこに赴任してきたのは、まったくやる気のない若い教師。けれど、やがて彼が知ることになる少年の嘘の痛ましい理由とは?ときには悩み、傷つきながらも、成長していく五人の、胸を打つ青春前期物語。
ハックとジムは自由州への上陸に失敗。おまけにペテン師の王様と公爵まで背負いこんでしまった。筏の旅はなおも続く。-ヘミングウェイをして「現代アメリカ文学の源泉」とまで言わせたこの傑作を、練達の訳文に初版本の楽しい挿絵を豊富にちりばめて贈る。
私は宿命的に放浪者であるー若き日の日記をもとに記された、林芙美子(1903-51)生涯の代表作。舞台は第一次大戦後の東京。地方出身者の「私」は、震災を経て変わりゆく都市の底辺で、貧窮にあえぎ、職を転々としながらも、逆境におしつぶされることなくひたすらに文学に向かってまっすぐに生きる。全三部を収録。
ミュージカル女優のファンクラブまとめ役という地位にしがみついている美知代。地味で冴えないむつ美。かつての栄光は見る影もない女優のつかさ。待ってたって、「革命」なんて起きないから。私の人生を動かしてくれるのは、誰?
“アラブの春”は中東に平和をもたらしたのか。激化するシリア内戦に対して送り込まれた多国籍和解仲介団。だが、彼らの乗った旅客機はシリア空軍により首都から遠く離れた空港に強制着陸させられ、乗員乗客全員が拘束されてしまう。戦火が迫る中、人質救出に送り込まれた元航空自衛隊パイロットたちは、空前絶後の作戦を決行する。圧巻の迫力!息も継がせぬ空中戦!元航空自衛隊パイロットVS.シリア共和国空軍エース。航空軍事サスペンスの旗手が描く、ありうべき世界の危機。
大手ライバル企業に攻勢をかけられ、業績不振にあえぐ青島製作所。リストラが始まり、歴史ある野球部の存続を疑問視する声が上がる。かつての名門チームも、今やエース不在で崩壊寸前。廃部にすればコストは浮くがー社長が、選手が、監督が、技術者が、それぞれの人生とプライドをかけて挑む奇跡の大逆転とは。
走りこみも投げこみも禁止。猛特訓よりミーティング重視。そんな超脱力系の大代台高校野球部に入った、快速球投手の青居礼文。初めは戸惑うことだらけだったけど、最高の仲間たちに恵まれて、甲子園も夢じゃなくなってきた!野球を愛するすべての人たちに捧げたい傑作青春小説。
プラハのユダヤ人街に住む宝石細工師の「ぼく」は、ある日、謎の人物の訪問を受け、古い書物の補修を依頼されるが、客の帰ったあと、彼について何も思い出せないことに気づいて愕然とする。どうやらその男は33年ごとにこの街に出現するゴーレムらしいのだ。やがて「ぼく」の周辺では次々に奇怪な出来事が…。夢と現実が混淆する迷宮めいたこの物語は、第一次大戦さなかに出版され、熱狂的に読まれたドイツ幻想文学の名作である。
江戸中でも評判の深川三好町「百合花」は、仕事を探す女人のための口入れ屋。若草色の暖簾を潜れば、元々は武家の娘であった女主人・千恵の優しい笑顔が、今日も悩み惑う女たちを待っている。そんな「百合花」で働きたいという町娘ーお文。一見すると真面目な彼女が抱える事情が、千恵自身の哀しい過去にまつわる事件へ繋がっていく…。