2014年3月発売
記憶を失っていく難病の32歳・女性。末期ガンで余命1年を宣告された58歳・男性。男と女はそれぞれの目的を果たすため、互いの肉体に“入れ替わる”ことを決意した。「北帰行」から37年ー外岡秀俊が沈黙を破る感動長編。
献残屋とは、大名や幕臣の屋敷を回って進物を買い取り、転売するのが仕事。そんな献残屋のひとつ、寺田屋の手代・佐吉は、一本筋が通った男。得意先である浦賀奉行所の役人が抜け荷の片棒を担いでいることを知り、肚をくくって知恵を絞り、不逞の輩に挑んでいく。江戸、浦賀、焼津。肝の太い男、情の深い女が命を張り悪事を暴いていく、痛快!人情時代小説。
8人の子供と母親からなる家族へかかってきた1本の脅迫電話。「子供の命は預かった、3千万円を用意しろ」だが、家には子供全員が揃っていた!?生涯最後の短篇小説にして、なお誘拐ミステリーの新境地を開く表題作など全8篇。
貴族の娘フルールは、恐ろしい過去を抱えひとりロンドンへ逃げてきていた。所持金がなくなった彼女は生きるためにある決断をし、通りすがりの紳士に救われるが、そのことで心に大きな傷を残す。数日後、再び困窮し職業斡旋所を訪ねたフルール。すると幸運にも、リッジウェイ公爵家で家庭教師の職に就くことになった。始めはなつかなかった一家のわがままな少女とも少しずつ打ち解け、数週間が経ったある日、長く屋敷を留守にしていた公爵アダムが帰館する。アダムは、誰にも打ち明けられぬまま背負ってきた苦しみが、愛情豊かなフルールの存在によって癒されていることに気づく。ためらいながら、ひそやかに惹かれあうふたつの孤独な心。しかしフルールは、アダムに怯えていた。そこには、決して知られてはいけない秘密があってー。静かに募る情熱と、涙を呼ぶ感動の結末。美しくもせつない大人の愛の物語。
ニューヨークの老舗コーヒーハウス“ビレッジブレンド”を切り盛りするクレアは、新たにフード・トラック・ビジネスに乗り出した。焼きたてマフィンとスペシャルコーヒーを運ぶ屋台はたちまち大盛況。ところがそんなとき、メニューのコンサルタントであるリリーが、店の近くでひき逃げにあってしまった。意識を失う前に「こうなるとわかっていた」と言い残して。なぜそんな言葉を?謎を追うクレアの前に現われたのは、ひき逃げ犯を心から憎み、逮捕に心血を注ぐ風変わりな捜査官。彼は味方?それとも…!?簡単おいしいレシピ付き、アロマ漂う人気シリーズ第11弾!
人間界へ行くことを夢見る落ちこぼれ精霊のラシャは、ある日学園内に隠されていた秘宝から不正に魔力を入手してしまう。しかもその現場を生徒会役員のベルウスに目撃されていた!焦るラシャにベルウスは取引条件を持ちかけ、条件をのむなら不正を見逃してやる、と言ってくる。しかしこの男、成績優秀で愛想の良い優等生というのは表の顔で、本性は横暴で意地の悪い猫かぶりだった!そんな彼に弱みを握られたラシャの運命は…!?
極度の人見知りである姫・エルレーナは城からほとんど出ずに平和に過ごしていた。ある日、祖母の墓参りに向かう途中で賊に攫われ、突然髪色が赤に変わってしまう。赤髪はその昔人間を支配し憎まれている魔女の証。途方に暮れるエルレーナを救ったのは隣国の新人政治家リフィトだった。しかし、傲慢な彼は「お前を利用する」と言いエルレーナを閉じ込めた!逃げられないエルレーナとリフィト、相容れないはずだった二人の共同生活が始まるー。
トラウマ持ちの修道女・ルーは、癒薬作りの才能を見込まれて王宮入りすることに。迎えに来た次期王位継承者のアイデスはとても優しく寛大な人で。ルーは慣れない王宮生活に戸惑いながらもアイデスの存在に励まされていた。そんなある日、ルーが修道院で怪我の面倒を見ていたペルセシオという美青年が隣国の公使として現れる。猛アタックを仕掛けてくるペルセシオに困惑するルー。恋の三角関係と王宮を巡る陰謀の渦に、ルーは飲み込まれていく…。
浅草寺裏手で仏壇・仏具を商う浅深屋半兵衛は、裏稼業として張形などの淫具を扱っている。秘伝の淫道を口授する集いに加わった半兵衛は、名門松村家の綾姫より密命を受ける。綾姫の義妹、観月院を還俗させてほしいというのだ。半兵衛は特製の淫具をあつらえて、観月院を性技で昇天させ還俗を決意させたが、この依頼の裏にはある大名家の秘事が隠されていた…。第二回団鬼六賞優秀作受賞作家が描き出す、時代官能の傑作!
原子力発電所をかかえる閉鎖的な地域社会のなかで起きた一件の不審火。原発の危険性と経済的依存との葛藤を劇的に描きつつ、“原爆文学”と“原発文学”とを深く結びつけた記念碑的労作「西海原子力発電所」。チェルノブイリ原発事故を受け、核廃棄物輸送事故による被曝と避難生活がもたらした生活の破壊と人間の崩壊を予言した「輸送」。3・11原発事故を経験した現在から、先駆的“核”文学はいかに読み解かれるか。
農園を経営する砂田家の長男・謙太が誘拐された。長野県警の城取警部補は、知事の特命で捜査に派遣された信州大学の四月朔日教授とともに現場へ。離婚して家を出た謙太の母親が「リュウにならなきゃいけない」と呟いていたとの証言を得る。それを聞いた四月朔日は、信州に伝わる泉小太郎伝説の龍のことだと断言するが…(表題作「龍の行方」より)。古くから伝わる五つの民話が事件の鍵を握るー?
お騒がせコンビ、万造と松吉に振り回される大家の徳兵衛。わけあり浪人の島田鉄斎、左官の八五郎におかみさん連中ー本所亀沢町の「おけら長屋」は、「人情」と「お節介」が炸裂する江戸っ子ワールド。万造と迷子の勘吉の胸に迫る交情を描いた「まよいご」はじめ、大好評を博した前作以上に、江戸落語さながらの笑える、泣ける、温まる六篇を収録。著者会心の連作時代小説、待望の第二弾。
警視庁捜査三課のベテラン刑事・萩尾秀一はなぜ真犯人は別にいると思ったのか?浅草署留置係の小西逸男が最後の最後に見た光景とは?警視庁通訳捜査官の城正臣と保安課の上月が切り込む犯罪の全貌とは?そして、残酷な犯人への怒りを自制する所轄刑事課の吉川圭一。個人の尊厳と社会の秩序のために、世間は何を求めたのか?警察小説の第一線を走る著者による、新鮮な驚きに満ちた珠玉の短編集。待望の文庫化。
将来を嘱望された青年アドルフは、P伯爵の愛人エレノールに執拗に言い寄り、ついに彼女の心を勝ち取る。だが、密かな逢瀬を愉しむうちに、裕福な生活や子供たちを捨ててまでも一緒に暮らしたいと願うエレノールがだんだんと重荷となり、アドルフは自由を得ようと画策するが…。