2014年3月発売
ドイル自身がもっとも愛した短篇であり、探偵小説史上の記念碑的作品“まだらの紐”をはじめ、“ボヘミアの醜聞”、“赤毛組合”など、名探偵ホームズの人気を確立した第一短篇集。夢、喜劇、幻想が入り混じる、ドイルの最高傑作。オックスフォード大学版の注・解説にくわえ、初版本イラスト全点を復刻掲載した決定版。
42歳、女は日常から逃げ出すように旅に出た。スーツケースだけを持って。辿りついたのは海辺の田舎町。北欧デンマークの日常、屈託のない人々のやさしさの中で、孤独な女の心は次第に紐解かれていく。P.O.エンクウィスト賞、“黄金月桂冠”文学賞を受賞したデンマーク女性作家、初の邦訳。
図書館で目にした1編の詩から、「僕」はその詩人の人生を通して愛を語ることになり、生と死を見つめる。-「世界の果て、彼女」思春期の暴走、家族や仕事からの逃避行、失った恋、失踪した父親に対する愛憎。恋人、夫婦、家族の関わり方に悩む人たちがいる。ここに登場する人たちは、さまざまな形で現れる他者との出会いによって、自分自身を見いだしていく。人と人は理解し合えるのか、と問う物語の中で。
東日本大震災から三年の月日をかけ紡ぎ出された希望と祈りの物語。著者自らが体験した阪神・淡路大震災。そして2011年3月11日。被災地の小学校を舞台に描かれる「六つの願い」。
父の遺品のなかに、弟ポールの死には裏があるとほのめかす手紙を見つけたリー。彼は差出人の女性ヴェラと会うためにポールが死んだプラハへ飛ぶが、それは悪夢のような体験の始まりだった。弟の足跡をたどる彼の前に現れる、奇妙なガイドブック、元刑事、残虐な未解決の連続殺人事件。ポールが盗んだという、錬金術師が作った皇帝ルドルフ二世の時計が全ての元凶なのか?はたしてリーはこのまがまがしい古都を生きて出られるのか。謎とツイストに満ちたミステリ。
特別国税徴収官(トッカン)の鬼上司・鏡とのコンビも2年目に入り、ぐー子も自身の成長を感じていたある日、鏡の故郷・栃木への出張が決まった。今回の相手は鹿沼にある運送会社と日光の霊水を使った霊感商法だ。滞納者たちが秘めた恐るべき事情が明るみに出たとき、ぐー子が宙を舞い、鏡の推理が冴え渡る。おまけに思わぬところで鏡の元嫁が現われて…人とお金の謎に迫る税務署エンターテインメントシリーズ第3弾!
どこまで行っても、宇宙にはなにもなかったー空っぽの宇宙空間でただよい続け、いまだ出会うことのないバナナ型宇宙人を夢想し続ける無人探査機を描く表題作、淡々と受け継がれる記憶のなかで生まれ、滅びゆく時計の街を描いた「エデン逆行」など全10篇。円城作品はどうして「わからないけどおもしろい」のか、その理由が少しわかるかもしれない作品集、ついに文庫化。ボーナストラック「コンタサル・パス」を追加収録。
卒業式会場の講堂へと続く狭い通路を歩いていた中3の仁科羊歯子は、気づくと暗い部屋に寝ていた。隣に続くドアには、こんな貼り紙が。卒業生各位。下記の通り卒業試験を実施する。“ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。時間は無制限とする”羊歯子がドアを開けると、同じく寝ていた中3女子が目覚める。またたく間に人数は13人に。脱出条件“卒業条件”に対して彼女たちがとった行動は…。扉を開けるたび、中3女子が目覚める。扉を開けるたび、中3女子が無限に増えてゆく。果てることのない少女たちの“長く短い脱出の物語”。
監督・木村大作、主演・松山ケンイチで感動の映画化! 奥秩父の山小屋を舞台に、山を訪れる人々が抱える人生の傷と再生を描く感動の山岳短編小説集。二〇一四年六月東宝より映画公開予定。
音楽の才能は普通だが、世渡り上手なワタル、高みを目指すゆえ周囲と妥協できない礼二。中学で出逢った二人は、文化祭でバンドを結成するが、その後、それぞれ違う道を歩み続ける。女子の青春小説でも定評のある著者が、今度は、二人のロック少年の苦悩と成長を描く。ほろ苦く切ない、青春ロック小説。
理解ある舅・姑とともに、江戸の大店・仙石屋の暖簾を守るおしの。大地震の後、店を追われたもと夫が妾と娘を連れて戻ってきたからさあ大変。跡継ぎ息子の実母であることを盾に女主人の座を狙う妾のおみね、店を支えてきた誇りを胸に迎え撃つおしの。女同士、進退かけた分け目の戦が始まる。新感覚時代長編!
畝源三郎の嫡男・源太郎も、はや7歳。歯痛で妙にしおらしい花世を気遣って、御利益があるというお稲荷さんに連れていくが…。幼い二人が放火事件に巻き込まれる表題作、大安売りに目がない女中頭のお吉の買い物が思わぬ事件につながる「お吉の茶碗」他、珠玉の7篇を収録。カラー挿絵も美しい愛蔵ベスト版第3弾。
金に拘る姿勢から「ゼニバ」と呼ばれる代理人善場。担当の結城投手のFA交渉が難航するなか、強豪チームの元・四番で問題児の瀬司が失踪した。善場の宿敵で瀬司の元妻の羽田は、結城への干渉をやめる条件に、瀬司探しを善場に提案するが。敏腕代理人の奔走を描く異色のスポーツ小説。
清六と四郎は四十年以上「四六漫才」という名で芸人を続けているが、勢いを失い客も入らない。そんな二人に奇跡が!舞台上に乱入してきた男を清六が鮮やかに倒したのだ。会場は大盛り上がりで一躍彼らは時の人に。だがその映像をTVで見た今野淳一は「あれは間違いなく相手を殺すための技だ」と見抜く。清六の過去を探りはじめると謎の殺し屋組織に狙われていることがわかり…!
御家人やくざの白九郎の相棒は、牙黒と名付けた雑種の犬。なぜか、話ができる。柳原の土手を縄張とする野犬たちも、義侠心で結ばれた仲間だ。その土手になんと三万両の埋蔵金が隠されていた!?嗅ぎつけたのは旗本、川舟役人、やくざ者。お宝を掘り出すのに野犬は邪魔と、土手に毒をバラ撒いた。「許せねえ!」と白九郎と牙黒は、その埋蔵金を餌に一網打尽の罠を仕掛ける。
平安末期、源氏方の十六歳の武者、草十郎は、野山でひとり笛を吹くことが好きな孤独な若者だった。将として慕った源氏の御曹司・義平の死に絶望した草十郎が出会ったのは、義平のために魂鎮めの舞いを舞う少女、糸世。彼女の舞に合わせて草十郎が笛を吹くと、その場に不思議な“力”が生じ…?特異な芸能の力を持つ二人の波乱万丈の恋を描く、『空色勾玉』の世界に連なる荻原規子の話題作!
惹かれあう天性の舞姫・糸世と笛の名手・草十郎。二人が生み出す不思議な“力”に気づいた上皇は、自分のために舞い、笛を奏でよと命ずる。だが糸世は、その舞台から神隠しのように消えた。鳥たちの助けを得て、糸世を追い求めていく草十郎の旅は、やがてこの世の枠を超え…?四つの文学賞を受賞した、日本のファンタジーの旗手・荻原規子の不朽の名作、待望の文庫化!
エマノンが旅を続けているのは、特別な目的があるのではなく、何かに呼ばれるような衝動を感じるからだ。人の住まなくなった島へ渡り、人里離れた山奥へ赴く。それは、結果として、絶滅しそうな種を存続させることになったり、逆に最期を見届けることもある。地球に生命が生まれてから現在までの記憶を持ち続ける彼女に課せられたものは、何なのか?その意味を知る日まで、彼女は歩く。