2014年4月発売
東京で働く友里子の母校が、近くの高校に統合され、閉校することになった。所属していたヨット部のOB会が開かれることになり、好きだった佑介に久々に会えることを期待して、参加することに…。高校を卒業して十七年。就職、結婚、とそれぞれの人生を歩んでいた彼らは、いろいろな悩みを抱えていた。『探し物は恋なんです』などで評判の著者が、等身大の男女たちの生活・恋愛・仕事を描く。書下し友だち小説。
公野櫻子が贈る、「ラブライブ!」のオリジナルストーリーを単行本化。μ'sのメンバーたちが、自分たちのスクールアイドル活動を、お当番制で毎日書き綴っている「μ's活動日誌」を、毎月お届けしていきます。
エヴェンキ族最後の酋長の妻、90歳の「私」は、仲間が定住地に移住していくのを見ながら、森の中で最後までトナカイと一緒に残ることを決意して、これまでの人生を語り始める。もともと民族はバイカル湖周辺に住んでいたが、ロシア軍が侵攻してきたため、アルグン川の右岸に渡る。そこは当時、清国だったが、やがて中華民国となる。そして日本軍の対ソ連前線基地となり、男たちは軍事訓練を受けるが、日本軍は敗退していく。やがて中華人民共和国の内モンゴル自治区に変わり、社会主義体制のもと、政府は医療の改善と教育の充実、また動物保護を名目にして定住生活を推し進める。だが彼らのトナカイとの共存共栄の生活が理解されず、狩猟民としての生活が破壊されていく。都市での定住生活に適合もできず、将来を見出せない狩猟エヴェンキ族。民族は徐々に衰亡し、やがて絶滅してしまうのではないか、と危惧する…。
小説・映画から野球文化を読み解く。 アメリカの「国民的遊戯」と称されるベースボールが文学作品や映像作品で表現される際に見られる特徴を分析し、そこに透けて見えるアメリカ文化の姿、人々の希望と欲望、そして“神話”としてのベースボールを考察する。 はじめにー野球例外主義 第1章 ベースボールの履歴書ー裏通りから巨大ビジネスへ バット・アンド・ボール・ゲーム 遊戯の職業化 ニグロリーグ デッドボールからライヴボールへ 戦争と野球 拡張の時代 -ナショナル・パスタイムからインターナショナル・パス タイムへ 遊戯の精神ーメジャーだけがベースボールじゃない 第2章 ベースボールの文化表象 パストラルの詩学 郷愁と風刺 皮肉と感傷 神話と野球文学 マジック・リアリズム 第3章 「なぜ書くか」をいかに読むかー 隠喩媒体としてのベースボール イノセンス めぐる季節 ノスタルジア 逸話が伝える記憶 パストラルの時空間 マジック・リアリズム 野球と民主主義 アメリカの夢、アメリカ人の条件 野球文学の水脈 第4章 最初の野球映画「最期の試合」 国民的遊戯の創生 走れ、ウィリアム 10 人のインディアンー消えゆく先住民たち 文化的食人ー人間からシンボルへ ネイティヴ・アメリカン・パスタイム 第5章 フィールド・オブ・アメリカン・ドリームス 父と子の和解の物語 テイク・ミー・トゥー・カムデン・ヤーズ 緑がもたらす心の安らぎと経済的成功 J. D. サリンジャーからテレンス・マンへ ジェイムズ・アール・ジョーンズの数奇な野球人生 見えない人間たち おわりに 読書案内
30歳を目前に会社を辞めたタケヤス。実家に戻り友人と再会するも、地元の八番筋商店街は近郊に巨大モール建設のためカウンシル(青年団)の面々が騒がしい。そんな中、ある噂をきっかけに転校したカジオと再会し…。人生の岐路を迎えた男女を描く物語。
27歳のヘルパーの草介と、彼に淡い恋心を抱く46歳の女性ケアマネの重光さん、そして彼女に不思議な欲望を覚える81歳の吉崎老人。それぞれの秘密が静かな日々の中でふと泡立ち、奇妙な恋が動き出す。彼らの心の痛みに寄り添ってくれる空也上人とは?
百年に一度生まれ、未来を予言するといわれる生き物「くだん」。鬼の面をした怪物が「異形の家族」に見せた世界の真実とは(「五色の舟」)-各メディアでジャンルを超えた絶賛を受け、各種ランキングを席巻した至極の作品集がついに文庫化!津原泰水最高傑作短篇との呼び声が高い「五色の舟」を始め、垂涎の11篇を収録。文庫版オリジナル、著者による自作解題も併録。
中学校に入ってまもなく、突然いじめられる日々がはじまった雄哉と章司。怒りと悔しさに立ちすくむ二人の前に、「復讐計画を考えるんだ」と誘う不思議な先輩が現れたー。あさのあつこが贈る、生き抜くための青春小説。その後のプランナーたちの活躍を描いた、書き下ろし続篇「星空の下に」を特別収録。
もしも鳩のように飛べたなら…転校生の音和が、新しい学校で出会った、少し変わった教師。伝書鳩を育てる楽しい仲間たち。それに、飛べない鳩のコマメ。人は、心の目で空を飛べるだろうか?読書感想文コンクール課題図書となった永遠の名作!
ピアニストを目指しながらも、亡き母に代わって家族の世話を強いられるスウ姉さん。父の銀行が破綻し、恋人が去ってもなお、持ち前のユーモアを支えに、与えられた場所でタフに生きていく。『少女パレアナ』のエレナ・ポーターが、世界中の女性に捧げた物語を、この作品を深く愛した翻訳家・村岡花子の名訳で贈る。
「悪霊のはびこる暗い夜ふけに、ムアに、決して足を踏み入れるな」-魔犬伝説にとりつかれたバスカヴィル家当主の不可解な死。死体のそばには巨大な犬の足跡がはっきりと残されていた。謎の吠え声がひびきわたる荒れ地を舞台に、怪異な事件が幕を開ける。「ホームズ物語」の中でも圧倒的人気を博す長編大傑作。充実した注と解説、全イラスト復刻の決定版。
安政の大獄事件はその末端で福島の一人の百姓が巻きこまれた。罪人として八丈島におくられた。五年の後、許されて故郷の村に戻って来た。福島桑折代官川上猪太郎は早くもこの男に注目した。幕末に至り、福島城主板倉候は徳川幕府の下命により急遽軍資金の増額を命じられた。家臣桑折代官川上猪太郎に命じて増収を図ることになる。これの拠出は蚕種紙、生糸などの産物取引の歩銭の増額で対処しようとしたが、百姓、仲買い人等が怒って取引市場を閉鎖して対抗した。折から、不作の夏、福島平野の190カ村の民衆は、飢えに苦しみ大挙して福島城に押しかけた。その中に島から戻って来た菅野八郎がいた…。
臆病で気は小さいが憎めない犬丸順吉は、太平洋戦争直後、戦犯を恐れた社長の密命により四国へ身を隠す任務を与えられる。そこには荒廃した東京にはない豊かな自然があり、地元の名士に食客として厚遇を受けながら夢のような生活が待っていた。個性豊かな住民たちと織りなす笑いあり恋ありのドタバタ生活はどんな結末を迎えるか…。昭和を代表するユーモア小説。
傑作ぞろいの“人間喜劇”からセレクトする3冊のコレクション、第1回。革命期に奮戦した名門貴族の末娘エミリーは、美貌と才気に恵まれていながら、甘やかされ驕った心の娘に育った。ある日、ソーの村の舞踏会で理想の若者と出会い愛し始めるが、その身分は謎に包まれていた…。驕慢な娘の悲劇を描いた表題作に、尽きせぬ味わいの中編『夫婦財産契約』『禁治産』を収める。
さあてお立ち会い。人類史上最高のスーパーヒーローをご紹介しよう。かの三銃士を父に持つその名も“三銃士の息子”だ。なにしろダルタニャンの機知、アトスの気高さ、ポルトスの精力を一身に受け継いでいるのだから天下無敵も道理。そんなヒーローが、美しくも無垢で薄幸のヒロインを救うべく、悪の権化の公爵殿と闘うんだから、コレを見逃す手はない!かのチャップリンも脱帽したとかしないとかいう、ユーモアの神様カミが放つ冒険巨篇。
総面積は地球の5000倍にもおよぶ巨大惑星オマル。そこではヒト族、シレ族、ホドキン族の3種族が暮らしていた。何世紀にもおよぶ壮絶な抗争の末、65年前に結ばれたロプラッド和平条約により、いまはかろうじて平和が保たれていた。そんな3種族共同統治区プラットフォームジャンクションの大港に停泊中の巨大飛行帆船イャルテル号をめざし、今、種族も年齢も出自もまったく異なる6名の男女が向かっていた。彼らが手にするのは謎めいた卵の殻と22年も前に購入された乗船券。彼らの目的は?そしてイャルテル号の行く手には?フランス有数のSF賞、ロニー兄賞受賞に輝く壮大なSF叙事詩!
深川の長寿庵の主人で岡っ引を務めてきた長助が、お上から褒賞を受けた。町内あげてのお祭り騒ぎのなか、ひとり取り残された女房のおえいが思わぬ事件にかかわる表題作、香苗が大事な木箱を落としてしまっことに始まる騒動「千手観音の謎」ほか、珠玉の八篇が目白推し。カラー挿絵も美しい愛蔵ベスト版、堂々完結!
昭和10年春、女子医専を卒業した壽子は、満州・大連へ赴任する。帝大の科学者と祝言をあげたちゑ。六代目尾上菊五郎の妾となった芸者の松太郎。不穏な世相を背景に、三麗花はそれぞれの道を歩みだす。やがて訪れた再会の日、満洲国皇帝の御前で彼女たちが詠んだ秀句とはー。句会小説の洒脱にして芳醇な味わい。