2014年4月発売
十八歳の時に交通事故で顔に大怪我を負い、美容整形手術を受けて完璧な美貌を手に入れて世界的ファッションモデルにまでのし上がった美織レイ子が死んだ。整形後の人生の中でレイ子は七人の男女を憎んできたが、その七人もまた彼女を殺す動機を持っており、しかも全員が、「美織レイ子を殺したのは自分だ」と信じていた!? ミステリー史上でも出色のヒロインをめぐる目くるめく愛憎劇を描き切ったその超絶技巧は、帯にいただいた綾辻行人さんの言葉どおり、「まさに連城流、並ぶものなし」です。
「電気人間って知ってる?」一部の地域で根強く語られている奇怪な都市伝説。真相に近付く者は次々に死んでいく。語ると現れ、人の思考を読むという電気人間は存在する!?ライターの柵馬朋康もまた謎の解明に乗り出すが、複数の仮説を拒絶する怪異は、彼を出口の見えない困惑の迷宮に誘うー。ミステリか、ホラーか。ジャンルの枠を軽妙に超越する鮮烈の問題作!
巨額詐欺疑惑を追っていたジャーナリストが殺害された。内閣情報調査室、通称CIRO国内部の調査官である香月喬は、その死に不審を持ち、独自に事件を調べ始めた。現役代議士や元総理秘書官、警察官僚たちなど政官財の魑魅魍魎の中で捜査を進めるうちに浮かび上がってきた衝撃の真相とはー。骨太の作風で知られる著者が人気作に大幅に加筆修正した「決定版」。
街に夜ごと現れる、謎に包まれた“セントジャイルズの亡霊”。ある晩、馬車を走らせていた貴婦人イザベルは、けがを負った“亡霊”を見つけて屋敷に連れ帰る。夜明けを待たずに姿を消した正体不明の男性に、イザベルはどこか不思議な魅力を感じた。その数日後、彼女を含む貴婦人たちが支援する孤児院の経営者で、庶民男性の心優しいウィンターを社交界入りさせるため、イザベルが指南役となる。会話やダンスの手ほどきを重ねるうちに、互いの孤独な心に気づき惹かれていく二人。しかしウィンターは、身分が高く美しいイザベルを前に自分の気持ちを押し殺していた。しかも彼には、誰にも言えない秘密があったー。レッスンの成果を試すため、二人でオペラハウスに出かけた夜、“亡霊”が現れたという噂を聞きつけたイザベルが思わずその姿を追いかけると…。
昵懇になったどこかのお殿様・竹に、跡継ぎ問題が起きているらしい!? よせばいいのに惣二郎は首を突っ込み、どこをどうしてか仙台伊達藩の軍資金、十万両の在処を記した書簡を巡る争いに巻き込まれるが……。
ハリー・ポッターや宮崎アニメを筆頭に、ファンタジーが世を席巻している。児童文学の一分野であったものが、大人をも魅了している。宗教的な神話や伝説、昔話などの物語が、どのように文学的な物語に変容したのか。「千一夜物語」、ペロー、グリム兄弟などの流れを追う。さらに、アンデルセン「人魚姫」、C・S・ルイス「ナルニア」シリーズなどを分析し、ファンタジー作品のなかに流れ込んでいる宗教的なものの源泉をさぐる。 ハリー・ポッターや宮崎アニメを筆頭に、ファンタジーが世を席巻している。児童文学の一分野であったものが、大人をも魅了している。宗教的な神話や伝説、昔話などの物語が、どのように文学的な物語に変容したのか。『アラビアン・ナイト』、ペロー、グリム兄弟などの流れを追う。さらに、アンデルセン『人魚姫』、C・S・ルイス「ナルニア」シリーズなどを分析し、ファンタジー作品のなかに流れ込んでいる宗教的なものの源泉をさぐる。 序章 宗教・子ども・ファンタジー 1章 児童文学の宗教性 2章 現実を超えた物語の誕生と展開 3章 運命の女神から妖精へーーフランスで生まれた妖精物語 4章 妖精物語からメルヒェンへーードイツの子ども向けの教育的物語 5章 物語にみるキリスト教的価値理念とその変容ーーペローからグリムへ 6章 「子ども」と「ファンタジー」の宗教性ーーアンデルセン童話の登場 7章 イギリス児童文学の中のアルカディア 8章 宮崎駿のアニメーション映画が語るもの
独特な作風と言語・文化への鋭く繊細な洞察から生まれる多和田ワールドの魅力が横溢する作品集。「かかとを失くして」「三人関係」「文字移植」 群像新人賞受賞作を含む初期中編3作。 独特な作風と言語・文化への鋭く繊細な洞察から生まれる多和田ワールドの魅力が横溢する作品集。 【底本】 かかとを失くして/三人関係……『三人関係』(1992年3月 講談社刊) 文字移植……『文字移植』(1999年7月 河出文庫刊) かかとを失くして 三人関係 文字移植 作者から文庫読者のみなさんへ 解説 谷口幸代 年譜 谷口幸代
「火事と喧嘩は江戸の花」と申しましても、喧嘩をうまく治めるのは難儀なこと。まして侍と棒手振りの一戦となればなおのこと。そんな派手な喧嘩を見事治めてみせたのが、日之本源九郎と名乗る謎の若さま。すると今度は喧嘩の片割れ棒手振り仙太を手下に、女や子供を拐かす悪人退治にいざ出陣。結果やいかに?愉快、痛快、奇々怪々の若さま活劇、まずはご覧あれ。
「血の収穫祭」と呼ばれる伝統的な儀式が残る英国の小さな町。ある日、教会の墓地の塀が崩れて、そばにあった幼い少女の墓が壊れてしまう。だが墓からは、そこに眠っているはずのない二人の子供の遺体までもが発見された。少し前まで土には埋められていなかったようで、頭蓋骨には酷い損傷があった。この地でかつて何があったのか?血塗られた町の秘密を暴く戦慄のミステリ!
八代将軍吉宗が御庭番を登用したため、公儀隠密のお役目を解かれた根来組で一番の凄腕隠密・弧兵衛。彼は同じ境遇の元甲賀組・お蜜、元伊賀組・才蔵と共に、弱者を助けて許せぬ非道の悪漢を討つ、影成敗を開始する!
三十路間近な住職・日比野隆道和尚は、父母を失った高校三年生のゆかりにとって唯一の家族であり、歳の離れた“兄ちゃん”だ。兄妹ふたりの暮らす寺にある日、泣きぼくろが印象的な美女がやってくる。「夫から逃げてきた」と訴える彼女を、兄は妹の大反対にあいながらも居候させることにするー。すこぶる爽快、おもわず落涙。コイする青春“禅”ノベル。
まだ見ぬ息子を捜してほしいー老まじない師がコークに語ったのは70年以上前の驚愕の物語。農場からの脱走、差別的な白人との仕事、初めての恋。捜し出した息子は大企業を作り上げた伝説の人物だった。家族を思い友を敬う男たちの清貧さと強欲な人間たちの陰謀。アンソニー賞ノミネート/ディリス賞受賞。
『南柯の一夢』の主人公は官僚を嘲笑する自由人である。そういう男が役人になって栄達の限りをつくし、得意と失意をたっぷりと味わう。味わったところで夢からさめ、槐の根もとを掘るとどうだろう、夢みたとおりの小さな蟻の王国があったのだ。唐代伝奇の面白さは、幻想を追っているようで実は深く現実の人間の本質をついているところにある。(全二冊)