2014年4月16日発売
『南柯の一夢』の主人公は官僚を嘲笑する自由人である。そういう男が役人になって栄達の限りをつくし、得意と失意をたっぷりと味わう。味わったところで夢からさめ、槐の根もとを掘るとどうだろう、夢みたとおりの小さな蟻の王国があったのだ。唐代伝奇の面白さは、幻想を追っているようで実は深く現実の人間の本質をついているところにある。(全二冊)
一代で巨万の富を築いた親のもとに一人息子として生まれたラルボーは、家業を継ぐことを拒み、富裕な好事家、教養豊かな通人として、国境を軽々と越えるコスモポリタンの生涯を全うした。意識の流れを“内的独白”の手法で書いた、印象、感覚、夢想、風景の鮮やかさが清新な中篇『秘めやかな心の声…』を併録。
北海道に住む少女ノリコが、お母さんのお墓の近くで出会った「小さな生き物」。コロボックルの温かな物語の扉が、再び開くー。300万人が愛したコロボックル物語。最終巻刊行から27年、書き下ろし新シリーズ、スタート!
茅葺き屋根が寄り合う退屈な村・ミナギ。あくどい手段で村を変えていく地主と“ネオ農”との壮絶な争いを描く「拳銃と農夫」。林野庁の女性職員が樹上で叫び訴える「第二次間伐戦争」。謎の襲撃者から牧場を守るティーンエイジャーの「ガウチョ防衛線」。疾走感抜群の文体で活写する、縮みゆく村の抵抗と再生の物語。
ニューヨークに生まれ育ったデイヴィッドの本当の父親はフランス人。だが、母がゆきずりで関係した父についてはほとんどなにも知らない。成長するにつれ、アメリカの俗悪さに心底うんざりしたこの青年は、ヨーロッパ、特にフランス文化への憧れを募らせ、フランスへと旅立つことを決意するのだった。父の、そして敬愛するクロード・モネと印象主義を生み出した国へと。パリに着いたデイヴィッドの旅路はやがて、月刊誌の副編集長を務める冴えない中年男の人生と運命的に交差するーフランスの五大文学賞のひとつ、メディシス賞に輝いた著者の代表作。