2014年6月5日発売
東京の多摩湖畔で、巨木の高枝に挟まったウエットスーツ姿の女性の死体が発見される。さらに同じ頃、現場から少し離れた住宅地で、女性社長が三重密室の邸宅内で殺害されていた。捜査本部を率いる警視庁の理事官、和久井遙香は同一犯であるとにらみ、被害者二人に共通する知人たちを聴取するが、全員にアリバイがあり、事件は迷宮入り。一方、本庁の刑事部長の密命を受けた刑事の友坂は、庁内で「ガラスの探偵」と囁かれる朝倉透に事件の解明を依頼するが!?
山手線にだけ神出鬼没に現れる、謎の名探偵ー霧村雨のもとに、少女誘拐事件が舞い込んだ!山手線探偵・霧村は、小学6年生の助手・シホと自称ミステリ作家のミキミキさんと一緒に急遽、捜査を開始する。そして謎が謎をよび、過去の未解決事件「消えた妖精」の真相に辿り着き…。
時は明治2年。世の混乱と父の謎の死により店を閉めざるをえなくなった老舗菓子店ー橘屋のひとり娘である日乃出は、店を再建するため「百日で百両、菓子を作って稼ぐ」という無謀な勝負に挑む。勝敗の鍵を握る幻の西洋菓子「薄紅」のレシピを追い求め、日乃出は走る!
夫の家を出て2年、レクシーはようやく心の傷も癒えて、宝飾デザイナーとして自立の道を歩み始めていた。そんな矢先、別居中の夫ゼノンが突然彼女の前に現れる。彼女の弟が多額の借金を抱え、ゼノンに泣きついてきたというのだ。「僕が善意だけで君の弟を助けるとでも思うのか?」以前と変わらぬ端整な顔に不敵な笑みを浮かべたゼノンの言葉に、レクシーは身を震わせた。やはり彼は変わっていない。二度目の流産のあと、傷ついた妻を冷たく拒絶したあの日から…。ゼノンは厳しく告げた。「君には妻として戻ってもらう」いったい彼は私をどうするつもり?レクシーの心は乱れた。
男性の患者だけは絶対に引き受けないー理学療法士のリリーはそう心に誓ってきた。過去の悲しい経験のせいで男性恐怖症になってしまったのだ。だが経済的事情から、どうしても引き受けざるをえないことになる。患者は大富豪一族の次男、ラウル・カッファレッリ。事故で大怪我を負ったラウルは自暴自棄で古城に引きこもり、他人をよせつけないのだという。案の定、治療のために訪れたリリーにも侮辱的な言葉を投げ、不遜な態度をみせるラウルだったが、なぜか追い返しはしなかった。閉ざされていた彼の心に、かすかな変化が起きようとしていた…。
ヴォリャルス王国の豊かな資源の利権をめぐり、王国を悩ませているのが、アメリカにいる女相続人だ。研究にしか興味がないという浮世離れした化学者シャネルー王族の誰かが彼女と結婚すれば権利は王家に戻ることから、プレイボーイの王子デミヤンに白羽の矢が立てられた。うぶで男性を知らないシャネルの心を鷲づかみにすべく、シアトルにやってきたデミヤンだったが、シャネルを知れば知るほどペースを乱され、困惑する。まさか、ただのキスでこれほどの衝撃を受けるとは。彼は自らを叱りつけた。これはただの任務だ。それを忘れるな、と。
結婚式当日、花嫁になるはずのリアの姉が失踪したーよりによって、花婿の仕事上のライバルと一緒に。花婿のアイアス・クーロスはリアの幼い頃からの憧れの人。彼はリアの父から経営を学び、結婚後は会社を引き継ぐはずだった。そうしなければ、会社はすぐさま他人の手に渡ってしまうのだ。でも、私に何ができるの?美人の姉の陰で地味に生きてきた私に。アイアスの面目を保ち、父の会社を守る方法があるとすれば…次の瞬間、リアの口から意外な言葉がこぼれ出た。「アイアス、わたしがあなたと結婚するわ」それは彼女にとって、人生で初めての大胆な決意だった。
子供時代、一人かわいがられる異母妹を横目に、継母のいじめに耐えながら育ったサラ。その異母妹が未婚のまま子供を産んでまもなく急死し、サラは遺された子、サバンナを引き取ることにした。赤ん坊は愛らしく、育てはじめて数カ月、今や大事な宝物だ。ところがある日、サバンナの実の父親と名乗るジェイクが現れる。彼は血を分けた子の存在を最近知り、引き取りに来たのだった。今さらこの子を手放すなんて、私にはできない…。いっそサバンナを連れてどこかに身を隠そうかと思いつめるサラに、唯一の解決策が提示されたージェイクと便宜結婚すればいい、と。2部作第2話は、前作の主人公ジルの妹サラの物語。我が子同然に愛するサバンナを、実父とはいえ家庭的でないジェイクに任せられないと考えるサラ。でも一方で、魅力的な彼に惹かれるのを止められなくて…。
母の顔も知らず幼少期を施設で過ごしたベルは、10歳で養女になるが、養父母からの愛情を感じたことは一度もなかった。養父母の死後、ベルは実の母親を探すためイタリアへ飛び、悪魔のようにハンサムな男性レオンと出会う。伯爵家の御曹司だという彼は、なぜかこちらの素性を知っていた。ベルが親身に話を聞いてくれるレオンに強く惹かれはじめたとき、彼が言った。「僕ならきみを実の母親に会わせてやれる」やがて衝撃の事実が発覚するーベルの母は、なんと彼の継母だったのだ。生まれて初めて心惹かれた人が、まさか義理の兄だなんて!妹とは程遠い感情をいだくことは、赦されざる罪…。大御所R・ウインターズの最新作。これぞシンデレラストーリーの決定版!物心つく前に捨てられ、愛を知らずに生きてきたベル。レオンと出会って初めて、この人に愛されたいという気持ちが芽生え…。想いが募るほどに切ない禁断愛。
「きみの名は?」名門貴族ジェームズ・オルドハーストに尋ねられ、ベッドに寝かされた娘は必死で答えた。「わたしは、アン…」嵐の夜、ずぶ濡れで行き倒れになっていたところを彼に拾われたが、彼女は名前以外のいっさいの記憶を失っていた。心身ともに弱り果て、不安ばかりが募るなか、なにくれとなく世話をしてくれるジェームズに、アンはいつしか特別な想いを寄せていた。彼は誰もが結婚したいと憧れる魅力的な御曹司。出自の知れない私なんかとかかわったら、彼の名誉に傷がついてしまう!ひそかに身を引く決意を固め、アンは屋敷から姿を消した…。
幼くして父親を亡くし母と二人暮らしのエミリーは、年上の隣人、セバスチャンのことをずっと慕っていた。やがて、病に倒れ余命幾ばくもない母の願いで、エミリーは16歳のとき彼と婚約し、初恋を実らせたかに見えたーセバスチャンが別の女性を愛していると知るまでは。ほかの男性と結婚しようとするその人を彼が必死で止めるのを、偶然にも立ち聞きしてしまったのだった。ショックを受けつつも、彼のためを思うなら自分が譲るほかないと考え、彼女は断腸の思いで婚約解消を申し出た。それから5年。エミリーの前に、男爵となったセバスチャンが現れる。
ウエディング・プランナーのスカーレットは、ある日、高い脚立から落ちかけ、居合わせた顧客に抱き止められた。ほっとした次の瞬間、思わず頬を赤らめる。なんてゴージャスな人なの。彼はセクシーなことで有名な大富豪、ダニエル・マクニールだった。スカーレットの本能は即座に警告した。彼に近づいてはだめ。危険だわ。冴えない私が彼と釣り合うはずがないもの。だから、花束の贈り物もディナーの誘いも断った。彼のキスは、とてもすてきだったけれど。次に脚立から落ちたとき、ダニエルは現れず、彼女は頭を強打した…。気がつくと、ゴージャスな男性が心配そうに瞳をのぞきこんでいた。あなたは、誰?-スカーレットは記憶喪失に陥ってしまったのだった。
ジェンマは幼い息子が入院する病院で、かつての恋人テイトに再会した。1年前、パーティが出会った億万長者のテイト。男らしい魅力あふれる彼にジェンマはたちまち虜になり、その夜のうちに情熱を分かちあった。けれど、夢のような日々は長くは続かなかった。わずか数週間後、ジェンマの恋心はずたずたに引き裂かれたのだ。身に覚えのない浮気を責められ、ペントハウスを追い出されて。その後妊娠に気づいたジェンマは、ひとりで赤ん坊を産み育ててきた。このまま秘密を隠し通さなくては。テイトに息子の存在を知られたら、親権を奪われるかもしれない。慌てて立ち去ろうとする彼女の動揺を、テイトはしかし見逃さなかった。そして赤ん坊をひと目見るなり言った。「この子の父親はぼくだ」それは、ぞっとするほど冷たい声で…!?
唯一の家族である母を看取ったあと、ジェイは故郷を離れた。恋も遊びもあきらめて看病に明け暮れた日々に別れを告げ、砂漠の国ダムホールで、人生の再スタートを切るつもりだった。現地の医師団に参加した彼女は、有能な外科医マレクと出会う。運命だった。命を救う闘いを共にするうち、二人は強く惹かれ合った。初めての恋ーけれどそれは淡くもやさしくもなく、灼熱の砂漠のようにジェイを熱く焦がした。だがマレクは、彼女の純潔をぎりぎりのところで拒み続ける。医師であると同時に王位継承者でもある彼は、妻を選べない立場にあることを、どうしても言い出せないのだった。O・ゲイツの記念すべき日本デビュー作。
ルー・リヴシィ、25歳。花やハーブを育てながら、飼い犬とふたりきりで田園地帯の古いコテージに住んでいる。隠居した老婦人のような暮らしと思われても、かまわない。恋人も夫もいらない、男性は苦しみのもとになるだけだから。彼らが女性に言い寄る裏には、いつも何か、別の理由があるのよ。5年前、若すぎた結婚に大失敗してすべてを失ってから、ルーは、もう決して男性に心を開くまい、と決めていた。隣に越してきたばかりのニール・サクストンも同じ。「きみの土地を売ってくれ」いきなり強引に迫ってきたかと思うと、ほかにも欲しいものがあるかのような目で、ルーをじっと見つめたのだ。つぼみより固く閉じた、男性不信の乙女心。
ウエイトレスのシャンタルは、うっとりと思い返していた。ギリシアの大富豪アンゲロスが開催した慈善舞踏会の夜のことを。ハンサムな男性に声をかけられ、夜どおし踊った…。まさか、彼がアンゲロス本人だったとは。ある招待客の代わりに出席していたシャンタルは、素性を暴かれるのを恐れて慌てて逃げ出してしまったのだ。おとぎばなしは終わり、彼女はまたみじめな生活に戻った。それなのに、アンゲロスがわたしを捜し出すなんて!彼はなぜかひどく怒ったまなざしでシャンタルを見据えると、「父に会ってもらう」と言って彼女をむりやり車に押し込んだ。ギリシアとパリを舞台に描かれる、大富豪と貧しいウエイトレスの運命の恋物語。