2014年7月発売
誘拐事件に巻きこまれ、一時は記憶さえも失ったサラは、心身を癒やすため異国で療養生活を送っていたが、その間にショックなできごとがあった。長く慕ってきた兄の親友ジョンが、ほかの女性と結婚してしまったのだ。彼はサラが異国へ発つ前に、愛を告白してくれたというのに。あれはただの思わせぶりだったの?私の気持ちを弄んだだけ?切ない思いを抱えたままイギリスに帰国したサラを、予想もしなかった知らせが待っていたージョンの妻となった女性はすでに亡くなったというのだ。だが、彼との再会を心密かに待ちわびていたサラに、彼はつれなくて…。
ルーシーは、探偵ヘイデンの滞在するスイートルームに来ていた。継父がオーナーを務める会社が起こした事件の聴取を受けるためだが、ドアが開いた瞬間、出迎えたヘイデンに一目で心奪われたー。陰のある端整な顔立ち、息がとまるほどの存在感。だが、ヘイデンが継父を黒幕だと疑っていると知り、一瞬のうちに、彼は愛してはいけない人となってしまった。彼を求める心の叫びを無視し、ルーシーは継父の無実を証明しようと、調査の協力を申し出る。やがてヘイデンと行動をともにするうちに、彼の瞳に揺らめく欲望の炎を見つけ、めくるめく夜をともにしてしまう。しかしヘイデンは残酷な言葉を放った。「この関係は一時的なものだ」
別居中の大富豪の夫サムが事故で大怪我をしたと聞き、ブリアは病院に向かった。ところが、昏睡からさめた夫の言葉に驚く。「今回は成功したのかな、スイートハート?妊娠の兆候は?」優しく彼女を気遣うサムの様子は、愛情深い夫そのものだった。まさか…覚えていないの?不思議なことにサムの記憶からは、5カ月前ブリアが流産したこともそれが二人の関係を最悪な結末に導いたことも、消えていたのだ。ブリアはサムが快復するまで、再び一緒に暮らすことを決める。そして、仕事中毒ですれ違いばかりだった夫と過ごす新婚の頃のような甘く幸福な日々に、つかのま酔いしれるが…。
ローズは病後の療養のため、王の専用飛行機で、石油の国ラス・アルハジャールを訪れていた。王室御用達の獣医である兄に招かれたのだ。ある夜、兄と車で出かける途中、突如暗闇から馬が躍り出てきた。急ブレーキを踏んで車を停止させるや、兄は馬を捜しに行ってしまう。慌ててローズも飛び出すと、誰かに口をふさがれ、抱き上げられた。全身黒ずくめの男は黒い頭巾をかぶり、灰色の目しか見えない。だが光る目を見て直感した。飛行機に同乗していたハッサン皇子だわ!あの鋭い瞳を忘れようはずがない。でも、なぜ彼が私を誘拐するの?たくましい腕に連れ去られながら、ローズは恐怖に震えた。
夜勤明けで熟睡していたホリーは、玄関ベルに眠りを妨げられた。色気も何もないストライプのパジャマ姿でドアを開けるとーそこにはなんと、ニール・ウェズリーが!大学時代、姉の恋人だったニール。今は名だたる実業家で、爵位を継ぐ身分でもある。そしてホリーをこっぴどく振った人…。そんなニールが、復縁を迫る元妻から逃げるため、今夜だけ姉に婚約者になりすましてほしいと頼みに来たのだ。だがあいにく姉が不在と知り、彼はホリーにその役を頼んだ。ニールと私が熱烈な恋愛中?そんな嘘が通用するのかしら?疑心暗鬼のホリーに、ニールはキスをした。熱く、激しいキスを。
「新しい恋人は、君が莫大な遺産を受け継ぐのを知っているのか?」ああ、まただわ。彼が財産目当てと疑っているのね。名だたるプレイボーイとして有名な、年の離れた義兄ニック。サラの幼い日の憧れはいつしか恋に、恋はいつしか叶わぬ夢になった。なぜなら彼は、サラの亡き父親から託された後見人だから。いつまでも子ども扱いしかしてくれない彼は、サラが連れてくるボーイフレンドの誰も彼もが気に入らない。仕方ないわーニックと比べたら、どんな男性も色褪せてしまうもの。24歳になったサラは一大決心をした。彼の気持ちを確かめたい。ニック、大人の女性になったわたしのこと、どう思っているの…?
マリアは宝石デザイナーとして不遇の日々を送っていた。アリスト王国の王妃のネックレスを作る仕事を与えられたのに、傲慢なプリンス、アレックスにその機会を潰されてしまったのだ。彼はマリアを誘惑し一夜をともにしたが、朝がくると、冷酷にも彼女を追い払い、仕事もなかったことにした。だがその2カ月後、王子が突然ニューヨークの彼女を訪ねてくる。国王の命令で、もう一度王妃のネックレスを作れというのだ。しかも契約の条件は、アレックスの愛人になることー冗談じゃないわ!なんて卑劣な人なの。生活が逼迫していて断れないマリアは怒り、抵抗したが、彼は平然とせせら笑い、契約の印だと言って唇をふさいだ。
プロレスラーに憧れているひきこもりの登美男は、妹だけが唯一の理解者。ある日。登美男の将来を案じた母が、ひきこもりを治す“出張お兄さん”なるカウンセラーの青年を家に連れてくるのだが…。果たして、登美男は外に出ることができるのか?そして、なぜ人は外に出たほうがいいのか?
徳川家康は名君?それとも迷君??戦国時代、最高の結束力を誇ったといわれる「三河武士団」だが、家康も家臣も、胸の内にはいろんなことが渦巻いていた。石川数正、大久保忠隣、蜂屋半之丞、奥平九八郎(貞昌)、松平家忠、ウィリアム・アダムスといった有名無名の家臣たちを主人公に、組織に生きる男たちの“ホンネ”と“タテマエ”を描きながら、彼らの目を通すことで家康の意外な素顔を浮き彫りにしていく。
「エルトゥールル号の恩返しですよ」-イラン・イラク戦争の最中の昭和六十年、フセイン大統領が、四十八時間以後のイラン領空の航空機無差別攻撃を宣告。日本政府が救援機を出せない中、イランに取り残された二百人以上の日本人救出に動いた国があった…。そのトルコ政府の英断の裏に秘められた、明治二十三年の「エルトゥールル号遭難事件」とは。百年の時空を超えた日本とトルコの友情を描く感動の歴史長編。
負けたら即、廃部よ、廃部!私立ヒミコ女学園では、日本文化を研究する“和風研”と“SOJ”の二つの部が鎬を削っていた。部の存続をかけた歴史討論にSOJは「刺客」を送りこみ、和風研を潰しにかかるが、歴史知識ゼロの新入生、北浦つばさが和風研に現われー。利休切腹の真相、芭蕉の旅の目的、歌舞伎の創始者の正体…女子高生たちの熱きバトルから飛び出す歴史の“真説”とは?文庫書き下ろし。
地方局の新米アナウンサー・鴨川優は、テレビからラジオに異動となり、憂鬱な気分を抱えていた。妙に陽気なディレクターの蓮池陽一から、午前0時に始まる新番組の司会に抜擢されるが、その準備中のある夜、突然の豪雨で孤立した村に災害情報を流す大役を担うことに。さらには陽一のとんでもない秘密が発覚し…。ラジオ局で働く人々の奮闘を現役アナウンサーが描く、少し不思議で心温まる物語。文庫書き下ろし。
十津川警部は三上刑事部長の特命を受け、警視庁を退職した岡部道夫の事故死を捜査するため、亀井刑事と岡山に向かった。捜査を進めると、岡部が退職後も秘かに追っていた事件の真相がしたためられていた手帳の存在が判明した。その手帳から、警察幹部が関与したある事件の全容が浮かび上がってきた…。
多国籍グループと日本人との対立は急速に激化し、多国籍同士の抗争も始まった。多国籍が豊かさを求めてきたはずのこの国は、今、有り余るほどの情報や自由を手にしながらも、実は不自由さにからめ取られているのかもしれない。“革命”小説シリーズ第9弾。描き下ろし掌編「ゴッホの血」収録。
吉祥寺のコンビニでアルバイトをして暮らす“おれ”(バツイチ・息子あり)を訪ねて、市長選挙を控えた政治家の秘書がやってきた。強引に連れていかれた先で、政治家本人から「娘を捜してほしい」と依頼される。おれはその話に、どこか釈然としないものを感じながらも、報酬につられて引き受けた…。東京・吉祥寺を舞台に描く、書き下ろし探偵ミステリーシリーズの第2弾。
一九四四年九月。中国での大陸運営に行き詰まった日本軍は、傀儡政権維持のために潜水艦による金塊輸送計画を立てた。ニューギニアの孤島、マレンドック島の守備隊は、その作戦の囮役を命じられる。彼らは玉砕必至の作戦を受け入れるが、残された国民のために、“暁”と名付けた作戦を極秘浬に計画したー日本の未来に命をかけた男たちの熱い戦い!
最初の悲劇の32年前。ある夏の朝、中国地方の寒村、夜鳴村で黒い封筒が見つかった。そこには「王様」からの命令が書かれていた。命令に従わない者は「首吊りの罰」。最初は誰も本気にしなかったが、翌朝、命令に従わなかった2人の村人が首を吊って死んでいたー大人気サバイバルホラー最新作!すべての悲劇はここから始まった!