2014年7月発売
三国屋が扱う御用米を積んだ川船が上州倉賀野で転覆した。陰謀の匂いを嗅ぎ取った大旦那の徳右衛門は現地へ飛び、“江戸一の辣腕同心”八巻卯之吉の加勢を老中に要請する。金の力で再び隠密廻となり、旅先で遊興ができるとあって卯之吉は大喜び。剣呑な上州路へと勇躍、足を踏み出す。大好評シリーズ第十五弾!
藩主後見役に任じられた元藩主の樺島直篤が隠居所に篭ったまま動く様子を見せないため、定海藩は混迷の渦中にあった。筧忠兵衛は、いまだ失意の中にいる紗智に田宮伴内自刃を報せに行き、冷たく拒絶される。そんな中、謎の投げ文によって、南町奉行所臨時回り同心の岸井千蔵は一連の事件が天明の鬼六一家の企てであったことを掴むのだが。書き下ろし長編時代小説、怒涛の第十四弾。
旗本家を廃嫡され、生き物捜し屋を始めた椎名貫太郎は、逃げたカラスを追ううち手代殺しの濡れ衣を着せられてしまう。南町奉行所与力・宝妙寺捨六の名推理によって疑いが晴れたのも束の間、女房の千帆と倅の千吉が流行り病で倒れ、懐の寒さに途方に暮れる貫太郎。そんな折、馴染みの野良猫・茶々丸が小判を持ってきてくれた。だが、その金の出所には曰くがあり…。好評シリーズ第二弾。
右京は休暇中のロンドンで、殺人事件の捜査に協力することになる。被害者宅の防犯カメラには、そこから150キロ離れたバーミンガムでマジックショーを繰り広げていたはずの奇術師の姿が映っていた。しかも、彼はステージ上で殺人予告を行い、殺害時刻には短刀を片手にテレポートを行ったという。右京は不可能犯罪の真相を追うが…。
西国の雄・徳島藩の財政は、打ち続く幕府の「お手伝い」普請により破綻寸前となった。困窮の中、江戸上屋敷の算用方で将来を嘱望されていた美月清志郎は、突然「除籍」を宣告される。だがこれは、江戸家老の敷島雅楽頭による、藩を救うための秘策の一環だった。妻子と共に浪々の暮らしに追われながら市井の温かな人情にもふれ、清志郎は天与の算勘と剣の冴えで、不可能と思われた敷島家老の策を実現していく。
「ちょんまげぷりん」作者の書下ろし最新作 ノビ(家宅侵入)専門の泥棒として、その名を轟かせていた吉森和宏は、出所直後に突然、刑事・高山清三に声をかけられる。聞けば、自分を死なせてほしいという話だった。老いさらばえて生き恥をさらしたくないから、もし、自分がそうなってしまったら、頃合いを見計らって命を絶ってほしいという依頼だった。 ええかっこしいの高山らしい内容のものだったと思ったが、当然吉森は取り合わなかった。それから一年半後、思わぬ契機から高山の近況を知ることになった吉森は、愕然とすることになる。しかし、それは以後十年近くに及ぶ長き旅路の発端に過ぎなかった。
被害者は誰?名前がキーワードのミステリー たんぽぽ探偵事務所(略してタンタン)の翔太とマリンは、横浜・馬車道で亡くなった女性の第一発見者となる。女性は全裸のため、身元が判明しなかった。その容疑者とされる女性、娘々(にゃんにゃん)好子から事件の調査を依頼され、知識先生とともに調査を開始する。 好子の証言から、被害者の名前がサイトウさんらしきことがわかる。また好子の、サイトウさんが池袋でキャバクラのホステスをしていたという証言に基づき調べを進めるうちに、彼女を知っている勝山大和から、彼女と親しかったという西東司という人物がいたことが判明。西東は暴力団で麻薬を扱う男だった。翔太がその男に聞き込みをした後、今度は西東が死体で発見された。現場に残された「マサ」の文字は、ダイイングメッセージなのか。 事件の背後には、薬物があるのか。麻薬撲滅担当大臣の吉満大臣に聞き込みにいく翔太だったが…。 翔太とマリンがなぜか鮮やかに事件を解決していく、書き下ろしユーモアミステリー、第3弾!
川上マジックが冴えわたる極上の恋愛小説集 収録作品は次の通りーー [一実ちゃんのこと]一実ちゃんは「私、クローンの生まれだから」と恐ろしいことを言う。ある日、彼女に牛強盗に誘われた。 [ユモレスク] 不思議な女の子ハナは自称・詩人だ。彼女はイイダアユムに恋していて彼の名前を織りこんだ詩を書いている。 [金と銀] 治樹さんに初めて会ったのは私が子どもの頃。再会したのは彼が離婚した二年後だ。ある日、彼は失踪した。 [エイコちゃんのしっぽ] 「短いしっぽがあるんだ、わたし」とエイコちゃんは言った。あたしが男に襲われそうになったのを救ってくれたのは彼女だった。 [壁を登る] あたしの母はときどき妙なものを家に連れてくる。見知らぬおばさんやおじいさん。今は五朗がいる。彼はお天気になると家の壁を登る。 [夜のドライブ] 温泉に連れてきた母が真夜中に言う。「ドライブに行きたいの。好きな人と夜中にドライブしたことがなかったなって、急に思ったの」 [天頂より少し下って] 十一歳年下の涼に、全身全霊をかけて愛されることなんて、あたし、ぜんぜん望んでいない。あたしの方が全身全霊をかけて愛したいのだ。
十万部突破の新感覚ミステリ、涙の完結!? 事件・事故現場を専門とする清掃会社で働き出した桃子は、現場に遺された想いに感応し、手のひらだけがくすぐったくなったり、無性に焼きそばを食べたくなったり、動物になったりする超常現象に襲われる特殊能力の持ち主だ。同じ職場で働くのは、異常な犬好きの社長をはじめ、役者気取りの元ヤンキー、無愛想なイケメン、Vシネかぶれの中国人に、ギャルの事務員。そんな個性豊かな面々が、桃子におこった超常(?)現象を手がかりに、事件・事故の「謎」に挑む。やがて、従業員逮捕に会社は大揺れとなり、桃子は自らの能力の秘密を知ることになる事件に巻き込まれていく。桃子は、そしてクリーニングサービス宝船の運命は!? 笑って泣ける新感覚ミステリ、待望の続編登場!!
高校時代からの友人男子三人組がオランダを旅する中でフェルメールをめぐる互いの秘密に気づく「アムステルダムたち」。一人パリを訪れた女性が、亡き母の友人であるフランス人女性と再会し、彼女と母との意外な関係を知る「秋の休暇」。愛する妻を失い、その魂に誘われるまま南へと進路をとりスペインを旅する「南へ…!」。ほかに、チューリッヒ、プラハ、ヴェネツィア、ハワイへと舞台を移し、異国の地で繰り広げられる人間ドラマと旅人の心の変化を描く珠玉の全七編。美術、映画に造詣の深い筆者ならではの細部に渡る巧みな描写も魅力。
男、六十歳。忘れかけていた青春時代の思い出と“人生最後の恋”を求めてー。数十年ぶりに再会した幼馴染み三人組、定年退職した昌二、現役の探偵・三郎、陰のある会社役員の誠一郎が、ある富豪の遺産の秘密を知るオウム「オードリー」を探して東京の街を彷徨い歩く。その過程でたどる“あの頃”の記憶ーお笑い三人組、バイタリス、MG5、カミナリ族、缶ピー、街頭詩人、Oh!モウレツ、ゲバゲバ、「あの時君は若かった」、ジェットストリーム、「夢で逢いましょう」…。六〇年代から七〇年代の空気が現代に甦る、直木賞作家の“ノスタルジック・ミステリー”。
大恐慌さなかの一九三二年、アメリカ南部、コールド・マウンテン刑務所。電気椅子へと続く通路は、床に緑のリノリウムが張られていることから通称“グリーン・マイル”と呼ばれている。ここに、双子の少女を強姦殺害した罪で死刑が確定した黒人男性ジョン・コーフィが送られてくる。看守主任のポールは、巨体ながら穏やかな性格のコーフィに一抹の違和感を抱いていた。そんなある日、ポールはコーフィの手が起こした奇跡を目の当たりにしてしまう…。全世界で驚異的ベストセラーとなったエンタテインメントの帝王による名作が、十七年の時を経て鮮やかに蘇る。
死刑囚コーフィの不思議な力を知ったコールド・マウンテン刑務所看守主任のポールは、彼の罪状に疑問を抱きはじめる。そんななか、刑務所長の妻が脳腫瘍に倒れる。ポールは他の看守たちとともにコーフィを連れ出し、所長の妻の治療をさせるという賭けに出た。またも奇跡が起き、戻った刑務所ではさらにコーフィが驚くべき力を発揮する。そしてポールは、コーフィの事件の真実を知ることになる。しかしその時にはすでに、彼の処刑が目前に迫っていた。世界屈指のストーリーテラーによる、二十世紀最高の奇跡の物語が鮮やかに蘇る!
日本の学校になじめずアメリカの高校に留学したマリ。だが今度は文化の違いに悩まされ、落ちこぼれる。そんなマリに、進級をかけたディベートが課される。それは日本人を代表して「天皇の戦争責任」について弁明するというものだった。16歳の少女がたった一人で挑んだ現代の「東京裁判」を描き、今なお続く日本の「戦後」に迫る、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞、紫式部文学賞受賞作!
『最後の事件』で滝底に消えたホームズ(『シャーロック・ホームズの思い出』所収)。しかしドイルは読者の強い要望にこたえ、巧妙なトリックでホームズを「帰還」させた(『空き家の冒険』)。独自のプロットで読者を魅了する『踊る人形』や、国家機密をめぐりあざやかな解決にいたる『第二の汚点』などの傑作群を収録した第三短編集。ホームズ物語を3倍たのしむオックスフォード大学版の精緻な注釈と解説。初版本イラスト全点を復刻掲載。
知力、体力、先読み能力ーすべてが一級のエリートSP・首藤武紀は、合衆国シークレットサービスで“異例の研修”を受けることに。初日、銃規制を求めるデモに遭遇した首藤は、突如暴れ出した男を瞬く間に制圧し、人質の幼女を助ける。しかしその現場には、大統領暗殺計画を示唆する二枚の写真が残されていた。超一流警護官たちに忍び寄る死神の影。2014年を撃ち抜く怒涛のオープニング&驚愕のラスト!!
江東区亀戸の空き家で完全に白骨化した死体が二体発見された。住んでいたのは八十代の老夫婦。検視官は二人とも他殺と断定したが、監察医務院は自然死と結論し、一課の管理官も事件性を認めなかった。城東署の葛木邦彦は、息子の警視庁特命捜査対策室管理官・俊史の協力を得て捜査に乗り出すが、本庁サイドの動きは鈍く、本来なら立ち上げるべき捜査本部を一向に設立しようとしない。やがて浮かび上がった敵に、葛木父子と捜査陣は震撼する。