2014年8月5日発売
明治新政府が総力を挙げて建設した富岡製糸場。開業翌年の明治6年、時の皇太后と皇后がその地へ初めての行啓をする直前に、工女が死体となって発見された。開業前に流れていた、「工女になると生き血を吸われる」という奇怪な噂は本当だったのか。さらに一人の工女が忽然と姿を消し、工場に暴動の危機が迫ったとき、彼女たちの若き傍輩が立ち上がるー。創業当時の新「世界遺産」を舞台に、時代を切り拓いた乙女が大活躍。
映画監督・柚木真喜子が海外の映画祭である賞を受賞した。柚木の映画で脚本を担当していたものの、喧嘩別れをした志保。柚木の彼氏だった男を奪い、その後結婚したさつき。地元のラジオ番組で電話取材を受けることになった柚木の妹・七恵。柚木と古くからの知り合いで、今では柚木のことをネット検索するのが趣味の亜紀美。柚木と一人息子との関係に悩む芸能事務所の女社長・登志子。柚木に見初められ、高校時代に素人ながらも映画「アコースティック」に出演した十和…。奔放に生きる一人の女性を軸に、六人の女たちの嫉妬、羨望が混じり合う濃密な物語。
舞台はブラジル東北部の町エクルウ。この町では、アンドラーデ家とビーステルフェルト家が、互いに反目し合い、抗争を繰り返している。ある日、アンドラーデ家の息子・フェルナンとビーステルフェルト家の娘・カロリーナが、駆け落ちする。その捜索を依頼された謎の日本人・山猫。ブラジル版ロミオとジュリエットに端を発した、山猫による血で血を洗う追跡劇が始まる。冷酷非道な山猫の正体と思惑、そして結末に明らかにされる衝撃の事実とは…?冒険小説の第一人者が描く、手に汗握る怒涛のストーリー。究極のエンタテイメント小説が復刊
人気漫画家・楳図かずおのもとに、彼の生い立ちを本にしたいという企画が持ち込まれる。担当編集者の若草さくらは、かねてから楳図の大ファンで、この企画は彼女自身が強く熱望するものであった。さくらは取材で楳図から話を聞くうちに、その創作の原点にはすでに亡くなっている母・イチエの存在が大きく影を落としていることに気づく。生まれ故郷を訪ね、さらに詳しく楳図の生い立ちを調べるさくらだったが、彼女の周囲で次々と怪異現象が起こる。恐怖漫画の巨匠・楳図かずお氏が七十七歳にして初めてメガホンをとった話題の最恐ホラー映画を完全ノベライズ。
この道二十五年のベテランスーツアクター・本城渉は、ブルース・リーに憧れる熱血漢。“顔出し”で映画に出演する夢を持ちながらも、家族には見放され、新人の人気俳優・一ノ瀬リョウに役を奪われるなど、辛酸を舐めてきた。そんな本城にハリウッドのアクション大作からオファーがかかる。一世一代のチャンスだが、それは命も落としかねない危険なスタントだった。周囲の反対を振り切り、本城は撮影現場へ向かうがー!?特撮やアクションに欠かせない“影の主役”に史上初めてスポットを当てた同名映画をノベライズ。名もなきヒーロー達の夢が今、動き出す!
七尾究一郎は、おとり捜査も許されている厚生労働省所属の優秀な麻薬取締官。製薬会社が兵士用に開発した特殊薬物“ヒート”が闇市場に流出し、それが原因で起こった抗争の捜査を進めていた。だがある日、殺人事件に使われた鉄パイプから、七尾の指紋が検出される…。誰が七尾を嵌めたのか!?誰も犯人を見抜けない、興奮必至の麻取ミステリ!
ある高校で1人の男子高校生が自殺した。そして2カ月後、クラスメイト全員に“王様”から1通のメールが届いたークラスを恐怖のどん底に陥れたのは誰なのか!?恐怖の物語が幕を開けた!サバイバルホラー。
よかれと思ってとった行動が裏目に出たり想定外のトラブルに直面し右往左往したり。周囲との摩擦を避けるため、ぐっと気持ちを押し殺したり、会社員として、職場という名の舞台で、日々戦いつづける者たち。そんな彼らの物語を通して、会社というものの本質や、人生の真実をえぐりだす。宮仕えの悲哀を知る、世のすべてのサラリーマンに捧ぐ、オフィス傑作短編集。
横浜の私立校で教師をする五月雨丈司のもとに不思議な知らせが届いた。港の片隅にある喫茶店に自分あての葉書が届いているという。行ってみると、そこは届けられたポストカードを壁一面に貼って公開し、永遠に保管するという風変わりな喫茶店だった。差出人に心当たりのない丈司は、記憶をたどり始めるがー。その店にいると、一枚の葉書に込められた真摯な想いと、それぞれが抱える人生が見えてくる。読み終わったあと、大切な誰かに手紙を書きたくなる、あたたかで鮮やかな連作短篇。
短大の准教授である竹田雄一は、教え子の一人、本木絵里奈に密かな恋心を抱いていた。バツイチのうえ、歳の差があって交際は無理だと考えていたが、理事長から雄一に、学生が風俗店で働いているという噂の調査をするよう指示が出されたことから事態が一変する。絵里奈が風俗店でアルバイトをしていたのだ。長編癒し系エロス。
予備校生の長岡雄治は、美しき継母・詩織への恋心に耐えかね、父の海外転勤を機に「勉強に集中するため」と理由をつけて安アパートでひとり暮らしを始める。だが、心配した詩織は足繁く雄治の元に通い、エプロン姿で健気に世話を焼く。六畳一間に満ち溢れる甘い汗の香り、誘うように揺れる胸の膨らみ。童貞の雄治は、淫欲を悟られまいと、必死で取り繕うがー。人気急上昇作家が贈る、甘く切ない背徳官能。
文具メーカーに勤務する村上隆平は、営業の途中で古びたアパートを見つけて入居を決める。1階には管理人の横山とホストの安田、2階には駅前のスナックで働く原田優子と玩具メーカーのOL前原美恵子が住んでいる「満願荘」の周辺にも、ワケありでエロい人物がいっぱい。淫心が、やがてすべてをひとつに繋げていく。書き下ろし長編艶笑エロス。
はぐれ長屋に小さな娘を連れた武士がやってきた。訳ありの様子だが、武士のたっての頼みで父娘は長屋で暮らし始める。そんなある日、屈強な男たちが長屋に乗り込み、武士に襲いかかった。源九郎たちの助勢もあり、なんとか刺客を追い払ったが、それ以来、父娘を狙う影がちらつくようになる。大好評シリーズ第三十一弾!
柳橋でも指折りの船宿「笹舟」の主にして、南町奉行所定町廻り同心から手札を貰う岡っ引、人呼んで“柳橋の弥平次”。行方知れずの亭主を捜しに常陸国から出てきた女と知り合った弥平次は、その手伝いを始めるものの中々手掛りを掴めずにいた。そんな中、弥平次の命を狙う影が動き出し…。江戸の岡っ引たちに一目置かれる弥平次と個性豊かな手先たちの活躍を描く人情捕物の決定版。シリーズ第一弾。
死病が大流行した幕末、近藤勇の剣術道場は閑散としていた。ある晩、仲間の土方歳三や沖田総司と町の見回りに出たところ、生き返った屍の群れに取り囲まれてしまう。辛くも逃れたものの、戦いで負傷した総司の様子がおかしい。次の将軍と噂される一橋慶喜に、日本中で増殖する“ゾンビ”が原因らしいと知らされた近藤たちは、その退治を頼まれるがー
「お化け長屋のあやかし先生」として、いまや江戸中の評判となっている鏡三十郎の耳に、奇妙な噂が入ってくる。なんでも、江戸の市中で雲つくような大きな猿が次々と若い女を襲い、手込めにしているというのだ。三十郎は猿の正体を確かめようとするが、事態は思わぬ方向に転がっていく。好評「三十郎あやかし破り」シリーズ第二弾。
あの日、ぼくは初めてあやめさんを食事に誘った。銀座の裏通りにある西洋料理店で「四月一日亭」という変わった名前のお店だった…。大正時代末期、日本が自由で穏やかだった時代。美味しい料理とともに、人々の悲喜こもごもが繰り広げられる。気鋭の作家が描く連作短編集。
二人の出会いは電撃的だった。チェーザレの運転する車に轢かれそうになったアーヴァは、急いで車から降りたゴージャスな彼に目が釘付けになった。互いに名前を名乗り合う間も惜しいほど二人は瞬時に燃えあがり、気づけば車のボンネットの上で愛し合っていたのだ。コモ湖畔に大邸宅を構える億万長者チューザレとの結婚と妊娠、愛娘の誕生ー完璧な甘い夢だった。夫が妻子を顧みなくなるまでは。不在がちなチェーザレに寝室で冷たくあしらわれたとき、必死ですがるアーヴァの耳に、夫のとどめのひと言が聞こえた。「僕は君がほしかった。だが君を愛していると言ったことはない」
アレックス!まさか秋のニューヨークで彼と再会するなんて。かつて彼にひと目惚れしたデイジーは運命を信じ、結局裏切られた。アレックスにとっては手軽なひとときを過ごしただけのことで、デイジーは幼く愚かな自分に深く絶望したものだ。今、再会した彼はようやく身を固める決心をしたみたいだけれど、妻なんて法律で認められたベッドの相手としか考えていないらしい。やっぱりこの人は変わっていない。別れたのは正解だったのよ。あの秘密を知られる前に、ふたたび彼の前から立ち去らなければ。私の息子ーアレックスと同じ緑の瞳をもつ子どもの存在と、その子に“パパ”と呼ばせている別の男性がいることを…。