2014年8月発売
親友の結婚式のため、ミラノを訪れたエリザベス。だが挙式直前になって、彼女の兄と親友が駆け落ちしてしまう。呆然とするエリザベスをさらに追いつめるように、親友の婚約者ルチアーノは彼女に身代わりの妻になれと迫り…(『嘆きのウエディングドレス』)。ケイラは実業家デュアルドと恋に落ちて結婚したものの、彼の狙いが彼女の父の会社を乗っ取ることだと知り、別れた。数年後、亡父の借金を背負い、ケイラは毎日必死で働いていた。そこへ元夫が救済を申し出るー再び彼の妻になることを条件に。(『屈辱に満ちた再会』)
オリンピアは病気の母を救うため、ギリシアの富豪である祖父を訪ねた。母はかつてイギリス人男性と駆け落ちしてオリンピアを産み、そのため、激怒した祖父から縁を切られていた。10年前、17歳のオリンピアは意外にも祖父からギリシアに招待された。孫娘を青年実業家ニック・コザキスと結婚させようとのもくろみだった。ニックはすばらしい男性で、オリンピアはひと目で夢中になったが、彼の親友とのあらぬ関係を言いたてられ、縁談はあえなく壊れた。オリンピアの彼への愛は、以来、行き場を失ったまま…。いまだに怒りのおさまらない祖父は、オリンピアに言い渡した。「わしの許しを得たいなら、ニックと結婚することだ」
婚約者に裏切られた心の傷を癒すため、マリークレールはスイスに来ていた。ホテルに着いたとき、ちょうど出てきた男性とぶつかってしまう。ホテルのオーナー、リー・ハーパーだ。男性とはもう深くかかわるまいと心に決めていたのに、彼の精悍な顔立ち、グレーの目で見つめられると、息苦しくなるほど胸が高鳴った。白銀の山々に抱かれた美しい町で二人は惹かれあい、結ばれる。「結婚しよう」リーの言葉に、マリークレールは素直に頷いた。嫉妬と誤解に苛まれる結婚生活が待っているとは、露ほども思わず。
シーリアは元恋人サリムが住む砂漠の国へと赴いた。まさか彼から仕事を依頼されるなんて、夢にも思わなかった。サリムと出会ったのは、ともにアメリカの大学にいたころ。やがて愛し合い、身も心も捧げたシーリアに、彼は無情なほど一方的に別れを告げ、国へ帰っていったのだ。その後、4年前に偶然ビジネスの場で顔を合わせ、再燃した情熱に身を委ねたが、またもやあっさり捨てられた。それでもシーリアがこの地を訪れたのには、ある理由があった。ずっと言えずにいた秘密を、サリムに明かさなくてはいけない。再会した一夜に身ごもり、密かに子供を産んでいたことを。
刑期を終え出所したばかりの運び屋"シェイク"がコケティッシュな嘘つき女"ジーナ"を救ったばかりに大金と聖遺物をめぐる奔走劇にまきこまれる。追って追われて、最後に笑うのは誰なのか?愛すべき悪人たちの騙し合い…精緻な伏線で構成された超弩級エンターテイメント小説。
ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク山岸尚美と、警視庁捜査一課の新田浩介。『マスカレード・ホテル』で二人が出会う前、大学教授殺人事件の真相とは!? 新シリーズ第2弾!!
アパートの水漏れがきっかけで、下の階に住む男と親しくなったあかり。男はある日、奇妙な相談を持ちかける。「俺と、部屋を交換しない?」(「天井の刺青」)。街のあちこちに灰色の公衆電話が存在していた、あの時代。初めて東京を訪れた私が泊まったホテルの部屋には、なぜか外国人女性が住んでいて…(「東京観光」)。直木賞作家が贈る、味わい深い七つの物語。
リタは、婚約者を第一次世界大戦で亡くし、医者だった父も喪って、失意のなかにいた。その頃、妹が通うグラスゴー大学の留学生竹鶴政孝と知り合う。日本でウイスキー作りをするため、イギリスまで学びにきた政孝に、驚きながらも惹かれていくリタ。だが、国際結婚を決意した二人は家族の猛反対に遭い…。夢の実現に邁進する夫と、献身的に支え続けた妻。ウイスキー誕生のため生涯を賭けた夫婦愛。
1900年、万国博覧会で賑わうパリ。精神科医のラゼーグは警察に保護された少女を診察する。日本人らしき彼女は音奴と名乗るほかは多くを語ろうとしない。一方でラゼーグの元に、万国博を訪れた外国人女性の連続失踪事件の知らせが届く。事件解決に協力するよう要請されるラゼーグだったが、行く先々で謎の馬車に見張られていることに気付きー。異国の地を舞台とした傑作長編サスペンス。
精神科医ラゼーグら周囲の心遣いから次第に心を開くようになった音奴。日本の旅芸人一座にいたという彼女が語り始めた身の上にラゼーグは驚きを隠せない。そんななか、連続女性失踪事件を追うパリ警視庁警視の妹で、ラゼーグとも親しい仲だったラボリ嬢が殺害される。犯人は誰で、その目的は何なのか。失踪事件の真相とは。華やかなパリ万国博覧会の陰で起こった猟奇的事件をスリリングに描く。
オーストラリアで働くノルウェー人女性が死体で見つかり、オスロ警察の刑事ハリーは捜査協力のため、単身シドニーに赴く。ハリーも加わった捜査班の前に次第に浮かび上がる、隠れていた一連のレイプ殺人。犯人の目星は二転三転し、捜査班は出し抜かれては後手を踏む。さらに、封じ込めていた自身の過去がハリーを苛みはじめる…。「ガラスの鍵」賞受賞に輝く驚異のデビュー作、登場。
捕虜収容所でユダヤ人のあんたに親切とはいえなかったナチスの将校が生きているかもしれないー臨終の床にある戦友からそう告白された、87歳の元殺人課刑事バック・シャッツ。その将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られ、周囲がそれを狙ってどんどん騒がしくなっていき…。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高に格好いい主人公を生み出した、鮮烈なデビュー作!
家出を繰り返す少年が、開けた荒野の真ん中から消えたーハイランド地方を訪れたダンバー大尉が聞かされたのは、そんな不可解な話だった。その夜、当の少年を偶然見つけたダンバーは、彼が何かを異様に恐れていることに気づく。そして二日後、少年の家庭教師が殺されるースコットランドを舞台に、名探偵ウィリング博士が人間消失と密室殺人が彩る事件に挑む傑作本格ミステリ。
パラディスは生者の、半生者の、蘇生者の、死なざる者の都であると同時に、死者の都でもあるのです。婚礼の新床で花嫁が夫の手で殺された。夫が死ぬまで隠し通したその理由とは。(「鼬の花嫁」)周囲の人間が次々と衰弱し死に至るという、不吉な噂が囁かれる女性の正体は。(「美しき淑女」)退廃と背徳の都パラディスに眠る死者の物語8編を収録。闇の女王タニス・リーの傑作短編集。
恋なんて白昼夢。結婚なんてまやかし。けれどもまだ誰かといることを切望してしまう。離婚し、それぞれ再婚しても添い遂げる約束をしている夫婦。接点のない上司に一年後、共に出奔して欲しいと頼まれた女。死んだ親友の妻に、同居を強要された男。正解のない人生ならば、私は私のやり方で、幸せをつかみとる。狂気まみれの純愛を貫く短編集。
カジノ解禁。禁煙法成立。池袋はヴェガス、シカゴだ。当然はびこるカジノ・マフィア。思わず6億円、勝っちゃったら?やっぱり全額、ぶんどられた…もちろん「取り返せ同盟」結成だ!1円もまからず、1円もたからず。ターゲットは日本のアル・カポネ、「池袋警察署長」。カジノ帝国のドンだって?カジノ史上、最も残酷で華麗なゲーム!!最後のカードで81億円!?一気読みしかできない21世紀仕様のコン・ゲーム。最後に騙されるマヌケは誰だ?
小さな道場を開く浪人が、ふとしたことで介抱することになった行き倒れの痩せ侍。その侍が申し出た奇妙な頼み事と劇的な顛末を描く「三筋界隈」。果し合いの装束のまま、なぜか独りで腹を切った侍の謎を追う「約定」。他、武家としての生き方に縛られながらも、己れの居場所を掴もうともがき続ける武士の姿を浮き彫りにした本格時代小説。
放火によって奪われたのは、元恋人の妻とまだ1歳の双子の命。確定死刑囚、田中幸乃の人生は、「不運」と「悪意」が支配していた。「暴力」と「裏切り」も加勢する。だから、なのか?ひとりの男だけが、味方であり続ける。なぜ彼は、彼女を最後まで信じようとしたのか?「整形シンデレラ」とよばれた鬼女。彼女が犯した「罪」、その死刑囚が犯した最大の罪とは?衝撃指数極大値。先入観を紛砕する圧倒的長編。
社会の暗部を暴き続ける、カリスマ・ドキュメンタリー作家の「心中事件」。相手は、有名女優の妻ではなく、不倫中の女だった。そして、女だけが生き残る。本当は、誰かに殺されたのではないか?「心中」の一部始終を記録したビデオが存在する。不穏な噂があったが、女は一切の取材に応じなかった。7年が経った。ひとりのルポライターが彼女のインタビューに成功し、記事を書き上げる。月刊誌での掲載予告。タイトルは「カミュの刺客」。しかし、そのルポは封印されたー。いったい、なぜ?伝説のカルト番組「放送禁止」創造者が書いた小説。