2014年8月発売
編集者に督促され、訪れたこともない国名を掲げた新作の構想を口走った「私」のもとに、次々と引き寄せられる「日本」との関わりー国籍や文学ジャンルを越境し、しなやかでユーモアあふれる箴言に満ちた作品で読者を魅了する著者の、アイデンティティの根源を問う話題作。昨年アカデミー・フランセーズに選出され、今、世界的に注目を集める作家の最新邦訳。
1976年、夏。オリンピックに沸く北の街、カナダ・モントリオール(モンレアル)に、母国ハイチの秘密警察から逃れて到着した、23歳の黒人青年。熱帯で育まれた亡命ジャーナリストの眼に映る“新しい町”の光と闇ー芭蕉をこよなく愛するフランス語作家が、一瞬の鮮烈なイメージを俳句のように切り取って投げつける、文体の破壊力!
文化祭での公演を大盛況のうちに終えた、カブキ同好会の面々。裏方を務める部長の来栖黒悟(クロ)は、歌舞伎に馴染みのない人々にも楽しんでもらえたと手応えを感じる。それには歌舞伎の英才教育を受けながらも、その道を断たれた同級生・阿久津の力も大きかった。しかし人間国宝の歌舞伎役者・三代目白銀屋が、阿久津の才能に気付き、彼に会いたいと言い出して…。白銀屋の美形御曹司・蛯原仁の苦悩も描かれる、待望の第三弾!!
大鳳に心をあずけながら九十九に惹かれていく深雪。小田原に帰り着いた大鳳は抱き合う2人を目にしてしまう。獣と化した自らの顔を深雪にさらし、立ち去る大鳳。一方、小田原に現れた第3のキマイラ、巫炎は雲斎の元を訪れ大鳳と久鬼の居場所を聞く。彼は敵なのか、味方なのかー。そして肉体の調査をさせてほしいというボックと争いになった久鬼。2人を止めるように登場した僧衣の男、狂仏の正体とは?大展開の第8弾!
忠義者と評判だった中間の助蔵が、剣客として名高い旗本の主人を斬殺し入牢してきた。どう見ても凡庸で剣も覚束ないこの男がなぜ、一体どうやってー真相究明に乗り出した大賀弥四郎は、生真面目ゆえに身を滅ぼした不器用な男の秘めた想いを汲み取って…。色や欲に溺れ、自らの罪を償い露と消えてゆく弱き人々に心を寄せ、不浄役人と蔑まれながらも日々の勤めを誠実にこなそうとする牢屋同心の奮闘を描く熱血時代小説!
内閣情報調査室の磯貝竜一は、国際都市形成構想の視察で沖縄を訪れた。米軍基地の全面撤去を前提にした都市計画が進む沖縄で、磯貝は沖縄県知事の屋良と補佐官の比嘉に出会う。沖縄独立論者と噂される比嘉の言動が気になり始めた矢先、磯貝は台湾マフィアに拉致されそうになる。磯貝の周囲で一体何が起ころうとしているのか?さらにSATや米軍が出動する驚愕の事態が沖縄と日本に待ち受けていたー。傑作長篇小説。
大奥の警備に就いていた御広敷伊賀者が、何者かに襲われた。女中が事件に関わっているという。将軍綱吉の命により、表御番医師の矢切良衛は江戸城中から御広敷に職務を移し、真相解明を任されることに。閉鎖的な女社会に戸惑いながらも、良衛は大奥に乗り込んでいくが…。その裏では、綱吉の跡継ぎ問題を巡り、女たちの様々な思惑が交錯していたー。勇ましき剣豪医師が悪事に挑む、書き下ろし時代小説シリーズ、第4弾!
ウイルスを使った遺伝子治療薬によって進化を遂げた猿の反乱から10年ー。シーザーたちは、サンフランシスコ北部の森に村を築きあげていった。一方、ウイルスの蔓延で人間の多くは死んだが、生き残った者たちはわずかな望みをかけて、森林のダム再生計画を立てていた。再び人間と交わることになったシーザー。戦争か平和か、息詰まる攻防の末に彼が下した決断は…!?猿と人間の絆を描くSF超大作、公式小説版!
不器用さゆえか奉公先を幾度も追われた末、旗本青山家に雇われた美しい娘、菊。何かが欠けているような焦燥感に追われ続ける青山家当主、播磨。冷たく暗い井戸の縁で、彼らは凄惨な事件に巻き込まれる。以来、菊の亡霊は夜な夜な井戸より涌き出でて、一枚二枚と皿を数える。皿は必ずー欠けている。足りぬから。欠けているから。永遠に満たされぬから。無間地獄にとらわれた菊の哀しき真実を静謐な筆致で語り直す、傑作怪談!
「ぼくらの七日間戦争」を戦った東中学校元1年2組の面々の前に、アメリカから木下という名の転校生がやってきた。UFOを呼べるという彼と、荒川の河川敷でまちあわせた英治たち15人。だが、そこで宇野と安永が消えてしまう。UFOの仕業か!?英治たちは、2人の大救出作戦を開始した。失踪事件の背後には、謎の宗教団体や埋蔵金伝説がー!?インチキな大人たちに鉄槌を与える、大好評「ぼくら」シリーズ第3弾。
写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。そこでひっそりと暮らす母子・ヤスばあちゃんと地蔵さんに、温かく迎え入れられた慎吾たちは、夏休みを「たけ屋」の離れで暮らすことに。夏空の下で過ごす毎日は、飽きることなくシャッターを切らせる。やがて、地蔵さんの哀しい過去を知った慎吾は、自らできることを探し始めるが…。心の故郷の物語。
かつて実戦空手の最高峰「無双塾」で腕を磨いた藤堂忠之は会社をリストラされ、先輩の空手道場「闘心館」を預かることに。経営危機に瀕する道場の再建を目指して活動を始めるが、お人好しな性格が災いし、様々なトラブルが持ち込まれる。押しの強い小太り中年入門者、腕は立つが喧嘩っ早い指導員、一発逆転を期すプロレスラー。個性的な格闘家たちが繰り広げる色彩豊かな日々を、躍動感あふれるアクションで描いた青春小説!!
SMバーでM嬢として働くミチは薬とアルコール漬けの日々を送っていた。だが、幼馴染のタミーとの再会からミチの日常が変容していく。タミーが関わっているという残虐な死体写真が集められた“地獄へ堕ちよう”という裏サイトの存在。さらに自らにおぞましいほどの身体改造を求める、店の同僚リスト。出口のない欲望が絡み合い、凄惨な事件が起こるー。最年少で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞した衝撃の暗黒青春ミステリ。
だて眼鏡をかけ、まともな優等生を演じながら、平穏な中学校生活を送るはずだった。季節外れ、いわくつきの転校生・七月がやってくるまでは…。十歳違いの双子の姉兄によって、ある時期まで自分を女だと思い込んで育った印貝一は、人には云えない不安を抱える生意気でユウウツな十五歳。-鎧をまとい、屈折した心と体をもてあましながら思春期をしのぐ、繊細で残酷な少年たちの危ういひと夏を描いた鮮烈な青春小説!
敬千宗の大本山・長穏寺に2人の若き僧侶が上山した。北陸の古寺の跡取り、小平広也。バンドでプロを目指すも挫折し、「安定」を求めて仏門を叩いた水原隆春。対照的な2人は、厳しい修行を通じてさまざまな現実に直面する。いまだ続く世襲制、先輩僧侶たちのイジメ、欲にまみれた夜遊び…。やがて彼らはある決意を胸に行動を起こす。そして待ち受ける衝撃の結末とは。生きる意味を問いかける、熱き男たちの青春パンク小説!
女子高生のマユリはストーカーに悩み、親友に相談する。マユリを守るためにリョウタは身辺警護を始めるが、2人の行動はなぜか噛み合わない。やがてマユリは犯人に辿り着き、衝撃の真実が明らかになる。しかし、それは新たな狂気の始まりにすぎなかったー。逆転につぐ逆転の連続で、目の前の現実が揺らいでいく。醜く歪んだ世界の中で、正常なのは誰なのか。必ず4度ダマされる。驚愕必至のミステリー・ホラー!
西暦2112年。人間の心理・性格的傾向を数値化し、犯罪係数が上昇すると“潜在犯”として捕らえられるようになった世界。システムを維持するために集められた刑事たちー潜在犯でありながら捜査の前線に立つ猟犬“執行官”と、キャリアであり執行官の手綱を握る“監視官”。新人監視官・常守朱は特殊拳銃“ドミネーター”を手に現場を駆ける。本書には、朱たちに立ちはだかる男・槇島聖護の内面が垣間見える追加シーンも加筆。
幼い頃に母親に殺されかけた沙織は、優等生を演じながらも他人には心を閉ざしたままだった。そんな彼女がただ一人心を許せたのが、公園で偶然出会った盲目の青年・亮。しかし亮のことを「彼氏」と呼ぶ女性が現れたことが、沙織を悪魔へと変身させる。家庭内暴力、同級生へのリンチ、不良グループとつるみドラッグに手を出す。荒みきった沙織を亮は救うことができるのか…。号泣必至の新しい恋愛小説!!
夏沫(シャーモー)との過去を思い出す欧辰(オウ・チェン)。しかし、彼女はそんな彼を頑に拒む。やがて、新進女優として主演女優が仕掛けるスキャンダルに巻き込まれていく夏沫。スターである洛煕(ルオ・シー)の恋人宣言、欧辰とのゴシップ記事。芸能界を舞台に、夏沫は翻弄されていく…。
11歳の少女ヘンリエッタは、半日ほどあずけられたパリのフィッシャー家で、私生児の少年レオポルドに出会う。レオポルドはまだ見ぬ実の母親との対面を、ここで心待ちにしていた。家の2階で病に臥している老婦人マダム・フィッシャーは、実娘のナオミとともに、自宅を下宿屋にして、パリに留学にきた少女たちをあずかってきた。レオポルドの母も結婚前にそこを訪れたひとりだった。青年マックスもこのパリの家をよく訪れていた。パリの家には、旅の途中、ひととき立ち寄るだけのはずだった。しかし無垢なヘンリエッタとレオポルドの前に、その歪んだ過去が繙かれ、残酷な現実が立ち現れる…。20世紀イギリスを代表する女流作家、エリザベス・ボウエンの最高傑作。