2014年9月発売
警察組織に紛れ込んだ「潜入者」の罠にかかり、公安を追われた元エース。組織に裏切られ、切り捨てられた男は、それでも飢えた猟犬のように捜査に執念を燃やす。仲間が仲間を疑い、尾行・監禁し、罠にさえ陥れる苛烈な公安捜査。ニセモノは、誰だー。
ついに映画化決定! 郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、奇妙な取引を持ちかけてくる。 「この世界からひとつ何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得ることができる」 僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計……そして、猫。 僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。 二〇一三年本屋大賞ノミネートの感動作が、待望の文庫化、映画化!
飛騨高山は江戸幕府の直轄地であった。一八六八年(慶応四年)、明治新政府の代表者として、最初にこの地に派遣されたのが、国学者竹沢寛三郎であった。彼は人心掌握のため年貢半減、諸運上軽減廃止等を布告したが、竹沢の施策は新政府の方針に反して理想的すぎたため、罷免される。替わって、元水戸浪士梅村速水が新たに県知事として任命される。梅村は企画力に優れた若き俊才で、急進的な改革を推し進め、飛騨高山の土俗的な風習や伝統的な制度と対立していく。さらに新政府の矛盾した政策の忠実な実行者としての役割をも演じていく。そして村娘おつるを迎えたことで、すべてが裏目に出ることになる。
梅村速水の政策は根本的には、飛騨高山の文化、歴史を無視したもので、彼の強引なやり方に、農民たちは極度な恐怖を抱くようになった。しだいに梅村は孤立していく。様々な小さな齟齬の積み重なりが、ついに農民一揆を招来する。村に怪火が次々と起こるようになる。それが、不穏な人気をいやが上にかき立てた。農民たちによる打ちこわしが始まった。高山の町は一揆が占領したのである。梅村は追われる身に変わっていった。明治政府は梅村知事を罷免した。梅村速水は公金横領という罪状により唐丸かごで京都へ送られ、移送された東京で未決囚のまま死因に謎をのこして獄死する。やがて一揆の首謀者の逮捕が始まり、みな牢死する。「そしてこれが犠牲者の大多数の共通した運命であった。」
100%幸福であるために、絶対性99・9%であるという矛盾を抱えた、幸せで安心できる、みずべの公園市国。幸福安心委員会インターである初音、漣、凛の3人は「被害者が消えてしまった交通事故」という謎だらけの事件を追うさなか、漣にそっくりな少年「煉(レン)」に出会う。年に一度の「復活祭」で盛り上がるみずべの公園市国で、事件は複雑に絡み合い、衝撃の真実が明かされるー!!220万再生突破の大人気ボカロ楽曲、ノベライズ第4弾!!
北陸・河北藩で起きた一家惨殺事件。たった一人生き残った加地美月。父・惣右衛門が残した二つの書付と遺言は、江戸藩邸を巻き込む復讐劇の始まりだった。愛と悲しみと憎しみが交錯する鮮烈な時代長編。
魔法の指をもつ少女・キラとの別れから6年。マティは、相互扶助の平和な“村”で幸せに暮らしていた。しかし、あるとき“村”が不気味に変わりはじめ、マティの運命は予想だにしない方向へと急旋回していく。第1作と第2作の登場人物が出会い、「力」が覚醒する…そのとき、世界はー?壮大な四部作の「転」をなす雄編!“ギヴァー四部作”待望の第三作。
大学のサークルで同じ人を好きになった愛と那美香。後輩を想う長谷岡と彼に片思いをする小埜。ろくでもない男との運命を占うあさひと妹のゆき。魔法はいつか解ける。大人になってゆくわたしたち、それぞれの恋模様。
楚、そして呉王僚を討ち、諸樊との戦いに勝利した公子光は、呉王闔廬に、その子の終〓(るい)は太子となった。子胥は闔廬の使者として、呉の外交を任されていた季子のもとへ向かう。子胥は季子の助言通り、斉の首都臨〓(し)で宰相の晏嬰たちと面会。呉が斉に敵対するつもりはないことを伝えた。来たるべき戦いに向け、介根にいる孫武らを迎えにいった子胥は、孫武の兵法書を闔廬に献呈した。その後、才知を試された孫武は媚びることなく王命を厳然と遂行し、闔廬の信を得て臣下となった。孫武の策により、次々と敵を懐柔していく闔廬。いよいよ、楚との本格的な戦いが眼前に迫る。
東京下町の個人病院に勤務することになった円乗寺優先生。堅苦しい大学病院から逃れてやって来た。専門は外科だが、内科、婦人科、何でも診ることとなる。酒好きな先生は、ある晩近くの寿司屋に入ったが、店の青年が自分の患者であることに気づく。彼は他人には言えない病気の持ち主だったー人情味あふれる仁術先生の診察と活躍を描く異色のメディカル・ユーモア小説。未刊行作品、ここに初登場!
オヤジ臭く、自他ともに認める嘘吐きの内本健吾。モテたいのに女子ウケしないことばがりをし続け、味のある面白さを持つお坊ちゃまの矢島誉。人心を掌握する術と場を読む能力に長け、偏った知識を持つ京野達彦。「馬鹿なことはオモシロい」という信条を持つ小学生男子三人組が繰り広げる、甘酸っぱい初恋も美しい思い出も世間を揺るがす大事件もないが、馬鹿さと笑いに満ちた日々を描く7編。
あなたの旅、代行します!売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だったー。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。
1792年。憲法が制定され立法議会も開かれたフランスだったが、さらなる凶作と物価の高騰に民衆はいまだ飢え、苦しんでいた。そんな中、失墜した王家の威信を取り戻したいルイ16世は、国民の不満を国外に向けるため他国との戦争を望むジロンド派の面々を起用し、開戦内閣を組織する。反戦を主張するロベスピエールの抵抗もむなしく、フランスはついに戦争を開始しー。歴史巨編、新章突入!
宅配便で届いたのは、誘拐された息子の指だった。母親は身代金の受け渡しに奔走するが、卑猥な写真を盗撮された女性教師、両親を監禁されたサラリーマン、小悪党の刑事らを巻き込み、事件は錯綜を極めていく。誘拐犯に踊らされる者たちの暴走は止まらないー。子供の命は、そして、全てを裏で操るコンダクターとは何者なのか。疾走感あふれる展開で衝撃の結末まで駆け抜ける、社会派サスペンス。
顕如率いる本願寺が蜂起、石山合戦が始まると、朝倉・浅井連合軍が再び信長の背後を脅かす。旧勢力の牙城となっていた比叡山焼討ちを断行するが、将軍足利義昭は各地の大名に密書を送り、信長包囲網を画策する。そんな中、甲斐の武田信玄が大軍を率いて西上を開始、徳川家康との同盟軍は三方ヶ原で大敗を喫する。天下布武への道を苛烈に突き進む信長を、重層的に描いた歴史小説の傑作、第3巻。
つきあっていた男性からの婚約指輪、一目惚れした女がくれた一冊の本、憧れていた先生にもらった赤いボールペン。大切な人に贈られた物を巡るかけがえのない思い出を綴った、いとしくて泣きたくなるほど切ない七つの恋の物語。
ひと目見た瞬間、強烈な電流が背中を駆け抜けた。僕は、奇妙な飛行物体から突如現れた少女に恋をしていたー。夏休み。大学の“超常現象研究会”に所属する星原俊平は、動物の不審死の噂を聞き、先輩3人と故郷の村を訪れた。ところが、調査開始早々に人間の手首が発見されて…。やがて、俊平は少女の“正体”と、村で起きた事件の真相に辿り着く。儚いひと夏の出来事を綴るSF青春ミステリー。
芳しいスパイスの香りに包まれて育ったハッサン・ハジ。突然の悲劇でインドを逃れ、たどり着いたフランスのリュミエールで、豪傑な父のひと声のもと、インド料理店のコックとなる。しかし、通りの向こうにはマダム・マロリーがオーナーシェフを務めるフレンチの名店があった。両店のバトルがエスカレートするなか、マダム・マロリーに料理の才能を見出されたハッサンは、ある大きな決意を抱くのだった…。
1960年代後半、アメリカ。デトロイトに住んでいたアーサーは治安の悪化に不安を覚え、妻子を連れて故郷のカンザス州へ帰る。そこは25年前、姉のイヴが不審な死をとげて以来、足が遠ざかっていた場所だった。一家が戻るやいなや、亡くなった当時のイヴに似た少女が失踪する事件が起こる。犯人は同一人物なのか?小さな町の緊密な人間関係が絡み合う中に謎は隠されていた…。エドガー賞処女長編賞受賞ミステリ。