2014年発売
五感を越える「感覚」で世界を捉え、哀感とユーモア、エロティシズムをも湛える独特の表現が今なお新しい尾崎翠(一八九六ー一九七一)。奇跡のような作品群から代表作「第七官界彷徨」と緩やかに連なる四篇、没後発見の映画脚本草稿「琉璃玉の耳輪」を収録。
冬に向かうパリ、「私」をめぐる景色は移ろうー「花咲く乙女」とベッドで寄り添い、人妻との逢い引きの夢破れ、ゲルマント夫人の晩餐には招待される。上流社交界の実態、シャルリュス男爵の謎、予告されるスワンの死…。人間関係の機微を鋭く描く第七巻。
巣箱から除く邪悪な目。絶対に語ってはいけない話。死んでいるのに気付かない男。霊を届けにくる女……。彼岸と此岸の境を失ったとき、人は人ならぬものとなって彷徨う。大好評の実話怪談、第6弾!
ダム建設工事の作業中に、縄文人男性と弥生人女性の人骨が発見された。二体はしっかりと手を重ね、互いに顔を向け合った姿であった。三千年近く前、この男女にいったいどんなドラマがあったのか?新聞記者の佐藤香椰は次第にこの謎にのめりこんでいく。縄文から弥生へ、時代のうねりに翻弄された悠久の愛の物語。
紀元前七世紀、東日本ーピナイ(谷の村)に住むウルクは十五歳。野に獣を追い、木の実を集め、天の神に感謝を捧げる日々を送っている。近頃ピナイは、海渡りたちがもたらしたという神の実“コーミー”の噂でもちきりだ。だがそれは「災いを招く」と囁かれてもいた。そんなある日、ウルクは足を踏み入れた禁忌の南の森でカヒィという名の不思議な少女と出会う。
僕は渋谷の街角で、殺人鬼を追うきみと出会った。ある時は「武者修行中」と笑い、またある時は傷だらけで電話してくる。世間が震える連続事件の現場に必ず現れる美少女。君は一体、何者なんだ?張り巡らされた謎、緊迫のクライマックス。ストーリーテリングの手腕が炸裂する、青春ミステリーの新機軸!
岩手と宮城の狭間に秘かに存在する「月ノ森」。ここの地で湧水「命迦泉」の番を始めた二人は、様々なものと巡り逢う。人と、人にあらざる者と…。中国をはじめアジア各地の神仙、怪異譚や幽霊話を手掛けてきた著者が、初めて出身地・東北を舞台に紡いだ再生物語。
重田ミドリ、小学3年生。住み慣れた街を離れて父・広の新しい恋人ー平野源三ーの家に転がりこんだ。そんな事実を受け入れられないミドリの母・貴美子。だから離婚話もなかなか進まない。でも進まない理由はそれだけではなくー。よのなかにあふれる“ふつう”からほんの少し外れたところにいるミドリたち。口に出してしまったら、何かが変わってしまう、何かが壊れてしまう、そんなおそれを抱きながら生きる彼らに訪れた、幸せの結末とは。
食堂の火事で死亡した「私」は、墓地がないため火葬もされずにこの世の周縁をさまよっている。美しく聡明な最愛の元妻、都市の隙間であえぐ貧しいカップル、病院から姿を消した育ての母と27体の嬰児、そして、鉄路で拾った「私」に細やかな愛情を注いでくれた鉄道員の義父…。現代中国を生きる庶民の悲哀と懐旧と純真を、曇りなき瞳で写しとった最新長篇。
八十上学園の高校生・佐々木いちろは、放課後にこっくりさんをしていたが、ある質問をしたことで校舎から出られなくなる。閉じ込められたのは、いちろ、幼馴染のとおこ、妖しい先輩・清丸のほか4人。“階段のブリッジ女”“校長室のゾンビ犬”…黄昏刻の学校に巣食う恐怖の七不思議といちろは戦うことになるが!?関連動画再生数累計1,000万超!!人気フリーホラーゲームノベル化!
「第一回晴雲ラブンガク大賞」を受賞して、華々しく文壇にデビューした恋愛小説家・夢宮宇多。その勢いを買われてか、恋愛小説のようにロマンティックな体験談を持つ女性を実際に訪ねて話を聞く、というネットテレビ番組のホスト役の仕事が入ってくる。担当編集・井上月子の説得で仕事を受けることとなったのだが、そこで出会った女性は、まさに現代のシンデレラのようなエピソードを持つ女性であった。しかし、夢宮宇多は話を聞くうちにエピソードの隠された真実に気づいていく…。その一方で、夢宮宇多の受賞作は亡くなった彼の幼馴染みが書いたのではないか、という疑惑が浮上し、物語は意外な展開を見せはじめるがー。アガサ・クリスティー賞受賞の鬼才が放つ、連作恋愛ミステリ!!
月光の下、影踏みをして遊ぶ子どもたちのなかにぽつんと女の子の影が。影の正体とその因縁とは。「ぼんくら」シリーズの政五郎親分とおでこの活躍する表題作をはじめ、全6編のあやしの世界。『ばんば憑き』改題。
明日から夏休みという日、東京下町にある中学校の1年2組男子全員が姿を消した。事故? 集団誘拐? じつは彼らは廃工場に立てこもり、ここを解放区として、大人たちへの“反乱”を起こしたのだった! 女子生徒たちとの奇想天外な大作戦に、本物の誘拐事件がからまり、大人たちは大混乱……息もつかせぬ大傑作エンタテインメント! ぼくらシリーズの大ベストセラー!
スコットランド・デボン地方に4人きょうだいの長女として生まれ育ったリタ。病弱でこもりがちだった少女時代を経て、第一次世界大戦で初恋の人を失い、失意の底にいた彼女は、日本人で初めてモルトウイスキーの製造法を学びにやってきた竹鶴政孝と運命的に出逢う。極東の日本で政孝の生涯を献身的に支え続けたリタの心のよりどころとはー。ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝と、妻リタの人生をモデルに描いた感動の長篇伝記小説。
書斎の小箱に昔からある銀の匙。それは、臆病で病弱な「私」が口に薬を含むことができるよう、伯母が探してきてくれたものだった。成長していく「私」を透明感ある文章で綴った、大人のための永遠の文学。
幽霊のおじいちゃんと魔法の塔で暮らす僕、陣内龍神。高校2年生になりました。学校での一大イベント、修学旅行で北海道に行くことに。「人間ぶりっこ」にハマり、僕や親友の信久と学校に通う魔女のエスペロスは、初めての体験に大暴走!?ところがクラスの中には、彼女をライバル視する女子がいたり、僕たちをよく思わない奴もいる。そんなクラスメイトたちにも事情があるようで!?大人気「魔法の塔」シリーズ、第6弾!!
キマイラとは人間が捨ててきたあらゆる可能性の源。雲斎に相見えた玄造によって、キマイラの謎の一端が語られる。一方、対峙する大鳳と久鬼。闘いをためらう大鳳に、久鬼は闘う理由を作ったと告げるがーー。