2015年7月発売
四十歳で職を失った三橋智春は、かつての部下からある危険な仕事への誘いを受ける。それは「犯罪シンジケート」の手先となり強盗や殺人を犯す闇の稼業だった。家族のためと割り切り、非情な犯罪を繰り返す三橋はある日、自分が殺したウエイトレスが、中学生の娘の担任教師の妹だと知り動揺する…。美人刑事今野真弓とその夫で泥棒の淳一が活躍する大人気シリーズ最新文庫第十八弾!
元高校物理教師という異色の経歴を持つ神村五郎は、平刑事なのにその卓越した捜査能力から所轄署内では署長に次いでナンバー2の扱い。「第二捜査官」の異名を取っている。ある日暴力を苦に夫を刺して取調中の女性被疑者が担当の刑事とともに忽然と姿を消した。数日後ふたりは青酸カリの服毒死体で発見される。未曾有の警察不祥事に、神村は元教え子の女性刑事西尾美加と捜査に乗り出した。
素性不明の腕利きボディガード・キリのもとに仕事の依頼が舞い込んだ。対象は森野さやかという十七歳の少女。ミッションは、昼夜を問わず一週間、彼女を完全警護すること。さやかには人の過去を見抜き、未来を予知する特別な能力が開花する可能性があるという。「神眼」と呼ばれるその驚異的な能力の継承者は、何者かに命を狙われていた。そしてさやかの父・河田俊也が銃殺されたー。
旅篭の柏屋に奇妙な客が…父の仇を追う十四歳の上沼大炊助・加奈母子と下僕の安五郎だった。加奈は労咳で寝込み、大炊助の剣の腕も今一つ。安五郎は積荷人足として働いていたが、路銀にもこと欠き、博打で稼ごうと賭場へ向った。安五郎は賽の目をよむ天賦の才があり、その日二十五両もの大金を稼いだのだが…。人情居酒屋の主・宗因が考えついた妙案とは!?人気シリーズ第六弾!
ASV特務班は、DV、ストーカー、虐待事件などに対応するために警察庁直属で設けられた特任捜査チームだ。特異な捜査能力を持つ女刑事・夏目凛子をはじめ、女性監察医や美人サイバー捜査官など個性的なメンバーたちは、犯罪抑止のスキルを伝えるために所轄を渡り歩く。荒川署で活動を始めた彼らを待ち受けていたのは、男児ばかりで狙われる通り魔事件だった。そして新たな急報が…。
誰もが羨む美貌の少女、野朱。何不自由なく暮らしてきた彼女が、ある老婆との出会いをきっかけに、一夜にして醜い老女へと変貌してしまう。自身の外見の魅力のみをよすがに生きてきた女の目に映った、その後の世界とは。そして知った、この世で一番大切なものとはー。女の業と愛、そして本当の幸せとは何かを描いた、新感覚時代小説、ここに誕生!
時は文政。庶民には倹約を強い、己は贅沢三昧の将軍・家斉の治世に、救世主のごとく現れた一人の盗人ー次郎吉。実は、盗んだ金子を誤って長屋にばら撒いたことから、英雄視されるハメになってしまったのだ。ケチで女好き、でも、どこか憎めないこの男、いったい何故盗むのかー!?新たな解釈で蘇った“鼠小僧”の活躍がここに!!文庫描き下ろし。
小物に手の込んだ刺繍を施す、腕の良い縫箔師である咲。ある日、立ち寄った日本橋で、飛燕の意匠が施された簪に目を奪われる。買おうとしたその時…(「飛燕の簪」)。咲と男前だが女たらしの簪職人の修次は、突如現れた双子「しろ」と「ましろ」に翻弄されながら、刺繍や意匠をきっかけに不思議な縁を紡いでいく。ほろりと泣ける、文庫書き下ろし三編。
貸本屋の虎吉は、浅草寺門前水茶屋の看板娘、おれんから、「花番付」騒動の相談を持ちかけられる。おれんは浅草二十軒茶屋三大小町のひとりと名高い娘。が、別の小町ふたりの茶屋で食あたりが出、口さがない男たちに、おれんの店が何かしたのでは、とあらぬ疑いをかけられたのだ。虎吉は戯作者九玲彬とともに真相究明に乗り出す。文庫書き下ろし。
閉鎖を免れた東城大学医学部付属病院。相変わらず病院長の手足となって働く“愚痴”外来・田口医師への今回の依頼は、誤診疑惑の調査。検体取り違えか診断ミスかー。国際会議開催の準備に向け米国出張も控えるなか、田口は厚労省の役人・白鳥とともに再び調査に乗り出す。「バチスタ」シリーズ真の最終章!豪華特典として書き下ろしエッセイ「放言日記」と桜宮市年表&作品相関図も収録。
『ドッグカフェ・ワンノアール』に勤める森川凛は、幽霊が見えるという能力を持つ。カフェの前に捨てられていた仔犬を育てることにした凛は、シルビーと名づけたその犬も死者が見えることがわかる。その能力を生かして、凛とシルビーはカフェの周囲で起こる不思議な事件を次々と解決していくが、そのカフェにはある大きな秘密があったー。幽霊が見えるカフェ店員と看板犬のコンビが活躍する連作短編ミステリー。
東西スポーツ野球部のデスク鳥飼は、「影のGM」と噂されるほど優秀な記者だが、露骨で下品な言動と、なりふり構わぬ取材ゆえ、社内外でも敵の多い人物だ。強烈な個性で周囲を巻き込む、異能の記者“トリダシ”とは、はたして何者なのか。『球界消滅』で、その先見性とストーリーを、各方面の書評で絶賛された著者が、満を持して自らの記者体験をもとに、臨場感溢れるスポーツ紙の現場を描く連作短編。
一人の女子大生が毒を飲んだ。自殺か、他殺か、あるいは事故なのか。事件に関わった当時高校生の三人の若者は、その後の長い人生を毒に少しずつ冒されるように壊されていくー凍えるような孤独と温かな優しさを同時に秘めたイーユン・リーの新作長編。
奥多摩山中で、両耳と鼻を削ぎ落とされた男が発見された。警視庁刑事・荻大治郎は、必死に事件に食らいつく。だが事態は、ある“極秘文書”の行方とからみ、日本の政治家やスパイ、ホワイトハウス、元自衛隊の狙撃手までを巻き込んで、激しく、熱く、焦げ臭くなっていく。1億3000万人の日本国民が凍りつく歴史的テロ事件が起きようとしている。それを未然に防ぐことは出来るのかー。気鋭のミステリ作家が放つ謀略小説。渾身の書き下ろし690枚!!
資源をめぐる太平洋戦争に敗れた反省から、戦後、日本は原子力の導入へと邁進する。同じ頃、大阪の商業地区に生まれた男は、東工大で原子力を専攻し、日本最大の電力会社に就職する。そこで彼を待ち受けていたのは、無限の原子力エネルギーという理想ではなく、トラブル続きの現場、コストカットの嵐が吹き荒れる本社、原子力という蜜に群がる政治家、官僚、ゼネコンと裏社会だった。“夢の平和エネルギー”の曙から黄昏までを駆け抜けた「運命の男」の生涯。
受診するほど病気じゃない。入院するほど病んでない。けれど、どこか不安な私たちは、あのカフェで、病院の傍らにいることで、癒されている。過去にあそこで「何かが良くなった」経験があるからだ。『漢方小説』から10年。新たな舞台は総合病院のカフェ。ふた組の中年夫婦のこころと身体と病をえがく、カフェの醸し出す温かさが流れる長編小説。