2015年8月発売
震災後、恋人とうまく付き合えなくなったみゆき。仮設住宅で父と二人で暮らす彼女は、役所勤めのかたわら、東京でデリヘルを始める。話題の映画監督の初小説。
都内の大学を卒業し、特に夢もなく起業でもしようと漠然と考えていた瑛介は、バリバリの広告マンだった父が突然会社を休み始めたことをきっかけに、唯一家族との記憶の残る小笠原諸島への移住を提案。やがて父母とともに小笠原に渡った瑛介は、ツアーガイドの涼太や同い年の里彩たちと出会い、ある夢を見つけていくー。
「あなた」だったかもしれない人たちの物語。代理祖父母派遣会社で「祖母」を演じる女性、折りヅルを使う遺産相続ゲームに挑む男たち…どこにでもいそうな人々が送る、ほんの少しだけ「普通」から逸脱した日常。シャーリイ・ジャクスン賞、全米図書館協会アレックス賞受賞作。
女の子は座席で眠っていた。途中駅でホームに降りた母親を置いて列車は出発、終点で確認したときには、女の子は消えていた…。捜査にあたったストックホルム市警の敏腕警部は、少女の母親の別居中の夫に目をつけた。どうやら母親は、夫に暴力をふるわれていたらしい。だが彼の部下フレデリカは違和感を感じていた。世界27か国で刊行、大好評を博したデビュー作シリーズ第一弾。
コンスル帝国の最北西の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日彼は土の中に半分埋まった肩留めを拾う。“太陽の石”と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟る。だが、それが眠れる魔道師を目覚めさせることに。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした著者のシリーズ第三弾。
馬術師範として、近藤を救けた安富才助。粗暴なる英雄芹沢鴨。陸援隊に潜入した密偵村山謙吉。剣ではなく人を自在に操った土方歳三。生真面目な能吏尾形俊太郎。そして若き天才剣士沖田総司。激しい価値変転の時代、内部抗争の嵐を抱えながら、若き隊士たちは、青春の炎をいかに燃やし尽くしたのか。時に爽やかに、時に怜悧に、そして時に凄惨に描きあげた傑作!
愛媛に署長として赴任してきた若き警察キャリア。やる気ナシ。警察官としての使命感ナシ。ところがなぜか、難事件をたちどころに解決!?『長い腕』の川崎草志、まさかの新境地。ユーモア警察小説の傑作!
夫の浮気に業を煮やして離婚調停を起こした妻。 しかし結局元の鞘に収まり万事解決。ところが妻は夫の元愛人に高額の慰謝料を請求し裁判へ。 そんななか、弁護士会館で妻が殺害されるーー。 弁護士を巻き込んだ「仕掛け」に舌を巻く旨味溢れる逸品!
さまざまな家族や友情のかたちを描いた「名古屋16話」に加え、東海・中部の都市を舞台にした8つの物語「8の旅」、著者による地図コラムや名古屋在住のカメラマン三浦知也氏による写真も収録!名古屋在住の作家が、名古屋市の16の区を舞台に悲喜こもごもの物語を紡ぐ珠玉のショートストーリー集。
冬の寒空の下、北ドイツの農場主レスマンは、薄い服を身にまとって逃げてきた若い女を匿い、追っ手の男たちを銃で追い払う。一方、チェルノブイリ原発の立入禁止区域“ゾーン”で暮らす女性ヴァレンティナは、行方不明の娘カテリーナのために自らの思い出をノートに綴りはじめる。そして、ウクライナ警察の警部レオニードは、姿を消した若い女たちを追ってはるばるドイツに旅立つ。1930年代の大祖国戦争から、社会主義大革命、第二次大戦中の忌まわしい出来事、チェルノブイリの輝かしい日々…。戦争と原発の暗い記憶を抱えて生きる人々を描く文芸ミステリ。
著名なミステリー作家、成宮彰一郎の妻、瑠璃子が行方不明となった。事件性が高いと見た三鷹警察署の新米刑事ノボルは、先輩刑事の佐藤とともに、捜査を開始。次々に容疑者候補が浮かぶが、その過程で警視庁本部の組対四課や捜査一課も事件に関与してくる。 「どうせなら死んじゃっててくんないかなぁ……」 不愉快な言動を繰り返す夫・成宮の真意はーー。 完全犯罪を「完全」に描いた、前代未聞の傑作ミステリー。
完全犯罪を目指さない男・鯨井。彼が「アリバイ証言」に選んだ美女は、最悪にも一日しかその記憶がもたない白髪の名探偵だった……。忘却探偵が殺人事件の証人となる「掟上今日子のアリバイ証言」ほか、西尾維新の筆が冴えわたる忘却探偵シリーズ最新短編集! 鯨井留可がアリバイ工作のために声をかけた白髪の美女は最悪にも、眠るたびに記憶を失ってしまう忘却探偵・掟上今日子だった……。 完璧なアリバイ、衆人環視の密室、死者からの暗号。 不可解な三つの殺人事件に、今日子さんが挑戦する! 忘却探偵シリーズ『掟上今日子の備忘録』10月より日本テレビ系列にて連続ドラマ化決定! 第一章 掟上今日子のアリバイ証言 第二章 掟上今日子の密室講義 第三章 掟上今日子の暗号表
フランケンシュタインと日本SF の相関をさぐる文化論! 200 年前に書かれた『フランケンシュタイン』が提示する 問題系の現代的な意義=「つぎはぎ」「知性や労働の複製」 「母性をめぐる解釈」などをめぐり、日本の戦後SFへの継承をたどる! 小松左京、光瀬龍、荒巻義雄の第一世代、 田中光二、山田正紀の第二世代をへて、 第三世代以降の伊藤計劃や円城塔へどのように繋がっているのか? ※2015 年秋上映予定の映画『フランケンシュタイン』、 そしてアニメーション映画、伊藤計劃・円城塔原作の『屍者の帝国』 の上映にあわせての刊行! ●はじめに 「怪物には、へそがない」・徘徊する怪物・ へそをめぐる議論・この本のねらいと構成 第1部 メアリー・シェリーの遺産 ●第1章「生命創造とつぎはぎの身体」・ 神の創造とゴシック小説・つぎはぎの身体と準創造 ●第2章「魂なき肉体と機械の複製」・ 人口統計と数値化の時代・ラッダイト運動と機械嫌悪 ●第3章「境界線上の怪物」・ 母性という呪い・家なき子と男たちの関係・ 製造物責任をどこまで負うか ●第4章「グローバル化のなかの怪物」・ ナショナルの外へと出ていく・怪物の存在証明 第2部 戦後日本におけるフランケンシュタイン ●第5章「怪物からロボットやサイボーグへ」・ フランケンシュタインと視覚表現・フランケンシュタインと鉄腕アトム・ 兵器としての鉄人28 号・良心回路と人造人間キカイダー ●第6章「神との闘争をめざして」・フランケンシュタインと戦後日本・ 別の歴史と神への道ー小松左京・サイボーグと解脱ー光瀬龍 ●第7章「フランケンシュタインと対抗文化」・新しい波と対抗文化・ ヨーロッパとフランケンシュタインー荒巻義雄・ エコロジーと闘争ー田中光二・神を狩る敗者たちー山田正紀 ●第8章「怪物たちの共同体」・ポストヒューマンと怪物・ フランケンシュタインと女性性・『屍者の帝国』とテキストの縫合 ●おわりに「フランケンシュタインの問題群」