2015年8月発売
戦災孤児のスティーブとシェリルは、見捨てられた耐久試験場で何年も落下を続ける日本製ホビーロボット・DX9の捕獲に挑むがー泥沼の内戦が続くアフリカの果てで懸命に生きる少年少女を描いた表題作、9・11テロの悪夢が甦る「ロワーサイドの幽霊たち」など、日本製の玩具人形を媒介に人間の業と本質に迫る連作5篇。デビュー作『盤上の夜』に続く直木賞候補作にして、日本SF大賞特別賞に輝く第2短篇集、文庫化。
不況にあえぐエディンバラで、ドラッグとアルコールと暴力とセックスに明け暮れる若者たち。ヘロイン中毒のレントン、ケンカ好きのベクビー、気弱なスパッド、女たらしのシック・ボーイ。仕事も希望も何もない。絶望的な状況のなかで、レントンは仲間たちと一緒に売人から大量の麻薬を手に入れ、一攫千金を狙うのだが…。友情や裏切り、人生の選択という普遍的なテーマを描いた90年代を代表するイギリス青春小説の傑作。
ルパンの赴くところ事件あり。宝くじ争奪、老男爵殺害、青いダイヤ、謎の金髪美人…警察は翻弄され、ガニマール警部は苦虫を噛み潰す。事件の関係者たちはついに英国の名探偵シャーロック・ホームズに出馬を要請した。勇躍フランスへと乗りこんできたホームズとワトスンだが、その出鼻にルパンの強烈な先制パンチが…神出鬼没の怪盗対不世出の名探偵、世紀の対決が始まった!シリーズ中屈指の人気作を最新訳で贈る。
34歳、独身。わたしデボラ・ノットが持っているのは、熱い正義の心と、酒の密造人の娘という汚名ー弁護士のデボラは、迷宮入りとなった殺人事件の調査を知人に依頼された。自身、地方裁判所の判事に立候補し、今は激しい選挙戦の最中だが、必ず犯人を見つけてみせる…“運命は自らの手で切り開く”強く美しい心のヒロインの闘い。アメリカ探偵作家クラブ賞、アンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞、4賞独占の名作。
史上初めて人を愛することができた人工知能の恋の行方とは…(「ソフィア」)。シリアルのくじで十万ドルを当てた少年は思いもよらぬ家族の秘密に突き当たる(「ケロッグ」)。その日、株式市場が落ち込んでしまったわけは(「市場の落ち込み」)。自由奔放な発想、胸を打つ切なさと愛おしさにあふれる全63篇+α。俳優、脚本家としても活躍する異才が著した初短篇集。
貧乏探偵バーニーと、猫がらみの理由で警察犬訓練所を卒業しそこなった大型犬チェット。この最強コンビは伯爵夫人に愛犬の警護を依頼されたが、いかにもな失敗で即クビ。その後、夫人は愛犬とともに誘拐されてしまう。そして事件を取材中のバーニーの恋人まで失踪…。何が起きているのか?語り手が犬であるからこそ可能になったミステリ!『チェット、大丈夫か?』改題文庫化。
恋も仕事も中途半端、片山製作所勤務の「役立たずOL」梢恵に、ある日まさかの社命が下されたー単身長野に赴き、新燃料・バイオエタノール用のコメを作れる農家を探してこい。行く先々で断られ、なりゆきで農業見習いを始めた24歳に勝算はあるか!?働くこと、生きることの意味を問う、『ジウ』シリーズ著者による新境地。
諸国を巡り、多くの伝説を生んだ塚原卜伝。数百戦で、刀傷ひとつ負わなかった男が剣の道を極めた先に見たものとは…頂きへと運ぶ一陣の風のごとくさらなる高みを目指す老境の姿を『妻は、くノ一』『耳袋秘帖』の著者が、数々の伝承から着想を得て、軽やかに描いた等身大の人間・卜伝。
20世紀に新生した“宗教学”を代表する2人が1972年から86年にわたり交わした111通の往復書簡ー。ルーマニア人亡命者、宗教学者、小説家、師弟、そして友として、親しみ溢れる筆致で交わした魂の対話。
一度出たら生きて帰れないといわれる外界から帰還し、サイロ18の市長となったジュリエット。発見した別のサイロに取り残された人々を救うため、トンネルの掘削を始めるが、市民の反発は強く、司祭は掘削機を悪魔と言い放った。一方サイロ1では、ドナルドがそれぞれのサイロの命運を思い一人苦しんでいた。危機をドナルドの仕業と思い込むジュリエット。そしてトンネルが貫通した時、再びサイロ18に危機が訪れるーー。
サイロ18は、シャットダウンされた。わずかな生存者と逃げ延びたジュリエットだが、大勢の命が失われた。その頃、サイロ1ではドナルドとシャーロットが、世界征服の野望の前に立ちはだかろうとしていたーー。
大奥で密かに進められていた陰謀を未然に防いだ御広敷番医師の矢切良衛は、その褒美として将軍綱吉より、長崎への医術遊学を許された。同時に寄合医師に昇格した良衛は、自らの医科を休業し、医術を究めるため江戸を発つ。一方、幕府内と大奥では、良衛の出世と遊学を利用せんとする策謀がー。道中の良衛をつけ、接触する女の伊賀者。さらに箱根の峠に入った良衛たちに、謎の刺客たちが襲いかかる。好評シリーズ第6弾!
天才発掘師・西原無量が手がけることになった長崎県南島原市、日野江城下のキリシタン遺跡から、天正遣欧少年使節団ゆかりとみられる黄金の十字架が出土する。だがそれは何者かが意図的に仕込んだ、いつわりの遺物だった。捏造疑惑に巻き込まれ窮地に陥った無量を、つらい過去の記憶が容赦なく苛む。果たして誰が、何のために十字架を埋めたのか。そして事件の裏に張り巡らされた驚くべき陰謀とは…?シリーズ第3弾!
渋谷区円山町のホテル街で、男の刺殺体が発見された。真冬の早朝に起きたこの殺人は、警察の当初の見込みに反して犯人特定が困難な事件となりつつあった。同じ頃、カメラマンの天羽眞理子は都知事選候補者の女性スキャンダルを追っていた。ところが撮影の標的になったのは名門女子校の生徒で…。無関係に思われたふたつの事件。その信じがたい共通項に気付いた眞理子が、動き始める。戦慄のクライム・サスペンス第2弾!
江戸城の台所人、鮎川惣介は、持ち前の優れた嗅覚で、幼なじみの御広敷添番の片桐隼人とともに難事件を解決してきた。将軍家斉に料理の腕を気に入られ、御小座敷に召されることもある。惣介は、医師の滝沢宗伯から万病に効く怪しい稲荷寿司があると聞き、調べに行くが、出された茶には阿片が混ぜられていた。一方、大奥では、家斉の側室・美代の方の部屋方が殺されているのが見つかりー。大奥と市井で交錯する謀略とは?
密命を受け、佃島を公儀目付・鳥居耀蔵の謀略から守る用心棒となった立花左京介は、その物腰と口癖から「左様介」の綽名で親しまれている。ある日、佃島に記憶喪失の男が流れ着く。男は博識で、ある事件をきっかけに住吉神社で子供たちに手習いを教えることとなり、島の人人にも馴染んでいく。そんな中、鳥居の手先の臨時廻り同心・奥寺亀次郎は、懸賞金がかかっている盗人の捕縛を狙い、左京介にある取引を持ちかけるが…。
高校ではサッカーをすると心に決めていた春彦。しかし入学した新設高校にはサッカー部自体がなかった。あきらめきれず部の創設に奔走するが、難題が立ちはだかる。そんなとき、右足にハンデを持つ不思議な生徒が現れ、コーチになりたいと春彦に告げる。果たしてサッカー部として認められるのか。やがて彼らは最後の夏を迎えるー。かけがえのない出逢いと別れ。輝かしい日々と人生に立ち止まった現在を描く傑作青春小説!