2015年8月発売
「この想いをあなたに伝えることをお許しください」-。夏休み、海釣りに出かけた皆人達は奇妙な恋文が入った小瓶を拾う。あれこれ推理を巡らせ再び手紙を見ると、文字がすべて消えていた。妖怪の存在を主張するハル先輩に対し、妖怪嫌いの皆人が導き出した意外な真実とは!?山道で迷い込んだ“見てはいけない家”、幼き日の皆人が遭遇した恐怖の小学生連続転落事件。振り回され系男子高生が論理で謎を解く青春ミステリ!
都内の霊園で、腐乱自殺死体が爆発するという事件が起こる。ネットにアップされていた死体の動画には、なぜか「周期ゼミ」というタイトルが付けられていた。それを皮切りに続々と発生する異常な自殺事件。捜査に乗り出した八王子西署の藤堂比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」は、自殺志願者が集うサイトがあることを突き止める。その背後には「AID」という存在が関係しているらしいのだが…。新しいタイプの警察小説、第3弾!
馬垣勘九郎が何者かに殺された。若き日の久鬼玄造と梶井知次郎は馬垣の秘密に関わることを決め、生前託されていた包みをほどく。その中身は、明治期に中国西域を探検した能海寛と橘瑞超の日記だった。瑞超の『辺境覚書』には、彼が馬垣と体験した信じがたい記録が綴られていた。彼らが遭遇した奇妙な足跡を持つ獣とは。外法印が描かれた仏画の秘密とは!?遙かな時と大地を超えて、いよいよキマイラをめぐる因縁が語られる。
数本の包丁を携えたハウスキーパーの香取純一は、空港近くのホテルで人生を振り返る。最愛の母との貧しい暮らし、漫画家という夢、初恋相手の風俗嬢…幸せな思い出もあったが、終いにはいつも裏切られた。それらのダメージは水のように滴り続け、あることをきっかけに、ついに香取の心から溢れ出した。彼が静かに最初の客室のドアを開ける時、惨劇が始まる。痛切な回想と現在の悪夢に圧倒される、怒涛のホラー・サスペンス。
古今東西、どんな学校の放課後にも多くの謎があふれている。黒板に残された相合い傘と2名の女生徒の名前は誰が書いたのか。解明は学校近くに住む美少女に託された(「フレンドシップ・シェイパー」)。小学校の階段に棲んでいる花子さんには7つの言い伝えがある。夏休みに明らかになった彼女の正体とは?(「踊り場の花子」)。今をときめく人気ミステリー作家5人による競演。文庫オリジナル作品6編を収録。短編アンソロジー第二弾!
アラスカの孤島シャドー・モセスにスネークは単独潜入した。新型核兵器メタルギアとテロの首謀者リキッド。それらを倒せば任務は終わるはずだった。だがそこには、恐るべき陰謀が張りめぐらされていた。謎の急死をとげる人質、立ちふさがる超人たち、仲間の裏切り、リキッドとの因縁。核戦争の危機を阻止せんとしたスネークを待っていたのは、驚愕の真相だった。隠されていたシャドー・モセスの真実が、ついに浮上する! 新たな真相と設定。原点でありながら最も新しい、シリーズ第1作ノベライズ完全版。
芽野史郎は激怒したー大学内の暴君に反抗し、世にも破廉恥な桃色ブリーフの刑に瀕した芽野は、全力で京都を疾走していた。そう、人質となってくれた無二の親友を見捨てるために!(「走れメロス」)。最強の矜持を持った、孤高の自称天才が歩む前代未聞の運命とは?(「山月記」)。近代文学の傑作五篇が、森見登美彦によって現代京都に華麗なる転生をとげる!こじらせすぎた青年達の、阿呆らしくも気高い生き様をとくと見よ!
兵庫県芦屋市。警察署と教会の間にある小さな店、それが夜だけ営業の定食屋「ばんめし屋」。 元イケメン俳優の五十嵐海里は、料理人見習いとしてここに居場所を見つけた。 不仲だった兄・一憲との関係も修復中のある日、突然一憲が店を訪れる。しかし海里は、一憲の親友だという刑事・涼彦を見て絶句する。 なんと涼彦には、「マフラーの幽霊」が巻き付いていた。 謎のマフラーの理由とは? 泣いて笑って心が軽くなる、お料理青春小説。
女子高に通う2年生の星河雛は、通学電車が一緒の他校の男子生徒に片想い中。その恋心を日記に綴るのが日課になっていたある日、“彼”が落とした定期入れを拾ったことがきっかけで“彼”-神無月礼於君とお付き合いをすることに。思いがけず俺様な“彼”と幸せなカレカノ時間を重ねる雛。けれど、神無月君には秘密があって…!?事故をきっかけに雛の本当の気持ちが試される。切なくもいとおしい運命の恋。
深夜の住宅地で惨殺事件ー何者かが侵入、就寝中の一家を刃物で殺傷。お祖父ちゃん、お母さん、お兄ちゃん、そして甘ったれの妹。これが、あたしの大好きな家族。-美緒19歳。ある一家の夏の記録。
Yの形をした木に目をとめた男。彼はこの木を見て、奇妙な方法で自死した作家のことを思い出す「Yの木」。大阪で働く美しい姉と、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを訪れることを楽しみにしていた少年。しかし当日の朝、小さな事件に巻き込まれてしまう「たそがれ」。ヴェネツィアを訪れた作家。行きつけのクラブのママに頼まれた首飾りを妻と共に選ぶが、実は妻に内緒でもうひとつ、買わなければならない首飾りがあった「首飾り」。秩父宮ラグビー場の客席で、不穏な電話をしている女。彼女はラグビーの勝敗と、自らの未来を重ねあわせていた「シンビン」。表題作「Yの木」ほか、人生の重要な瞬間を描き出す短篇三作を収録。
声優プロダクションから派遣されて球場のウグイス嬢をやっていた春奈は、地元の参議院議員の依頼で、突如市議会議員に立候補することになってしまった。選挙運動中、演説カーの上で選挙参謀と卑猥なことをし、顔見知りの野球選手二人からも迫られてー。果たして春奈は当選できるのか?奇才による書下しセクシャル・ライトノベル!!
殿さま商売人、鳥山藩藩主の小久保忠介に、全国を自由に航海できる大船造りのための資金一万両を出してくれれば四万両になるという儲け話が降って湧く。領国の暴れ川護岸工事の資金がほしい忠介だったが、裏に幕府老中までが絡むというその大風呂敷に疑念を抱く。黒石藩や八戸藩を巻き込んでの「騙り」成敗のつもりだったが…。忠介、一世一代の大勝負の行方は?
徳川家御一門である久松松平家の越後高田藩主の十一男は、将軍家剣術指南役の柳生家一万石の第六代藩主となった。享保十五年(一七三〇)九月朔日、江戸城表御殿菊の間において柳生俊平は、伊予小松藩主一柳頼邦、筑後三池藩主の立花貫長と初体面で意気投合、一万石大名の契りを結んだ。同じ頃俊平は、八代将軍吉宗から密かに影目付を命じられ難題に取り組むことに…。
極東の島国・日本。東京の場末の「店」で、「彼」は店主の従弟が語る不思議な物語に耳を傾ける。それは、遙か遠いオスマン帝国の時代、皇帝の近衛兵となった「少年」が、詩に魅せられ、当代一の語り手へと登りつめる、めくるめく物語だったー。ノーベル賞作家オルハン・パムクの訳者、初の小説集!
夫を亡くしてひとり暮らしの荻原萩子・五十五歳が抱く、バイト仲間の年下女子・早蕨へのときめきと憧れ。-「反人生」。世界を旅する寅次郎、ユーモアのセンスあふれる桃男。男友だちから新たな感覚を学ぼうとする大沼の行く末は…。-「越境と逸脱」。自由でゆるやかな連帯のかたちを見つける全四編。