2015年発売
『人生劇場』の作家尾崎士郎が、母校と、そして青春への熱き思いを込めた小説三篇。野に下り学の独立に賭けた大隈重信。学園創立時の苦闘と、不撓不屈の挑戦。進取の精神を抱き果敢に行動する若者たち。時代の奔流の中で躍動する青年群像が、活写される。巻末に、建学の祖・小野梓による開校式での歴史的演説を収載。
晩秋の武蔵野、明子は、烏瓜の実がたわわに垂れる家で、女子大時代の先輩蕗子と運命の再会をした。ゆたかな才能をもてあますように奔放に生きる蕗子と、くもりのない批評意識をもって日々を真摯に生きる明子。二・二六事件前後の激動の時代に、深い愛に結ばれ自立をめざして青春を生きた二人の魂の交流を描く。第四十六回読売文学賞受賞作。
〈頭(とう)狂(きょう)人(じん)〉〈044APD〉〈aXe(アクス)〉〈ザンギャ君〉〈伴(ばん)道(どう)全(ぜん)教授〉。奇妙なハンドルネームを持つ5人がネット上で仕掛ける推理バトル。出題者は実際に密室殺人を行い、トリックを解いてみろ、とチャットで挑発を繰り返す。謎解きゲームに勝つため、それだけのために人を殺す非情な連中の命運は、いつ尽きる!? 〈頭(とう)狂(きょう)人(じん)〉〈044APD〉〈aXe(アクス)〉〈ザンギャ君〉〈伴(ばん)道(どう)全(ぜん)教授〉。奇妙なハンドルネームを持つ5人がネット上で仕掛ける推理バトル。出題者は実際に密室殺人を行い、トリックを解いてみろ、とチャットで挑発を繰り返す。謎解きゲームに勝つため、それだけのために人を殺す非情な連中の命運は、いつ尽きる!? 解説・佳多山大地
無活用ラテン語で書かれた小説『猫の下で読むに限る』で道化師と名指された実業家のエイブラムス氏。その作者である友幸友幸は、エイブラムス氏の潤沢な資金と人員を投入した追跡をよそに転居を繰り返し、現地の言葉で書かれた原稿を残してゆく。幾重にも織り上げられた言語をめぐる物語。〈芥川賞受賞作〉 道化師の蝶 松ノ枝の記
「カネもなければ、オンナもいない」元刑事の甲賀は40歳の寂しい年の瀬を迎えていた。そこへ「奥さんを保護した」と警察からの連絡。この「妻」は甲賀が“偽装結婚”した中国人女性で、記憶を失っていた。彼女が何者か二人で調べていくと事態はとんでもない方向に。読み始めたら止まらないエンターテインメント。
隣国の急襲により、陥落したシェミハザ伯爵の城。伯爵の嗣子イオアンは、侍者ラウルとともに、襲爵の許可を得るために、貴種たちの上王が住まう都を目指していた。追ってくる刺客を元僧侶の騎士ハイドリヒたちの助けを借りながらかいくぐり、人間たちが信奉する教会の聖山に辿り着く。そこには、現在の上王の叔父で、大罪を犯したために追放されたイリヤがいた。彼は人々を魅了し、聖山に住む人々だけでなく、貴種たちをも操り、とんでもない騒動を引き起こそうと目論んでいた。貴種と呼ばれる吸血鬼たちが人間を支配する世界。その均衡が揺らぎ始めた!著者渾身の書下し冒険青春浪漫。
警視庁捜査一課の三田村功刑事は、お遍路旅行に出たまま行方不明になった叔父夫婦を捜すため、従妹の吉田あやかと四国に向かう。旅の途中、二人が乗った特急「しまんと1号」で男が毒殺され、足摺岬では叔父に容疑が掛かる転落死事件が発生する。冴え渡る十津川警部の推理は、絶体絶命の部下を救えるか!?巻末企画・特別連載「寝台特急トワイライトエクスプレスを爆破せよ」。スペシャル・インタビュー、都道府県別データ、わが故郷の駅弁自慢。
度胸と才覚を武器に、ちっぽけな太物問屋から、江戸有数の大店に成り上がった女の秘めた恋!江戸中の人々を驚かせ、女たちの注目を集め、新しい反物を流行らせた“人でなしのおけい”は仮の姿。遣り手、強面のかげに一途な純愛が…。号泣必至の一代記!
日本を蝕む危険ドラッグの「すぐ先の世界」がここにある!世界中ですでに起こっていること、そ凄まじい現実を描いた、『死都ゴモラ』の著者による待望のノンフィクション・ノヴェル!
氷の大槌が肉機械を生者に変えた。 妄想と暴力で編まれたソ連/ロシアの20世紀が、カルトの半生としていま鮮やかに蘇る。傑作!--東浩紀 おソローキン!! おそロシア!! ソローキンは氷のハンマーで私の心臓を打った。 ーー池澤春菜
英国で図像学を学んだ千景は祖母の営む『異人館画廊』で暮らしている。ブロンズィーノの贋作の噂を聞いた千景と幼馴染みの透磨は高級画廊プラチナ・ミューズの展覧会に潜入するが怪しい絵は見つからなかった。が、ある収集家が所持していた呪いの絵画が、展覧会で見た絵とタッチが似ていることに気づく。しかも鑑定を依頼してきたのが透磨の元恋人らしいと知って!?
竜田メグムは高校一年生。大学生の姉と、小学生の妹がいる三人姉妹。穏やかな父としっかり者の母の五人家族は、明るく平凡に暮らしている。だが、近頃メグムの心は晴れない。理由は進路に関わることなのだが…。そんな時、長いこと空き家だった近所の洋館に、不思議な人物が引っ越してくる。そしてそれは、思いもかけない形で、メグムの「家族」と関わってきて…!?
母の故郷・マーキス島にある「法医学博物館」で突然過去の世界に飛ばされた、医学生の西條遊馬。わけがわからないまま、殺人事件の現場に居合わせたために投獄されてしまう。そこで出会ったのは、この国の皇太子ロデリック。彼は、父である王を殺した罪に問われているというのだが…?そして、ロデリックの無実を証明するよう、遊馬に頼んできた人物とはー!?
京都、下鴨。高校生の鹿乃は、両親を亡くし、今は兄と下宿人の慧と三人で、古びた洋館に住んでいる。ある日、鹿乃は「開けてはいけない」と言われていた蔵を開けてしまう。次々に不思議なことが起き…!?
冬休みに突入した午後、自分の出生にまつわる秘密を知ってしまった女子高生・こずえは母を一方的に責め、衝動的に家を飛び出した。ひょんなことから鍵屋を営む鍵師・淀川と知り合い、年齢を偽って助手として彼の家で居候することに。そこへ「亡き父が遺したものを知りたい」という依頼者たちにより、他の鍵屋で開けられなかった手提げ金庫が持ち込まれるが…?
ペンションを経営する森川は、海岸で倒れていた美青年を助ける。才谷と名乗る彼は、「前世の記憶」を見せることができるのだという。彼の訪れをきっかけにするように、ペンションには心に悲しみを抱えた人々が集まってくる。彼らの前世の記憶と現世での縁が絡み合って起こる、息をつかせぬスリリングな展開は、やがて、やさしい癒しと明日への希望につながってゆく。静かな再生の物語。
“鎧”という無人駅は自分たちを捨てた母がいる場所ー父の死後、夏彦とかおりの兄妹は伯父の元に引き取られ成長する。二人は伯父が経営する“モス・クラブ”という会社で働き始める。兄は、ぽっかり空いた心の隙間を埋めるように寂しさを紛らわしながら暮らし、妹は心にある秘密を隠して急逝した伯父の後を継ぐために奔走する。そんな時目の前に現れたのが、国際弁護士・戸倉陸離だった。