2015年発売
あることで人を殺した喫茶店『珈琲屋』の主人・行介。行介の幼馴染で、かつて恋人だった冬子。ふたりの、互いを大切に思う気持ちを軸に、東京のちいさな商店街に暮らす人々を描いた連作短編集。連続テレビドラマ化もされ、多くの支持を集めた『珈琲屋の人々』続編。この物語を読み終えると、きっと熱いコーヒーが飲みたくなる…。
広島県因島でトラック運転手をしながら、小学生の息子二人を育てるバツイチ41歳の寺谷和章は、ある夜、交通事故に見舞われ、目の前に現れた謎の天使に“思いのままに飛んでいく魔球”を授かる。“プロ野球選手になって、カープを日本一にするー”子どもの頃に思い描き、いつしか諦めていたその夢を叶えようと、和章は広島カープの入団テストを受けに行くが…。家族とそれを取り巻く人間模様を通して、男の選択と生き様を描く興奮と感動の長編エンターテインメント小説。
復調の兆しが見えず、広島カープの二軍球場で調整中のルーキー寺谷和章は、取材に訪れた美人記者伊勢谷仁美と新聞記事を巡って衝突する。そんな中、ある事件をきっかけに魔球が復活、やがて一軍に返り咲いた和章は再起を賭け、超満員にふくれあがる甲子園のマウンドへと向かう。父の活躍を信じ続ける息子たち、因縁の若手キャッチャー達原との再会、宿命のライバルにして孤高のスラッガー早野の登場ー、圧倒的な興奮と清々しさが胸を打つ長編エンターテインメント小説。
東京育ちの加藤恵太は呑気さが崇って就職活動に失敗。やっと得た職はM県小古村で亡夫の地盤を継ぎ、村長選挙に立候補した北里佳代の秘書見習い兼雑用係だった。一目で佳代の美貌に魅せられた恵太は後援会長や対立候補の魔の手から未亡人を守ろうと奮闘。ついには都会から来た恵太に興味津々の村の女やウグイス嬢までもが“下半身の総選挙”に欲情参戦してー!?村社会の背徳の極みを描く超力作書き下ろし。
文武両道の学問所設立を目指す佐賀大左衛門は、剣術指南方の師範代として湯瀬直之進と倉田佐之助の二人を迎え入れようとしていた。そんな折り、大左衛門の屋敷を旗本岩清水家の用人が訪い、若年寄遠藤信濃守に進呈するに相応しい刀の鑑定を依頼してきた。だがこの刀選びが元で、大左衛門の身にとんでもない災難が降りかかる。人気書き下ろしシリーズ第三十弾。
元目付の愛坂桃太郎は、不肖の息子が芸者・珠子につくらせた外孫・桃子と偶然出会い、その可愛さにめろめろになった。孫可愛さのあまり、いつも桃子を背中に背負って、子守りする日々を送るようになる。ところが、売れっ子芸者の珠子の周囲では、なぜか奇妙な事件が多発。可愛い孫を守るため、桃太郎の秘剣が唸る!待望の新シリーズ始動!
三保の松原に舞い降りた天女の妙耶は、羽衣を盗賊に奪われてしまう。その賊に父親と許嫁を殺されて敵討ちを誓った菓子職人の太一と出会い、ともに盗賊の行方を追う。そんな日々の中で妙耶は市井に交わり、身内ゆえの情や、よすがなき女の哀しみ、職人がもつ矜持など、人間の心のありように触れてゆく。しだいに妙耶の胸にも、ある想いが兆してきて…。哀歓に満ちた連作時代小説。
魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く「狂人日記」。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す魯迅最初の作品集。
悪徳と罪業の都市ソドムとゴモラ。本篇に入り、同性愛のテーマがいよいよ本格的に展開される。不意によみがえる死んだ祖母への想い。祖母を失った悲しみの感情に「私」は突然とらえられる(「心の間歇」)。「私」はアルベルチーヌに同性愛の疑いをいだくが…。(全14冊)
長唄の師匠であるお蝶は三味線の腕前と美声で気性も粋な弁天との評判。お蝶の兄嫁の沙十はたおやかな色白美人で観音のたたずまい。人呼んで“弁天観音”美人姉妹は、頼まれ事を抜群の機知で解決していく。にぎやかな日々の裏で、お蝶を狙う影が大きく動き始める。凛とした痛快時代小説。
「常軌を逸した女子アナ好き」と書かれるような男が生え抜き初の社長でいいのか。“ニュースショー”を成功させ、視聴率で「四冠王」も夢ではないと胸を張るテレビ局も内実は醜聞まみれだった。批判精神をなくした組織は公器たりうるのか。大逆転を狙って、一組の男女が奔走する。息もつかせぬ経済小説の力作!
使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石…。「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。それを必要としているのが、たとえたった一人だとしても、その一人がたどり着くまで辛抱強く待ち続けるー。
兄妹と母さんが暮らす家に料理上手のモヒカン男がやってきた。繰り出すメニューは、男同士のムニエルにブロッコリーのウソピザ、満月ケチャップライス。家族の仲間入りのお礼にスプーン曲げの超能力まで授けてくれた。その超能力を狙う怪しい宗教団体が周囲をうろつき出し…。忘れられない「家族」の物語。
京都の中学生・天童純は、密教僧・源雲の法力によって時空を超え平安の都に飛ばされてしまう。そこは、「鬼」と貴族たち「人」が憎みあい、争う世界だった。選ばれし者として雄龍霊を復活させた純は、鬼退治に向かうも、その最中に出会った鬼の少女・水葉から、鬼こそが大和の神々の子孫であると聞かされる。
大部屋女形・梅村濱次の住む長屋で騒動が勃発。長屋仲間で堅物の浪人・仁野に、亡き妻の妹・絹が岡惚れしてしまったのだ。弱り切った仁野の頼みで、濱次は絹が諦めるよう一芝居打つことに。その最中、役を干されていた濱次は何かをつかむ。復活をかけた、花形女形との因縁の対決の結末は?文庫書下ろし。
能登半島の最北部にある眞塊谷を支配する邑知家。『日本書紀』にも登場するほど古い豪族の末裔とも言われる名家の当主・邑知大輔は、戦時中は軍部にも影響力を持っていた大富豪。この家を乗っ取ろうという謎の弁護士の悪巧みによってひ孫の花婿候補に仕立てられた青木俊治は、途轍もない惨劇に巻き込まれる!
徳川の埋蔵金伝説に彩られた深山幽谷。平家の落人を皆殺しにした源氏が住み着いたと言われる眞塊村と、邑知大輔の計らいで移住してきた宣教師たちが作ったニューホーリー村に襲いかかる悪夢は、村人が信仰する軍荼利明王の化身クンダリーの仕業なのか?ラビリンスとの最後の戦いに二階堂蘭子が挑む!
深い森の奥に子供を売り買いする「ひと市」が立つ。集落が生き残る術としてー。甲斐の虎と越後の龍の一触即発前夜、隠居館で暮らす信虎の幼子が攫われた。七歳の太郎の行方を追って、武田・長尾・北条、それぞれの欲と思惑のため忍びが放たれる。無坂ら山の者は義と情のため戦い抜く。文庫書下ろし。
太郎を連れ回していたのは、女だけで生きる山の者・鳥谷衆。戦場で死んだ武将の首を洗って糧を得る、地を這うような日々。一方、無坂らと異形の忍び・鶴喰、伝説の飛び加当、血を吸った山の呪い等との戦いは果てもない。物語は思いがけない黒幕の正体と、甲相駿三国同盟という結末へ加速!文庫書下ろし。