2015年発売
弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づくー。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他。キュートでブラック、奇想天外。初の短編集にして大江健三郎賞受賞作。
武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉ーー天下に手を伸ばした英雄たちの下、負けられない一戦に挑む者たちの生死の際を描く。 牢人大将 戦は算術に候 短慮なり名左衛門 毒蛾の舞 天に唾して 国を蹴った男
激動の昭和初期、「銀幕の花嫁」と呼ばれる女優・木下千鶴は、清楚な外見とは裏腹に勃興期の映画業界で成功を収めていく。だが彼女には、少女時代に別れて以来、一度も会うことのない美しい異母妹がいた。大スタアの生涯から消えることのない十歳から十五歳のたった五年間の記憶とは。
マンションの非常階段で発見された、自殺を装った他殺死体。捜査一課の如月塔子が偽装の意味を思案するさなか、犯行声明と新たな殺害を仄めかすメールが警視庁へ届いた。翌日以降も、都民を毎日ひとりずつ殺していくという。警察への怒りを露にする犯人の、真の目的とは。殺人分析班の逆転の推理が冴える!
警視庁人事一課、通称ヒトイチの若手監察係長・榎本博史は、警視庁内部の不正に昼夜目を光らせていた。大組織の片隅で囁かれる噂や、匿名の内部告発を洗っていくと、思わぬ人物に疑惑がおよぶ。監察に追われたら最後、仲間の警官といえども丸裸にされるー。緊迫の身内捜査シリーズ第1弾!
1701年冬、シレジアの雪原を往く二人の男。軍を脱走しスウェーデン王の許へ急ぐ青年貴族クリスティアンと、絞首台を逃れた宿無しの市場泥坊は、追っ手をまくため身分を交換して、それぞれの道へ。貴族の泥坊、全く対照的な二人の人生は不思議な運命によって交錯し、数奇な物語を紡ぎ始める。北方戦争時代のシレジアを舞台に、美しい女領主、龍騎兵隊を率いる“悪禍男爵”、不気味な煉獄帰りの粉屋、“首曲がり”“火付け木”“赤毛のリーザ”をはじめとする盗賊団の面々ら、個性豊かな登場人物が物語を彩り、波瀾万丈の冒険が展開されるピカレスク伝奇ロマン。
ニュージーランドの名峰アスパイアリングで起きた遭難事故が、森尾正樹を奈落の底に突き落とした。登山ガイドの彼は悪天候のなか瀕死のツアー客を救出し一躍英雄となるが、突如、保険金殺人の容疑で逮捕されたのだ。冤罪を主張するも検察の取り調べはあまりに作為的でー眺望絶佳な山の表情と圧巻の雪山行、そして決して諦めない男の法廷対決を描く愛と奇跡の感動作。
困窮する彦崎藩は財政再建に迫られていた。藩内では茶と椎茸の栽培に期待をかけるが、野心家の藩主・隆興は幕閣への道を志す。重荷になる多額の賄賂に藩が割れる中、領民からの信頼の篤い江戸家老・大藤主水は苦悩の末、忠義を貫き隆興を支持。一方、反隆興派は藩を守るべく主水の暗殺を企んだ。そこに、風烈与力の青柳剣一郎は密かに主水の警護を依頼され…。
莫大な賄賂の金策に走る彦崎藩江戸家老の大藤主水が、刺客に襲われた。護衛の風烈与力・青柳剣一郎は主水を守り抜くが、賊の手際のよさに疑問を抱く。やがて反隆興派の内通者の存在が判明、諌めることで藩はまとまったかと思えた。だが、藩の特産品支配を狙う者の暗躍が…。武士にとって真の忠義とは。緻密な陰謀の真相究明に、剣一郎が江戸の町を疾駆する!
高校1年生になった桃子は思いがけなく、短歌を詠む「うた部」に入部する。でも、不登校になったままの親友の綾美に対して部活のことを言い出せない。そればかりか、高校で友達は作らないという宣言までしてしまう。中学時代に起きたある事件に負い目を感じてのことだった。そんなある日の放課後、うた部で短歌甲子園に出場しようという話が持ち上がってー。
十津川警部は資産家の秋山博之夫婦を殺害した容疑で、漫画家の戸川雅夫を逮捕する。ところが事件当日、秩父鉄道のSL列車の車中で戸川を目撃したという旅行作家のエッセイを発見。裁判を前に否認を続ける戸川の犯行を裏付けるため、再捜査を開始した十津川がたどり着いた驚愕の真相とは!?
須崎茜は私立藤ヶ丘女子高校に通う俳句好きの女の子。ある日、俳句に否定的な国語教師と授業で対立したことをきっかけに、俳句の趣味を理解してくれるトーコという友人ができる。2人は「俳句甲子園」を目指して俳句同好会を設立するが、出場に必要な人数は5人。メンバーを集めるため、茜とトーコは校内を駆け回る。俳句経験者の茜、切れ者のトーコ、書道有段者の真名、音感の鋭い理香、口達者な夏樹、情緒豊かな瑞穂…初めはばらばらだった6人の個性が“俳句バトル”で輝きを増す!少女たちの友情と成長がまばゆい、圧倒的青春小説!!
沖縄本島北部の法テラスに派遣されてきた弁護士・阿礼沙英子。オジィオバァの方言通訳を命じられた事務員の大城を従え、縁もゆかりもない琉球の地で、厄介な民事事件を率直すぎる発言で一刀両断にします!
なぜ男は、10人を殺害し、6人の女とともに集団自殺を遂げたのか。なぜ女は、ただひとり、生き残ったのか。30年を経て、なお多くの謎に包まれたままの「木裏事件」。命を落とした者は20人に迫り、信用に足る証言は少ない。事件に関連して叔父を亡くしたジャーナリストは、渦中にいながら今もなお生きながらえているひとりの女性の行方を突き止める。彼女の口から語られた、事件の意外な真相とはー。稀代の惨劇の1年にわたる経過を追い、謎多き犯人の実像に迫る、圧巻のフェイク・ドキュメンタリー。
Dのもとへ、ダンピールの少年を連れた娘がやってくる。少年の父親である貴族の元へ行くので、護衛を依頼されたのだ。しかし、その一方でDは、少年に父親を殺す依頼も受けていたのだった。気のいい戦闘士の男を加えた一行は、野盗や敵の襲来を受けながら目的地を目指す。しかし、その前に現れた少年の父親とは!?ダンピールの少年はDの瞳と背中に何を見るのか!?