2015年発売
使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石……。「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。それを必要としているのが、たとえたった一人だとしても、その一人がたどり着くまで辛抱強く待ち続けるーー。 衣装係さん 百科事典少女 兎夫人 輪っか屋 紙店シスター ノブさん 勲章店の未亡人 遺髪レース 人さらいの時計 フォークダンス発表会
兄妹と母さんが暮らす家に料理上手のモヒカン男がやってきた。繰り出すメニューは、男同士のムニエルにブロッコリーのウソピザ、満月ケチャップライス。家族の仲間入りのお礼にスプーン曲げの超能力まで授けてくれた。その超能力を狙う怪しい宗教団体が周囲をうろつき出し…。忘れられない「家族」の物語。
京都の中学生・天童純は、密教僧・源雲の法力によって時空を超え平安の都に飛ばされてしまう。そこは、「鬼」と貴族たち「人」が憎みあい、争う世界だった。選ばれし者として雄龍霊を復活させた純は、鬼退治に向かうも、その最中に出会った鬼の少女・水葉から、鬼こそが大和の神々の子孫であると聞かされる。 《鬼打ち豆》 《神の住む都》 《伝えられてきたもの》 《鬼の剣》 《残された光》 《禍々しい影》 《きっとまた、いつか》 「わたしが子どもだったころ『小学生の巻』」
大部屋女形・梅村濱次の住む長屋で騒動が勃発。長屋仲間で堅物の浪人・仁野に、亡き妻の妹・絹が岡惚れしてしまったのだ。弱り切った仁野の頼みで、濱次は絹が諦めるよう一芝居打つことに。その最中、役を干されていた濱次は何かをつかむ。復活をかけた、花形女形との因縁の対決の結末は?文庫書下ろし。
能登半島の最北部にある眞塊谷を支配する邑知家。『日本書紀』にも登場するほど古い豪族の末裔とも言われる名家の当主・邑知大輔は、戦時中は軍部にも影響力を持っていた大富豪。この家を乗っ取ろうという謎の弁護士の悪巧みによってひ孫の花婿候補に仕立てられた青木俊治は、途轍もない惨劇に巻き込まれる!
徳川の埋蔵金伝説に彩られた深山幽谷。平家の落人を皆殺しにした源氏が住み着いたと言われる眞塊村と、邑知大輔の計らいで移住してきた宣教師たちが作ったニューホーリー村に襲いかかる悪夢は、村人が信仰する軍荼利明王の化身クンダリーの仕業なのか?ラビリンスとの最後の戦いに二階堂蘭子が挑む!
深い森の奥に子供を売り買いする「ひと市」が立つ。集落が生き残る術としてーー。甲斐の虎と越後の龍の一触即発前夜、隠居館で暮らす信虎の息子が攫われた。七歳の太郎の行方を追って、武田・長尾・今川・北条、それぞれの欲と思惑のため忍びが暗躍、無坂ら山の者は義と情のため戦い抜く。-文庫書下ろしー 序 第一章 雪斎の依頼 第二章 追う者 第三章 軒猿と鶴喰 第四章 《かまきり》
無坂は死んだと思われた太郎の生存を疑う。時は甲相駿三国同盟間近。飛び加当が、異形の忍者が、山の呪いが、戦国の世を駆け抜ける! 第五章 飛び加当 第六章 越後の龍 第七章 甲相駿三国同盟 第八章 《嶽神》
自分の中には凶暴な性欲をもつ鬼がいるー鬼を追い出すため、吉田神社の節分祭「鬼やらい」へ行く女。しかし女は妖艶な着物を纏った美女にたやすく誘惑される。行為の最中、相手の着物の裾の間には、逞しく屹立するものがあった。女装男との倒錯性を描く「おばけ」ほか、女の欲望が昇華する官能短編集。
弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づくーー。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他13編。キュートでブラック、しかもユーモラス。異才を放つ著者初の短編集にして、大江健三郎賞受賞作。 アウトサイド 私は名前で呼んでる パプリカ次郎 人間袋とじ 哀しみのウェイトトレーニー マゴッチギャオの夜、いつも通り 亡霊病 タイフーン Q&A 彼女たち How to burden the girl ダウンズ&アップス いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか
武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉ーー天下に手を伸ばした英雄たちの下、負けられない一戦に挑む者たちの生死の際を描く。 牢人大将 戦は算術に候 短慮なり名左衛門 毒蛾の舞 天に唾して 国を蹴った男
激動の昭和初期、「銀幕の花嫁」と呼ばれる女優・木下千鶴は、清楚な外見とは裏腹に勃興期の映画業界で成功を収めていく。だが彼女には、少女時代に別れて以来、一度も会うことのない美しい異母妹がいた。大スタアの生涯から消えることのない十歳から十五歳のたった五年間の記憶とは。
刺殺遺体が握っていたナイフの意味とは。犯人は二億円を用意できなければ、都民を一人ずつ殺害すると予告。殺人分析班が推理する! 第一章 ナイフ 第二章 タブレット 第三章 ロープ 第四章 ピルケース
警視庁人事一課、通称「ヒトイチ」の若手監察係長・榎本博史は、警視庁内部の不正に昼夜目を光らせていた。大組織の片隅で囁かれる噂や、匿名の内部告発を洗っていくと、思わぬ人物に疑惑がおよぶ。監察に追われたら最後、仲間の警官といえども丸裸にされるーー。緊迫の身内捜査シリーズ第一弾!〈文庫書下ろし〉 第一章 新宿の舎兄 第二章 復讐のポルノグラフィー 第三章 灰色の筆致
1701年冬、シレジアの雪原を往く二人の男。軍を脱走し大北方戦争を戦うスウェーデン王の許へ急ぐ青年貴族と、〈鶏攫い〉の異名をもつ逃走中の市場泥坊ーー全く対照的な二人の人生は不思議な運命によって交錯し、数奇な物語を紡ぎ始める。泥坊が一目で恋におちる美しい女領主、龍騎兵隊を率いる〈悪禍男爵〉、不気味な煉獄帰りの粉屋、〈首曲がり〉〈火付け木〉〈赤毛のリーザ〉をはじめとする盗賊団の面々ら、個性豊かな登場人物が物語を彩り、波瀾万丈の冒険が展開されるピカレスク伝奇ロマン。 序言 第一部 泥坊 第二部 教会?し 第三部 スウェーデンの騎士 最終部 名無し 解説
ニュージーランドの名峰アスパイアリングで起きた遭難事故が、森尾正樹を奈落の底に突き落とした。登山ガイドの彼は悪天候のなか瀕死のツアー客を救出し一躍英雄となるが、突如、保険金殺人の容疑で逮捕されたのだ。冤罪を主張するも検察の取り調べはあまりに作為的でー眺望絶佳な山の表情と圧巻の雪山行、そして決して諦めない男の法廷対決を描く愛と奇跡の感動作。
困窮する彦崎藩は財政再建に迫られていた。藩内では茶と椎茸の栽培に期待をかけるが、野心家の藩主・隆興は幕閣への道を志す。重荷になる多額の賄賂に藩が割れる中、領民からの信頼の篤い江戸家老・大藤主水は苦悩の末、忠義を貫き隆興を支持。一方、反隆興派は藩を守るべく主水の暗殺を企んだ。そこに、風烈与力の青柳剣一郎は密かに主水の警護を依頼され…。
莫大な賄賂の金策に走る彦崎藩江戸家老の大藤主水が、刺客に襲われた。護衛の風烈与力・青柳剣一郎は主水を守り抜くが、賊の手際のよさに疑問を抱く。やがて反隆興派の内通者の存在が判明、諌めることで藩はまとまったかと思えた。だが、藩の特産品支配を狙う者の暗躍が…。武士にとって真の忠義とは。緻密な陰謀の真相究明に、剣一郎が江戸の町を疾駆する!
高校1年生になった桃子は思いがけなく、短歌を詠む「うた部」に入部する。でも、不登校になったままの親友の綾美に対して部活のことを言い出せない。そればかりか、高校で友達は作らないという宣言までしてしまう。中学時代に起きたある事件に負い目を感じてのことだった。そんなある日の放課後、うた部で短歌甲子園に出場しようという話が持ち上がってー。
星新一の孫弟子が紡ぐショートショート小説 本書は、「星新一の孫弟子」と呼ばれる気鋭の作家・田丸雅智氏が、ささやかな幸せを追い求める家族たちの「一瞬の風景」を活写! 人情もの、ユーモアからファンタジー、ホラーまで、「思い出アルバム」をイメージしたショートショート集です。 ●分身が作れる石鹸で3人の妻と同棲生活をすることになった夫の悲哀をコミカルに描く「白妻、黒妻」 ●傷口に貼った絆創膏から育つ植物の実を食べる息子の闇を照らすホラー「吸血木」 ●変な趣味を持つ父親が娘の結婚式で披露する贈り物が泣ける「鳩の箱」 ●長年連れ添った最愛の妻に先立たれた老人が辿り着いた異次元の世界を紡ぎ出すファンタジー「おいらんちゅう」 ・・・・・・など、新たな書き下ろし作品を含めた異色の18編を収録。 田丸氏は、2014年に単行本デビュー以来、又吉直樹(ピース)、大森望(書評家)、新井素子(作家)など、各氏が絶賛する新世代ショートショート作家。非日常と懐かしさがないまぜになった摩訶不思議な読後感は、目眩がしそうなほどキョーレツです。 平成の「ショートショート」ブーム到来! 星新一に夢中になった、あの「熱読体験」を再びーー。 【編集担当からのおすすめ情報】 新世代ショートショート作家の田丸雅智氏は小学館の月刊小説誌『STORY BOX』に「ショートショート千夜一夜」を大人気連載中です。