2015年発売
台湾中部の山岳地帯に暮らす誇り高き狩猟民族・セデック族。1895年、日清戦争で清が敗れると、彼らの住む土地にも日本の統治は拡大。部族たちの平穏な生活は日々奪われていく。それから35年、部族の有志たちがついに立ち上がる。集落を統べる頭目、モーナ・ルダオは一族の尊厳を胸に秘め、仲間たちとともに日本軍に抗戦する。だが、蜂起軍は日本軍が誇る近代兵器の前に桜の花びらのように次々と散っていき…。台湾全土を席巻した稀代の歴史小説ーついに邦訳化!
二宮光二郎、七十五歳。趣味は分解ーーバラバラにして、きれいに磨いて、元に戻すこと。光二郎は、家出中に公園のベンチでうたた寝をしていた。目が覚めると、右手には血のついたカマ、目の前には血まみれの男が倒れていた。孫のかけるとひかりは、光二郎逮捕の知らせを聞き仰天。“おじいちゃん”を救うために、警察署へと急ぐ。果たして犯人は? すべての部品には役割があって、錆びると噛み合なくなってしまう。 すべての人にはドラマがあって、感謝の気持ちを忘れるとぎくしゃくしてしまう。 そんなときは分解しよう、軌道から外れよう。 きれいに磨かれた部品も、感謝の気持ちを取り戻した人間も、きっと再び輝ける。
小学館文庫小説賞松本清張賞W受賞の快挙! 深作日都子は小学5年生の時、教師から金魚を殺した濡れ衣を着せられ、熾烈ないじめの対象となった。そのときから日都子は、誰にも心を閉ざし、「みんな」には加わらない「ヒトリコ」として生きていく決心をする。 田舎の小学校の生徒達はそのまま中学校へ持ち上がる。ヒトリコの心の支えは、ピアノとピアノを教えてくれる偏屈なキューばあちゃんだけ。合唱の盛んな中学では生徒の間にカースト制度が生まれ、激しいいじめや陰口が横行する。「みんな」に属している限り生徒間の闘いは続く・・・。 地元の高校の入学式。小5で転校した冬希の姿がそこにあった。モンスターペアレントの母親との暮らしに疲れ切った冬希は、母親を棄て、父親の地元に戻ってきたのだった。何も変わらぬ故郷、仲間。ただ、一人だけ全く変わってしまった日都子の姿に冬希は驚く。そしてその原因が自分が飼い、置いてきた金魚と知り・・・。 誰もの心に突き刺さる、青春の残酷さ、閉塞感・・・・・・。絶望的な孤独の末に見えてくるうっすらとした光。必ず誰もの心の奥の奥に入り込み、内側からあなたの心を揺さぶる、苦くて新しい青春小説です。 【編集担当からのおすすめ情報】 全くの新人作家の方がほぼ同時期に2つの新人発掘の大賞を受賞することは、いまだかつてないことです。最終候補作に残っている、という連絡は奇しくも同じ日だったとのこと。2015年4月頭に第16回小学館文庫小説賞受賞決定、その直後に第22回松本清張賞も受賞。 これを記念して出版社の枠を飛び越え、二つの受賞作品をダブルデビュー作として刊行することになりました。この彗星のように現れた新しい才能のきらめきを、是非お確かめください。
夜、家を虎がうろついているの……海辺の家で一人暮らす七十五歳のルースのもとに、ある日ヘルパーのフリーダが現れた。オーストラリアで多数の文学賞に輝いたサスペンスと抒情に満ちた傑作長篇
舞台は十九世紀末モスクワ。一人の青年が、公衆の面前でピストル自殺を遂げた。捜査にあたるのは、特捜部にやってきたばかりの新人、黒髪に青い目、お洒落ではにかみ屋の美青年、ファンドーリン。簡単な事件と思いきや、捜査線上に浮かんできた絶世の美女、新たな殺人、そして謎の言葉“アザゼル”-必読のシリーズ第1作!
時は一八七七年、舞台はバルカン半島。オスマン帝国と睨みあう、ロシア陣営最前線。果たしてチェックメイトをかけるのはどちらか?スパイ合戦の只中へ、婚約者を追って単身乗り込む主人公は、ときに乙女、ときに無謀、愛すべき“進歩的な”美少女ワーリャ!血の匂いと陰謀渦巻く戦場で、彼女に出逢ったファンドーリンはー女の子が主人公の“新しい『戦争と平和』”ここに誕生!
<スイ研>こと酔理研究会で、神酒島先輩とともに数多の謎に遭遇してきた蝶子。大学生活も二年目、<スイ研>には新たなメンバーが加入。思わぬライバルの登場に、神酒島先輩との関係にもついに変化が……!?
日本中を号泣させた『teddy bear』べあ姫がおくるこの夏、いちばんの感動ラブストーリー 母親を亡くし、転勤中の父とも離れ、一人暮らしする高校生の菜緒。ある日、クラスに瀬戸千秋という美しい転校生がやってきた。色めきだつ女子生徒たちをよそに、みんなの目の前で、瀬戸は菜緒に「君が好きだ」と告げてきて…。 この出会いがもたらす不思議な出来事の数々。やがて20年前にあった、ある奇跡の純愛をもよびさます。
京都、下鴨。高校生の鹿乃は、ぐうたらな兄と近くの大学で准教授をしている下宿人の慧と三人暮らし。亡き祖母からアンティーク着物を譲り受け、同時に蔵にある“いわくつき”の着物の管理も引き継ぐが…?
それは、家出中の女子高生こずえが、鍵師の淀川宅に助手として居候し始めたばかりの頃。高熱で倒れた淀川宛に、宝箱の開錠依頼が急に舞い込んだ。代わりに鍵を開けようと奮闘するこずえだったが…?