2015年発売
旗本・御家人の救済のために借金を棒引きにする棄捐令を出す。それによって困窮する札差を支援するため幕府が金を下すー。貸し下げ金二万両の差配をした結城屋三津五郎に柚木源九郎は不審をいだいていた。上州の侠客・国定忠次との関わりも疑われた。武士の矜持を失った直参を相手に、結城屋が画策した謀とは…。般若同心が正義の十手で、大きな闇に挑む!
南町奉行所の元定町廻り同心でいまは船頭として生計をたてる沢村伝次郎は、ある日、川を流れてきた女の骸を発見する。かつて同僚だった同心から探索の助を頼まれ、事件に関わることになるが、伝次郎の前に今度は敵討ちのために江戸に出てきた若き侍が現れる。そして、探索と敵討ちの助で大忙しの伝次郎の眼前に生涯最大の強敵が。泣ける最高傑作のシリーズ第十二弾。
信長に仕え二十年。丹後丹波を平定し一国の主となった光秀。齢六十を過ぎたが、嫡男は幼く、まだまだ隠居はできない。主君の覚えを得るためには武勲を上げ続けねばならぬのだが…。安土で家康への饗応を命ぜられた光秀は失態を演じ、主君の不興を買う。不安に駆られる光秀に追い打ちをかけるような下知が。領地召し上げ。追い込まれた光秀が兵を挙げた先はー。
南町奉行・大岡越前は、汐留沖の島に四季の草花が咲く行楽地を作った。島に巣くう犯罪者を一掃し、江戸の庶民の遊楽地とするためだった。だがその島に、老中を襲撃して逃亡した浪人・宮坂弦九郎が潜伏しているという。大岡より弦九郎探索の命が、なぜか忠兵衛に下るが、その理由を大岡は語ろうとしない…。(表題作)人情同心・角野忠兵衛の活躍を描く精選シリーズ第五弾!
八代将軍・吉宗の寵姫である竹姫が大奥女中の雑用を引き受ける男衆の五菜に襲われた。竹姫の操を奪おうとした行為に吉宗は激怒。竹姫付き御広敷用人の水城聡四郎は吉宗の命を受け、竹姫を襲った五菜の背後にいる「真の敵」を炙り出すべく動き始めた。さっそく刺客に狙われた聡四郎は、はたして「敵」をどう制圧するのか。好調の人気シリーズ、躍動感満載の第八弾。
映画業界で働いている「私」は、 たわいのない毎日を動画撮影で記録していた。 気のおけない友達とのおしゃべり、お気に入りのMDプレイヤー、 風に揺れるガイコツTシャツ、 20万円分の多種多様なハサミ…。 そこに外国から戻った「ハジュ」兄妹に出会い、「私」の動画記録にも変化がではじめたが…
直木賞受賞! 私たちの心の奥底を静かに覗く傑作集 どこにでもある町に住む、盗癖のあるよそ者の女、婚期を逃した女の焦り、育児に悩む若い母親……彼女たちの疲れた心を待つ落とし穴。
文学史にのこる傑作二篇を一冊に! 横書き文から立ち昇る豊穣な世界。ベストセラーの芥川賞受賞作と鋭い批評眼、無常観と自然描写が光る源氏物語に比すべき長篇を収録。
還暦を迎えて既に先端医療の現場を離れた医師・江原陽子。ある日、彼女のもとに、研修医を介して奇妙な「病歴要約」が送られてくる。そこには過疎の村で終末期医療に奔走してきた元同僚・黒田の半生が記されていた。「医師は悪党」という黒田の言葉に込められた真意とは?人生を丁寧に生きようとする人たちの強さが息づく物語。
実母・土田御前に疎まれた記憶が、織田信長の心を歪ませた。寸土を求めて同族同士で殺しあう尾張の小領主を継いだ男が、桶狭間で今川義元を討ち取り、やがて天下を狙う戦国大名の一人へと成長していく…。社会現象にもなった『下天は夢か』からおよそ四半世紀を経て、まったく新しい視点から描いた巨匠津本陽「最後の信長伝」!
「今までの裁判員裁判の中では一番簡単そう」新人裁判官・久保珠実は物足りなさを感じていた。初老の男性が幼なじみの家に放火した事件。争点は動機のみのはずーしかしある証言により法廷は予想だにせぬ方向へ。裁判員に選ばれた一般市民の姿もリアルな、現代人が読むべきリーガル・サスペンス連作三篇。
「狼王ロボ」の異名を持つ巨大狼を追跡中の老人が、喉を裂かれて殺された。「犯人」は狼なのか?だが居合わせたシートンは、真犯人は他にいると断言するー名著『シートン動物記』の著者、シートン先生は名探偵でもあった!?動物たちを巻き込む怪事件をホームズばりの推理で解決する心優しい連作ミステリ。
「あの事件を、今更ほじくり返してどうするんです?」数十年ぶりにかつて大学生活を送った地方都市に舞い戻った大学教授の鹿野道夫は、全共闘運動のさなか起こったある「事故」を執拗に調べ始める。機動隊との衝突が招いた一人の高校生の死ー謎が謎を呼び、昭和の恩讐を呼び覚ます。骨太の人間ドラマ。
警視庁公安部外事第二課きってのスパイハンター・樋口一樹。“殺しのデカ”として捜査第一課のエースと称される西村康仁。全く接点のなかった二人が荒木町のバーで遭遇した夜、東京西部で白骨遺体が発見される。捜査手法も思想信条も水と油の二人が、それぞれの目的のため同じ事件を追って火花を散らすー。文庫オリジナル。
アステカ征服綺譚ーー三発の魔弾の物語<br><br> 十六世紀、神聖ローマ帝国を追放された〓ラインの暴れ伯爵〓グルムバッハは新大陸に渡り、アステカ王国のインディオたちに味方して、征服者コルテス率いるスペインの無敵軍に立ち向かった。グルムバッハは悪魔の力を借りて、コルテス軍の狙撃兵ノバロの百発百中の銃を手に入れるが、その責を問われ絞首台に上ったノバロは、死に際に三発の銃弾に呪いをかける。「一発目はお前の異教の国王に。二発目は地獄の女に。そして三発目はーー」コンキスタドール(征服者)時代のメキシコを舞台に、騙し絵のように変幻する絢爛たる物語を、巧みなストーリーテリングで描き切った幻想歴史小説。大戦間ドイツで絶大な人気を博し、ボルヘス、カルヴィーノ、グレアム・グリーンら、名だたる目利きたちが愛読、世界的な再評価が進んでいる稀代の物語作家ペルッツの長篇第一作。
伯父の伯爵家で、使用人同然の不遇な毎日を送るエリーは、ある日、社交界の花形レディ・ミルフォードから赤い靴を受け取った。<br>ところが、社交シーズンが始まる前に、エリーは悪魔の王子と呼ばれるダミアンにさらわれてしまう。<br>幽閉された孤島の城で激しい嵐が何日も続き、エリーはダミアンが誘拐を企てた理由や秘めた孤独を知るうちに、<br>世間の評判とは全く違う彼の素顔にふれ、次第に惹かれていく。<br>そして嵐がやんだ朝、突然レディ・ミルフォードが城を訪れて……。
地元で指折りの敏腕弁護士との婚約からわずか四週間で結婚式を迎えたデレイン。<br>しかし、式直前に新郎が何者かに殺されてしまうという悲劇が! <br>犯人への復讐を誓う花嫁は、事件捜査をセオドシアに依頼。<br>事件現場は幽霊が出るという噂の不気味なホテルで、謎はますます深まっていき……!?