2016年11月18日発売
圭さんと碌さんの軽妙な会話を軸に、漱石の阿蘇山旅行に基づき書かれた『二百十日』。若き二人の文学士と文筆に生きる男が、流動する社会に向き合う姿を多面的に切り取った『野分』。先鋭な社会批評が鮮烈な二篇。改版。
日本犯罪史上、最高被害額の強奪事件発生!その計画、実行、逃亡、逮捕、判決までを克明に描く!実際あった事件に着想を得た、文庫オリジナル書き下ろしクライムノベル。ずさんな管理の警備会社に眠るカネを狙った奴らがいた。襲撃して手にしたカネは、ワルたちも予想もしない大金だったー。六億円、日本犯罪史上最高被害額を巡って、闇世界のワルたちが分け前にありつこうと群がる!
美貌の敏腕宝石商・リチャードの店「エトランジェ」でバイト中の大学生・正義。店には様々な人間が訪れる。結婚三十周年記念の指輪のための宝石を探す夫婦、恋人と連絡の取れなくなった女子大学生。そして、とあるオークションへの代理出席を依頼する者も。オークション会場には、リチャードの過去を知る男がいた。正義とリチャード、それぞれの想いはすれ違いー!?
森百は、トリモモみたいな語感の名前に少々思うところのある女子高校生。町の顔役である曾祖母からの頼みで、国際的チェリストの青年・玲央名からチェロを習うことに。玲央名は、あるチェロを弾き、ある音が出ると、“狼”と名付けられた人格に憑依されてしまうらしい。そして“狼”は、特殊な能力を持っていて!?偏屈チェリストと女子高校生の町内謎解き事件簿!
イラストレーターになる夢を叶えるため、家出同然で東京へ出てきた夏実。けれど、イラストの仕事だけでは食べていけなかった。夢破れ、親に内緒で地元へ戻ってくる。ともかく、生きるためには働かねばならない。夏実は面接18社目にしてようやく、タウン誌を発行する会社の事務員として採用される。だが、そこは個性的すぎる面々が集う、超絶ブラック企業で!?
この世界とは違う次元にある、別の世界。北関東にあるだいば市は、そうした世界との壁が薄くなりやすい特異点だ。だいば市には、異世界からの来訪者が生活していたりもする。提波大学に通う遠流は、昔から幻を視てしまう体質に悩んでいたが、それが異次元世界を視ていたことを知り、異次元世界人との共生を推進する機関でアルバイトをすることになるが…?
幕末の木曽山中。神業と呼ばれるほどの腕を持つ父に憧れ、櫛挽職人を目指す登瀬。しかし女は嫁して子をなし、家を守ることが当たり前の時代、世間は珍妙なものを見るように登瀬の一家と接していた。才がありながら早世した弟、その哀しみを抱えながら、周囲の目に振り回される母親、閉鎖的な土地や家から逃れたい妹、愚直すぎる父親。家族とは、幸せとは…。文学賞3冠の傑作がついに文庫化!
十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、衝突しあいながらも、自らの性と生き方を模索していく。芥川賞作家が赤裸々に紡いだ話題作。
少し不思議なことの起こる世界。そこには、タイムマシンがあり、超能力者もいる。過去の自分に大切なことを伝えようと、研究室にある謎の円筒に乗りこんだ大学2年生の美歩(「過去ミライ」)、超能力アイドルをめざしテレビ出演する女子中学生(「自由ジカン」)、高性能の家庭用ロボットを手に入れた男子大学生(「恋人ロボット」)ほか、ときめきや友情を描いた全7編の短編集。
小間物屋の幸三は、客に二十両分の商品を騙し取られた。金に困り、喧嘩別れした幼馴染みに借金を頼みに行くが、断られる。その帰り、高価な茶碗を拾った幸三は、浅草の質屋『万屋』へ、質草として持ち込む。主人の藤十郎は、この茶碗に血の痕を見つけ、不審を抱く。茶碗の出所を探り始めると、悲惨な事実が浮かび上り…。庶民を護る藤十郎の名裁きやいかに!痛快人情捕物帳。書き下ろし。
様々な罪状で監獄に収監された、個性豊かな6人の女性たち。囚人という身でありながら、突如、カペル王国陸軍に徴用された彼女たちは、不思議な首輪をはめられ「深紅の隼隊」という、特殊作戦部隊に編成される。訓練もままならぬある日、部隊の指揮官であるエヴァリスト・カイユ星尉は隣国の不審な動きを察知した軍上層部に指示され、彼女たちとともに隣国への越境潜入作戦へと向かうこととなった…。
平凡な男子高校生、今浪勇人は、幼なじみの下村桃や、クラスメイトと共に災厄に苦しむ異世界へ「精霊の使い」として召喚された。だが、勇人の精霊の使いとしてのステータスが投票によって「オール1」になってしまう。クラスメイトの桃と一緒に帰るため、チート?な能力「ものまね」と「振り分けポイント」を駆使し強くなるため、勇人は1人で旅に出る!!
豊後、坪内藩の城下町にある青鳴道場。神妙活殺流の遣い手だった先代の死から早一年、道場は存亡の危機にあった。跡を継いだ長男の青鳴権平はまだ二十歳と若く、その昼行燈ぶりから、ついには門人が一人もいなくなってしまったのである。米櫃も底をついたある日、「鬼姫」と巷で呼ばれる妹の千草や、神童の誉れ高い弟の勘六に尻を叩かれた権平がようやく重い腰を上げる。「父の仇を捜すために道場破りをいたす」。酔って神社の石段で足を滑らせて亡くなったとされる先代の死には不審な点があり、直前には五つの流派の道場主たちと酒席を共にしていた。三人は、道場再興と父の汚名を雪ぐため、まずはその一つ、新当流の柿崎道場に乗りこむー。
過剰防衛による殺人の裁判で無罪となり、警察庁警備局公安課特別捜査室“サクラ”に復帰した田臥健吾を、新たな任務が待ち受けていた。東京発博多行きの“のぞみ167号”の車内でTNT爆弾が発見されたのだ。さらには、イスラム国の対日本専門のテロリスト“クラッシュマン”が入国したという情報がICPOのリヨン事務総局よりもたらされる。田臥は、“サクラ”の仲間たちと共に深く静かに捜査を開始するー。迫真のタイムレース・サスペンス
とある日ー。広告代理店に勤める根本に、ベストセラー小説『永久の大地』を映画するよう社命が下る。映画が大好きな根本は喜び勇んで映画製作に邁進するが、トラブル続出。果たして映画は無事に完成するのだろうか。
十五にして両親を失った結は、長屋で首を括ろうとしたところを元芸者の女髪結い・お夕に救われた。ほかに生きる道のない結は、自らの不器用さを恨みながら、お夕のもとで修業に励む。だが、贅沢を戒めるお上は、女髪結いの取り締まりを厳しくするばかり。はたして師弟は江戸の女の幸せを守りぬけるのか!?