2016年1月発売
そして遂に復讐の時がきた。フレメンの一員と認められたポールは、その超常能力から、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場になっていた。ハルコンネン家の圧政とポール指揮下のフレメンの反撃に、惑星アラキスは揺れる。状況を危惧した皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れ、再び惑星へと降り立つが…。映画化・ドラマ化され、生態学SFの先駆けとしても知られる伝説的傑作。
十二頭の竜が守護する“天竜の帝国”では、竜の声を聞き、自然を操ることができる十二人の“竜眼卿”が皇帝に次ぐ権力を持っていた。隠れた力を見いだされた少女イオナは、男装してイオンと名乗り、男子のみが参加を許される次代の“竜眼卿”を選ぶ儀式にのぞむため鍛錬を積んでいた。やがて儀式の日が訪れるが、彼女は妨害に屈してしまう。だがそこで、思わぬ竜の声を聞くことに…オーリアリス賞受賞の中華風ファンタジイ二部作開幕篇。
長らく姿を消していた幻の竜“鏡の竜”に選ばれて、“竜眼卿”の地位に就いた男装の少女イオン。だが、自分の真の名“イオナ”を叫べという“鏡の竜”の声を否定したために、竜と不完全な絆しか結べずにいた。そして、宮城のあらゆる人間が強大な力を目当てに彼女を利用しようと動いていた。そのなかで、イオンにさらなる試練がおとずれる…オーリアリス賞に輝いた、絢爛豪華な宮城で孤独な闘いに立ち向かう少女の物語。
18世紀英国。愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を作っていた。ある日、身元不明の屍体の情報を求める広告依頼が舞い込む。屍体の胸には“ベツレヘムの子よ、よみがえれ!アルモニカ・ディアボリカ”と謎の暗号が。それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。『開かせていただき光栄です』続篇。
1920年代、デンマーク。画家のアイナー・ヴェイナーは、同じく画家である妻グレタに頼まれて女性モデルの代理を務めたことをきっかけに自らの中に潜む“女性”に気づいていく。やがて“リリー”という女性として生きることを決意するアイナーを妻は理解し、献身的に支え、愛し続けるが…。世界初の性別適合手術に成功した人物の実話を基にした、切ない愛の物語。トム・フーパー監督、エディ・レッドメイン主演映画原作。
地球征服を目論むヴェンダリスタ星人とそれを阻止するウルトラの戦士たちは激しく衝突し戦力を削りあった。どちらの援軍が先に地球に到着するかで、この星の命運が決まるー。地球は勝敗が決するまで、ウルトラの戦士に希望を託しつつヴェンダリスタ星人にも服従の態度を示さねばならぬジレンマを抱えることとなった。政府は苦渋の選択のすえ、傷ついた宇宙船で東京近郊に不時着したウルトラの聖女を、建前上はヴェンダリスタと同等の侵略者と位置づけた。ウルトラの聖女もまた地球の事情を察し、その一帯を“光の国の飛び地”として侵略支配することを宣言する。巨大な壁に囲まれ情報と物資の供給が絶たれた小さな飛び地に、ヴェンダリスタはウルトラの聖女を倒すため次々と怪獣を送り込む。地球のために涙する聖女に心打たれ共闘を誓った少数の者たちは、中立の立場を崩さない政府によって国籍を剥奪され、地球人であることを捨てて極秘のうちに飛び地へ渡った。そのひとり、二柳日々輝もまた複雑な思いを胸に、光の国への扉をくぐるのだった…。
国難の幕末にあって、薩英戦争などで薩摩藩内で、大胆な発想と行動の異色の開明派志士として頭角を表わす。英国巡歴後、経営手腕と財政感覚で倒幕に貢献する。維新後は政界から実業界に転進、大阪商法会議所の設立を始め、大阪の発展に尽くした。大阪をこよなく愛した無頼派の旗手オダサクが“恩人”の生涯を描く決定版二作。
1961年、共産主義体制下の東ベルリン。反体制派の烙印を押された教師のレベッカは驚愕の事実を知らされた。夫の正体は秘密警察官で、彼女と家族を監視していたのだ。希望を失ったレベッカは自由を求めて西側へ逃亡をはかる。一方、公民権運動が広がるアメリカでは、黒人青年ジョージが司法長官補佐官として希望に燃えていた。人種差別撤廃のため政界に入り、みずから国を変えるのだ。そしてモスクワでは双子の兄妹ディムカとターニャが理想の社会実現を目指し奔走する…。激動の20世紀を背景に壮大なスケールで描く大河ロマン。
命がけの苦難の末、レベッカは西側に渡ることに成功した。だがやがて、巨大な壁が完成し、東側の家族との間を完全に分断する。一方、ケネディ大統領のもとで民主的な光が国を照らすなか、希望に満ちたジョージを予想だにしない展開が待ちうけていた。キューバが東西対立の焦点となり、一触即発の危機へと突入していったのだ。司法長官補佐官のジョージとモスクワで第一書記の補佐官を務めるディムカは、それぞれの立場から核戦争回避に向けて必死の画策を続ける。が、米ソの対立は激化し、全世界が死の恐怖でおおわれていった!
ほのぼのとした筆致の中に浮かび上がる人生の哀歓。週刊誌、新聞、大衆向け娯楽雑誌などに発表された短篇を新発掘。ユーモアとペーソスに満ちた未刊行小説集。昭和を代表する私小説家の、意外な一面も垣間見える短篇を多数収録。
正月の秋葉原で見つかった不可思議な死体。不自然に重たいその体内には、大量の小銭や紙幣が詰め込まれていた。連続して同様の死体が発見されるが、被害者の共通点は見つからない。藤堂比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」の面々は、警視庁の合同捜査本部でその「リッチマン殺人事件」に取り組むことに。そこに比奈子宛の怪しい電話が入り…。現代社会の闇が猟奇的殺人と共鳴する、新しいタイプのヒロインが大活躍の警察小説、第4弾。
北海道・旭川。高校二年の僕・正太郎の夏は、衝撃で始まった。差出人不明の封筒に入っていたのは、愛犬・ウルフの無残な写真。シリアルキラー、花房の仕業と確信したのに、聡明な櫻子さんは違うと断言。しかも当の花房から『ある娘を死から救って欲しい』と依頼が届き…。(「狼の時間」)ほか、内海巡査が遭遇した事故物件の怪(「午前四時のノック」)も収録。櫻子さんと正太郎の最強バディから目が離せない、大人気ミステリ!
不老不死温泉で殺人事件が起きた。重要参考人として、休暇で訪れていた警視庁刑事の酒井が連行される。弘前署から連絡を受け、十津川警部は青森へ。留置されている部下の話では、死亡した女性から誘われ、露天風呂に一緒に入ったはいいが、翌日には急に態度が変わったという。しかし解剖の結果、酒井が一人で露天風呂に入っていた時刻に、女性が死亡しており…(「死体は潮風に吹かれて」)。他、東北を舞台にした4編を収録。
時は、未だ関ヶ原の爪痕残る徳川の治世。身の丈およそ2メートル、岩を削りとったような剛健な肉体に異形の大剣を背負い、よろずうけおい人として旅をする男がいた。その名は万源九郎。金緑色の強烈な光が天空を疾り抜けた晩、源九郎は山中で赤い簪を拾う。だがその簪の持ち主である娘・舞を捜す忍びたちに命をつけ狙われることになり!?剣戟に忍術妖術入り乱れ、歴史を揺るがす壮大な物語が幕を開ける。唯一無二の時代伝奇小説。
異形の大剣を背にした大男・万源九郎は、豊臣秀頼の血を引く舞と、彼女を守る真田の忍び・申と共に江戸へ向かうことに。だがその道中では、妖異な術を操り、舞の命を絶たんとする伊賀者が次々と源九郎たちに襲いかかる。一方、最強の兵法者・宮本武蔵、蘇った佐々木小次郎、三種の神器を捜す益田四郎時貞もそれぞれの思惑を胸に江戸を目指していた。やがて彼らの前に異形のものが姿を現わし…!?圧倒的スケールで贈る時代剣劇。
ファシズム政権下で同性愛が禁じられている近未来の日本。ミチルは、公演中の落下事故で記憶と最愛の人を失った。秘密警察に追われ、収容所へ送られてしまうが、レジスタンスに助けられ、自分が何者なのかを問いながら巡礼路を歩き続ける。十字架を背負い、苛酷な運命に翻弄され、四国遍路からスペインの聖地へ。孤独な魂の遍歴と救済、壮絶な愛のかたちを描いた王寺ミチル最後の黙示録。文庫版のみ台湾版前書きを特別収録。
第一次世界大戦直後のロンドン。クールな青年医師デリックは、戦地で傷を負って以来、検死官として働くように。骨董店を営む兄のデューイとは、ある事情からすっかり疎遠な状態だ。そんな折、女優を目指す美しい女性が殺された。その手には、小さな貝ボタンが握られていた。幼なじみで童顔の刑事エミールに検死を依頼されたデリックは、成り行きでデューイと協力することになり…。涙の後に笑顔になれる、癒やしの英国ミステリ。