2016年2月発売
四月のある日、私は親友から年上の彼氏を紹介され、同席していた大学院生の飛木さんと知り合う。彼は、天神に向かう電車で出会った婦人の奇妙な行動や、高校の文化祭でのシンデレラのドレス消失騒動など、私の周りで起こる事件をさらりと解き明かしてみせる不思議な人だった。「飛木さん、どうしたら謎が解けるようになりますか?」福岡を舞台に贈る、透明感溢れる青春ミステリ。
ロンドン博物館が収集展示した貴重な図版と資料を中心に、ヴィクトリア朝後期のロンドンーーコナン・ドイルの生活から ホームズが歩いた町並みを活写。 見たことのない古き良きロンドンがここにある。
高矢は姉の部屋に忍び込み下着をあさることで性欲を解消していた。それが見つかり、姉から性に関するいろいろを教わる。しかし根付いた下着への執着は治まらず、近所の美人若妻・瞳の洗濯物を盗み、また返しておいたのだ。瞳に部屋に呼ばれ、下着泥棒のことで相談されるうちに怪しい雰囲気に…。青い欲望を描く官能エンターテインメント!!
時吉とおちよの旅篭付き小料理のどか屋に、結城の紬問屋の主従と称する二人連れが泊まった。なにやら商人らしからぬ二人は、のどか屋名物の豆腐飯の朝膳に「大旦那さまも、さぞやお気に召すだろう」といって、身支度をして帰っていった。桜の季節、時吉は野田の醤油醸造元から招かれ、息子千吉を連れて出張料理に出かけた。その折、足を延ばした結城で…。
下総稲月藩三万五千石の若殿・千太郎君は将軍家御三卿田安家ゆかりの由布姫との祝言を前に藩邸を夜逃げ。やがて若殿と姫は山之宿の弥市親分を助けて江戸の難事件解決に努力していた。そんな折、ふたりにイヌワシという刺客が放たれ、国許の稲月城下では若殿廃嫡の陰謀が…。久しぶりに城下に戻った若殿と姫は…。
虹夫は、高校時代の恩師・由希子の招きで彼女の故郷を訪ねていた。その町では「蜃気楼を見て人魚と接触した男は性的パワーが増強」という噂だった。夕方、早々に蜃気楼を目撃した彼は、謎の美少女と出会って昇天させられ、以降、彼の女性運は急上昇。由希子の叔母、その娘ー他と関係を重ねていくが…。人気作家による書下し官能絵巻!
高校デビューに失敗した中札内雲英。ひとりぼっち脱出のため声をかけたのは、同じくクラスで浮いている男子だった。放課後、彼がいる“幽霊部”へ訪れるとこれまで見えていなかったモノたちが見えるようになってしまってー!?
交際していた男性のプロポーズを、私、ミナ=アリス・原田は「父を置いていけない」という理由で拒絶した。私が五歳のときに死んだことになっている父、原田詩也は、不老不死の吸血鬼だ。母と出会い、恋に落ち……けれど母は、父のそばにはいられなかった。だから私が、ずっとそばにいる。そのために私はある決意をした。父を置いていった母に、負けたくなかったーー。 運命と別離、超克、そして永遠の恋。娘の視点から綴られる、ある吸血鬼の過去と現在の物語。
快進撃を続けるノエル軍。しかし、陰鬱な雨が止む気配なく、戦場には死臭が漂うーー。反乱、謀略、混迷する戦を前に赤髪の少女はただ前進する!!
震災のため原発4基がすべて爆発した!警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。想像を遙かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン!
天涯孤独の身の上で、波乱の人生を歩んできたお藤。縁あって任された口入屋を立て直すために商いを一新。常識はずれの勝負は、やがて江戸を揺るがす事態に…。人が持つ力を信じ、自らの道を信じ、人生を切り拓く姿が胸を打つ感動の長編時代小説。
十代の終わりに、ストーカーと化した元恋人に刺された過去を持つカナ。29歳のいま、裕福な年上の夫と幼い息子、仕事での充足も手にし、満たされた日々を送っていた。そこに、アメリカから姉一家が帰国。未成年の甥から、烈しい思いを寄せられる。危うさを秘めた甥との破滅的な関係は、彼らと、彼らを取り巻く人々をどこに運ぶのか。-空虚への抗いと、その果てにある一筋の希望を描く渾身の長篇小説。
最大の悲劇は、良心的な愚かさによってもたらされる。ベストセラー作家が全力で挑んだ、衝撃の問題作。平和な地を求め旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、理想的な国「ナパージュ」に辿り着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守って暮らしていた。だがある日、平穏な国を揺るがす大事件が起こるーー。著者自らが「私の最高傑作」と断言。大衆社会の本質を衝いた、G・オーウェル以来の寓話的「警世の書」。
正しいことを正しいと言って、何が悪いんですか! 史上最高に鬱陶しい主人公、誕生! 一流私大の法学部に在籍する女子大生「田嶋春」、通称タージ。曲がったことが大嫌いで、ルールを守らない人間のことは許せない。そのうえ空気は、まったく読まない。もちろん、友達もいない。そんなタージが突撃した「青春の謎」には、清冽で切ない真実が隠されていてーー。読めば読むほど、不思議とタージが好きになるかも! ?
自分の葬儀が、絶望と悲しみに染まることのないように。そして、愛で満たされるようにーー。舞台は1991年夏、猛暑のニューヨーク。亡命ロシア人で画家のアーリクの病床に集まる五人の女たち、友人たち。ウォッカを飲み祖国のクーデターの様子をテレビで観ながら決して平坦では なかった人生を追想する。そして、皆に渡されたアーリクの最期の贈り物が、生きることに疲れた皆の虚無感を埋めていく……。不思議な祝祭感と幸福感に包まれる中篇小説。
80年代ーー僕も時代も思春期だった。アメリカとソビエトは冷戦状態にあり、ドイツには壁があった。僕も時代も緊張していたし、成熟には程遠かった。そんな時に出逢ったのが、君だった。君から教えてもらったのは、僕になにが欠けているのかということだった。君が求めているものをさしだすために、僕がなにをすべきか、僕はようやく考えることができたんだ。その時、世界が僕をふりむいた。青い春が散り、僕は君の手をとって歩きはじめる。 遠い記憶をたどりながら語られる、昨日みた夢のような甘く切ない恋愛小説。