2016年5月20日発売
薬で二重人格化した男の苦悩を描いた怪奇小説『ジーキル博士とハイド氏』ほか、冒険・心理小説、紀行文と幅広いジャンルで活躍したスティーヴンソン。その厳選10編を新訳で収録!傑出した物語作者は今もなお我々を魅了する。
御家人から旗本に身上がるべく、目の前の仕事に励む若き徒目付の片岡直人。だが上役から振られたのは、腑に落ちぬ事件にひそむ「真の動機」を探り当てる御用だった。職務に精勤していた老侍が、なぜ刃傷沙汰を起こしたのか。歴とした家筋の侍が堪えきれなかった積年の思いとは…。折れた心の真相を直人が見抜くとき、男たちの「人生始末」が鮮明に照らし出される。正統派時代小説の名品連作。
なにが善で、なにが悪か。決めるのは、誰だ?崩壊した世界。恐怖や暴力が蔓延し、他人を信じることも難しい。罪だけ増え続けていた。そんな時代に、黒騎士は降り立つ。罪の浄化。悩める者の救済。数々の奇跡、圧倒的な力。神と呼ばれた男。命を狙う影。すべてが壊れた場所で、価値観をめぐる闘争が始まる。
その男は、女たちの心も身体もハダカにするー病のため6歳の頃の体型のまま大人になった俳優の朔也。彼は「誰にも見せない」という約束で、女性のヌードを撮影している。20代のフリーター、40代の介護士、そして30代の対照的な主婦二人…年齢も容姿もバラバラの女たちは、なぜ彼にすべてを見せたのか?心を閉ざした女たちが再び人生を取り戻す姿を鮮やかに描く、日常と格闘するすべての人たちへの応援歌。
嘘が充満し、盗みが横行。信じられるのは自分だけ。社会から弾き出された人間ばかりが住むシェアハウスで、わたしたちは友達になった。居心地わるくないかも。そう思い始めていた。だって、知らなかったしー。あんな人が、この世界にいるなんて。ハナシテ、イタイーねえ、わたし、餌になるために生まれてきたの?少女たちの友情と愚行そして後悔。つまり、青春の全記録。
祖父の死の直後、アレッサンドラは兄の親友クリスチャンになぐさめを求めてバージンを捧げた。彼はヨーロッパでもっともハンサムな富豪の一人で、派手な女性関係で有名だ。その彼に、一夜の情事で妊娠したと告げなければならないなんて。ところが、事情を知ったクリスチャンは結婚を口にした。彼は世間体と我が子を守りたいだけ。私を愛しているわけじゃない。それでも、屈辱に耐えながら申し出を受け入れるしかなかった。彼女には一人では子供を守りきれない事情があったのだ。
既婚男性に騙され、傷心のローラは田舎に帰った。村の小学校教師をしながら、祖母とふたりで暮らしている。そんなある日、祖母がおつき合いをしている男性の息子、アレッサンドロ・ファルコーネが訪ねてきた。彼は巨大グループ企業を統括するビジネス界の大立て者で、年老いた父親を、ロンドンに引き取ろうとしていたのだった。初めて会った瞬間から、ローラとアレッサンドロは惹かれ合う。田舎娘の何がアレッサンドロの気を引いたのかはわからないが、ローラは彼の熱い誘惑にさらされて…。
これは道ならぬ恋だったの?リリーは愕然とした。ずっと憧れていたベンと結ばれ、幸せいっぱいで迎えた朝、彼が別の女性と婚約したという記事を読んだのだ。ベン・ウォーレンダーは由緒ある領主館の跡取りで、わたしはその使用人の娘。もともと叶わぬ恋だったのよーリリーは彼がまだ眠っている間に、部屋から逃げだした。そして3年後。国外にいたリリーの前に、突然ベンが現れる。「ぼくたちの娘をほったらかしてバカンスか?」どうして娘のことを知っているの?リリーは恐怖に凍りついた。
アリーは若くして放蕩貴族の花嫁となったが、義母から跡継ぎの誕生を熱望され、心を病んでしまう。事故で不能となった夫の子を産むことなど不可能だったから。療養のためフランスの大叔母のもとへ身を寄せた彼女は、医師レミー・ド・ブリザと出会う。指輪は置いてきていた。レミーと激しく惹かれ合い、生きる喜びを見出したのも束の間、彼に身の上を知られ、激怒され、アリーは追い払われてしまう。義母は身ごもっていた彼女を責めるどころか、跡継ぎだと喜んだ。このままでは愛する人の子を奪われる…アリーはある決心をする。
父が莫大な借金を抱えたまま他界し、ドーラは16歳で全財産を失った。兄と力を合わせ懸命に生きてきた10年後のある日、彼女のもとに思いがけない知らせが届いた。父亡きあと人手に渡った屋敷がふたたび売りに出され、ドーラ兄妹の幼友達で実業家のコールが買い取ったという。かつて貧しい職人の子だった彼は、行方不れずの10年のあいだに持ち前の才覚で事業を成功させ大富豪になっていたのだ。昔から反目し合う仲の彼に思い出の屋敷を奪われるなんて…。さらにコールは、ドーラの兄の店に資金援助を約束する一方で、彼女に尊大に命じたー屋敷でハウスキーパー兼秘書として働け、と。
ある嵐の夜、救命室のナースとして働くエリーは、産気づいた従姉の出産を手伝いに行く途中で立ち往生してしまう。ずぶ濡れになって途方に暮れているとそこへ息をのむほどハンサムな男性が現れ、車で送り届けてくれた。ベンと名乗る彼は偶然にもドクターで、逆子にもかかわらず鮮やかな手並みで赤ん坊を取り上げた。その後、彼が同じ病院に勤めることになったと知り、これまで恋らしい恋をしてこなかったエリーは胸を高鳴らせた。想いは募り、やがて勇気を出して、あなたに恋したみたいと伝えると、彼は顔をこわばらせ、「戯言はやめてくれ」と愛の告白をはねつけた!
キャスリーンは事故で脚に大怪我をし、声楽家になる夢を諦めた。ところがある日、訪ねてきた音楽の師である修道院のシスターに強引に連れだされ、とあるオーディション会場へ向かうことに。後遺症のせいで長時間立つこともままならない私を、いったい誰が採用してくれるというの?ウエストエンドの劇場に着くなり、キャスリーンは驚いた。そこで待っていたのは、新進気鋭の人気作曲家モーガンだった。促されるままなんとか1曲歌い終えた彼女に、結果が告げられた。「僕といる限り、君には最高のレッスンを受けさせよう」翌日、キャスリーンは胸騒ぎを覚えつつ、彼の屋敷へ向かうが…。
なんて酷い男なの!先日の従妹の打ち明け話を思いだして、リーは怒りに震えた。マット・ヒュームー大会社の社長が、自分の部下を弄ぶような真似をするなんて。ふと、リーは目の前で食事を供にしている婚約者に目を移した。彼はとてもよい人だし、そんなことはしない。ただ最近は、リーからの愛情を感じられないと嘆いてはいるけれど。ひとりでレストランを出て、エレベーターに乗った彼女は、狭い空間に火花が散るような感覚を覚え、衝撃を受けた。奥に立つセクシーな男性の灰色の瞳から、なぜか目を離せない。次の瞬間、抗えない力に引かれて、リーの唇が彼の唇と重なった。
海辺のレストランで働くクレアはその週末、情熱に抗えずひそかに想いを寄せるハンサムな大富豪ヴィックと体を重ねた。だが避妊に失敗して3カ月半が経ったとき、体の異変に気づく。天涯孤独の彼女のお腹には、新しい命が芽生えていた。ずっと夢見続けた、愛する夫と子供のいる幸福な家庭。妊娠を打ち明ければ、彼はプロポーズしてくれるかもしれない。でも…それは義務感から。私を愛しているからではないわ。クレアは体調を案じる彼に嘘をついたー妊娠はしていないと。ところが、つわりに耐えながら働いていたある日、店で倒れてしまい…?!
アイサは、ある日仕事場に現れた人物を見て凍りついた。マーク!いったいなぜここに?6年前、アイサは世界的なジュエリー企業でCEOを務める彼と恋に落ちた。しかし、父が彼の会社の宝石を盗み、幸せな時間は突然終わりを告げた。マークに無惨に捨てられ、アイサは街を去ることを余儀なくされたのだ。今になって再会するなんてー消せない想いに、彼女は必死で背を向ける。だが、マークは容赦しなかった。逃がさぬとばかりに家まで追ってくると、“ずっときみを捜していた”とささやき、熱く力強くアイサを奪う。どうして私を求めるの…軽蔑しているはずでしょう?しかし、直後に突きつけられた冷酷な要求に、彼女の心は打ち砕かれた。
『奔放な公爵の改心』-巨万の富を誇るルーファスは数週間前に公爵の称号を受け継いだばかり。領地の管理人が夜逃げしたという知らせを受けて現地に向かったところ、森の池のほとりで若く美しい娘と出会い、思わずキスしてしまう。彼女が教区牧師の品行方正な妹アンナだとは知らずに。『大富豪の逃げた花嫁』-やり手実業家のジャックは、父の会社との合併目的で私に求婚したんだわ!花婿の不実を知ったメロディは式の直前に教会から逃げだし、静かなリゾートホテルにやってきた。心の傷を癒やそうと思ったのもつかの間、追いかけてきたジャックに妊娠を悟られ…。『赤ちゃんがかけた魔法』-シングルマザーのマリッサは育児講座でアレクと出会った。妻を出産時に亡くした彼は1歳の息子を一人で育てているが、仕事との両立は難しいという。アレクに育児の腕を見こまれ、マリッサは彼の家に住みこむことになったー恋愛関係は絶対になしという約束で。
勤め先の老社長ミスター・ローズが亡くなり、ベロニク・ドラクロワは弔問のためローズ邸を訪れた。広大な屋敷のビリヤード室に迷い込んだ彼女は、そこでブランドン・ローズと出会う。故人の息子で、彼女にとっては新社長となる、ハンサムな社交界の寵児だ。ベロニクは彼を慰めようと、ビリヤードの相手をしながら、自分も父がいないことを打ち明けた。父の名前を聞いて、ブランドンがキューを持つ手を止めたことには気づかなかった。以来、ブランドンはなにかと彼女に誘いをかけてくるようになる。ベロニクの心は躍った。王子様に見初められた、シンデレラの気分で。