2016年5月発売
奇妙な外観の埃及屋敷に、心霊科学実験のため集まった4人の男女。戦時中、密かに持ち込まれたエジプト遺物がひしめく地下で、館の主は首無し死体で発見されたという。本人たち曰く“腐れ縁”で結ばれたトリノのエジプト博物館学芸員のルカと、比較宗教学者の御子柴は、館に渦巻く不穏な空気と、不可思議な現象に立ち向かう。だがそれは忌まわしい悲劇の始まりにすぎなかった…謎と恐怖が織りなす美麗な館ミステリ・ホラー。
対馬市、航空自衛隊海栗島分屯基地。安濃の赴任と時を同じくして、中国の戦略型原子力潜水艦が日本海で原因不明の爆発事故を起こした。安濃を電話で呼び出した遠野真樹一等空尉は、驚愕した。安濃を名乗るこの男は、まったくの別人だ!!その頃、当の安濃は身動きが取れなくなっていた。核弾頭搭載潜水艦で起きた叛乱、拉致された自衛官。日本海を挟み高まる緊張、決死の攻防が始まった!大型ミリタリー・サスペンス。
記憶喪失を引き起こした落下事故には、大切な“あの人”が関わっていたー!?心に湧いた疑念に悩むつぐみは、記憶を取り戻し、真相に辿り着こうとする。一方、兄の恋人・雪乃に翻弄される奏多は、ある決意を固めるが、そんな矢先に…。「好き」を失って、本当の「好き」を見つける記憶喪失系青春ストーリー。
大好きだった彼女に会いに、過去の世界に飛んでいく。インタビューで出会った老作家の話はとんでもない話、のはずだったー早くも大反響の嵐!大人切ないタイムスリップ号泣ラブストーリー。
69752。ポーランド生まれの祖父の左腕には、色褪せた緑の5桁の数字があったーアウシュヴィッツを生き延び、戦後グアテマラにたどり着いた祖父の物語の謎をめぐる表題作ほか、異色の連作12篇。ラテンアメリカ文学の新世代として国際的な注目を集めるグアテマラ出身の鬼才、初の日本オリジナル短篇集。
世紀の怪盗“君主”として大仕事を手がけてきたジョナサンとルーのもとに、洋上に浮かぶ豪華客船からピカソの名画を奪還してほしいとの依頼が舞い込んだ。だが、いざミッション始動ーと思いきや、名画奪還は仮の名目。二人に課せられたのは、船内で虎視眈々と進められている、人類を脅かすある計画を阻止することで…!?五臓六腑をぶちぬく痛快アクション・ミステリー、第2弾!
十代の姉妹、サムとオリーは母を亡くし、オレゴンの田舎でテント暮らしをする父に引き取られた。ある夏の日、二人は近所の川に女性の死体が浮かんでいるのを見つける。すべての証拠は彼女らの父ー変人と周囲から疎まれる彼の犯行を物語っていた。無実を信じて危険な行動に出る姉と、多くを知っていながら口がきけない妹。そんな少女たちの背後に、狂気はひたひたと忍び寄っていた…。
暗澹たる倫敦、生きながら女の体を切断する凄惨な連続猟奇殺人が発生。ジキル博士の娘、エリザ警察医は難航する事件のみならず、彼女を魔女だと決めつけ執拗につきまとう美貌の軍人ラファイエットに悩まされていた。なぜならエリザには秘密があった。抑圧されたインテリ女史の裡に潜む、甘く獰猛な欲望。それは人殺しも男を犯すこともいとわない、悪意と嘲笑に満ちた兇悪な人格リジーの存在だった!
世にも名高き隻眼流ー将軍家指南役・柳生十兵衛三厳は、大僧正天海の依頼を受けて、信州“千吹藩”を訪れた。城下へ入る途次、彼は4名の武士の刃を全身に受けながら、彼らを撃退した女・沙也を目撃する。彼女は千吹藩に巣食う異国の魔性“血鬼”に血を吸われていたのだ。やがて十兵衛は絶世の美女ラミアなる血鬼が藩主・虚久を籠絡し、この藩のみか日本を、否、世界を魔性の支配下におこうと企んでいることを知る。月光の下で甦る死者たち。十兵衛の豪剣もラミアには通じない。彼とともに戦うのは城代家老・早船主水とその一党、主水の娘・多恵、長崎からラミアを追って来たという切支丹・益田四郎のみ。そして、宮本武蔵。だが、この大剣豪はラミアの口づけを受けて血鬼と化し、十兵衛との戦いを挑む。十兵衛も血鬼とした上で。万事窮すと思われたとき、とおに急逝したはずの弟、刑部少輔友矩が救援に駆けつける!風雲急を告げる信州の一藩で、人間・十兵衛の剣は魔性ラミアと血鬼・武蔵を斃せるのか?著者久々の吸血鬼ロマンにして時代小説の本道ーここに成る。
敵を求め炎上する“民意”の行き着く先は?蘇った“騎士”と、その行方を追う“探偵”。混沌と化す現代の群衆を、ドン・キホーテはどこへ導くのか?新世代SFの鬼才が人類と物語の未来を問う、21世紀型スペキュレイティヴ・フィクション。
人は誰でも死ぬときに思うはずだー死にたくない。それが寿命ではなく、不慮の事故や事件に巻き込まれての死ならなおさら…。現代日本で通り魔に襲われ、不遇の死を迎えてしまった青年は、本人のあずかり知らぬところで死神から余計な加護を授けられ、異世界へと転生する。加護を受けた男は“アレク”として第二の人生を歩むーはずが、今度は十三歳で盗賊団に殺され、あっけなく人生の幕を閉じてしまう。加護のおかげで生き返るも、望まぬ不死の身体に。アレクは理不尽に抗う力を求め、不死の身体を生かして魔力を増大し、魔法を学ぶ王立学園への入学を決意する。学園がある王都ゼルスの神殿で洗礼を受ける際に女神エテルノと出会ったアレクは『女神の祝福』の加護を授かり、不死族を召喚する『眷属召喚』の力を手に入れ…!?死にたくないという願いは叶えられた。その生の果てに、アレクは何を望み願うのかー。
前世の記憶を持ち、卓越した魔術技能を持つテオドール=ガートナーは従者のグレイス、男爵家当主のアシュレイとともに、迷宮都市タームウィルズで暮らしていた。第二の魔人を撃退し、王家の派閥争いを裏から操っていたローズマリーの陰謀を阻止したテオドールたちは、久しぶりの我が家へ帰還し、疲れを癒やしていた。だが、そんな安息の日々は長くは続く事はなく…、世界の秘密を知る少女との出会い、新たな第三の魔人の襲来によって儚く崩れて去ってしまう。そして、魔人の襲撃と呼応するかのように王家の派閥争いが再び巻き起こりー!?テオドールはまたしても王位簒奪を阻止するために動き出すが、渦中の事件の犯人であるローズマリーは北の塔に幽閉中。果たして、一連の事件の真の黒幕とはいったい誰なのかー!?転生×魔法バトルファンタジー、第4弾!
特級冒険者・グランとの戦いで見事勝利を手にしたルル。だが、二人の強大な力が衝突した余波で古族の防護障壁が故障し、イリスらが出場する準決勝は順延となってしまう。修理が完了するまでのあいだ、暇を持て余したルルは、訪れた冒険者組合でラスティ、オルテスと遭遇する。臨時パーティを結成した三人は、大量に発生した魔物討伐の依頼を達成するべく、アソオス鉱山へ。慎重に鉱山の調査を進めるなかで、ルルはかつて教会で出会った神官のモルガンと再会する。ひとり魔物と戦っていた彼女の目的もまた魔物討伐であることを知り、ルルたちと行動を共にすることに。順調かと思われた探索だったが、深部で魔物と冒険者を使った実験の痕跡が残る研究室を発見してしまう。そして現れた、自らを“古代魔族”と名乗る研究者、ベルンフリート。世界を一変させかねない危険な研究を止めるため、ベルンフリートに挑むルルとモルガンだったが、一筋縄ではいかない戦いを強いられてしまい…!?
9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキをひと口食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認めたくない母の感情、母の内側にあるもの。以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまちわかる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるその才能を誰にも言うことなくー中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いてーローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結びつける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。
回り道を通してしか、見えないことがある。仕事にも、人生にも。未知の経験を求めて転職した女と社命を帯びて出向した男が、会社の“闇の奥”に見つけ出したものとはー?仕事とは何か?を問う、文学の新たな試み。傑作長篇小説!