2016年5月発売
長野県安曇野のホテルで、東京都新宿区在住のイラストレーター早見有希世の他殺体が発見された。彼女は、安曇野の優良企業であるアイケ理研の社長・笛木岳彦の支援を受けていたという。痴情のもつれか?しかし、笛木は彼女の死亡推定時には京都の出張所にいたはずだというのだが、出張所を訪れた様子はなく、行方不明となっていた。笛木は、京都にも愛人を囲っており、彼女の故郷である高野山に潜伏している可能性が浮上するが…。そして新たな殺人が!?道原伝吉シリーズ、書下し長篇山岳旅情ミステリー。
宝暦十一年(一七六一)、遠山弥吉郎に主君を誑かす不届き者・丸屋を闇討ちせよとの密命が下る。弥吉郎は正義のため、そして家禄の引き上げのために、難題を引き受ける。しかしそれは謀略だった。妻子とともに江戸へ逃げることになり、並々ならぬ貧苦に揉まれ、ただひとつ譲れぬものを見つめなおそうとする弥吉郎だったが…。魂震える時代小説超大作!
フランス・ロマン主義を代表する作家ユゴー(1802-1885)が、1482年のパリを舞台に中世の社会と民衆の風俗を生き生きと描く。醜い鐘番のカジモド、美しい踊り子エスメラルダ、陰鬱な司教補佐クロード・フロロ。“宿命”によって翻弄される登場人物たちが、愛や情熱や嫉妬といった感情のドラマを繰りひろげる。
大切な人の死を知る度に、時計の針は何度でも過去へと巻き戻る。「親友や家族が世界から消失する」というあまりにも大きな代償とともに。幼馴染の織原芹愛の死を回避したい杵城綜士と、想い人を救いたい鈴鹿雛美だったが、願いも虚しく残酷な時間遡行は繰り返される。雛美が頑なにつき通していた「嘘」、そしてもう一人のタイムリーパーの存在がループを断ち切る鍵となるのか!?
剥製や化石がところせましと並ぶ、廃校になった小学校。そこに住まう謎多き生物学者・片倉信也のもとに持ち込まれた「廃墟の殺人鬼」の目撃情報。好奇心を掻き立てられる夏休みの事件に夢中になる子供たちだったが、家族関係に悩む転校生の圭太だけは金切りバサミを手に、心に秘めた思いを人知れず行動にうつすことを決意していた…。「思い込み」が招く驚愕のラストとは!?
山形、東京・渋谷、沼津、川崎、千葉・館山、大阪・西成区、茨城。巨大暴力団の内部抗争は、他の暴力団組織にも飛び火した。警察組織にも多数の殉職者を出していく。飛び交う銃弾、燃え上がる警察車両。戒厳令状態になった日本を、ふたりの男は、それぞれの過去にケリをつけるため疾走する。
京都市にある自傷患者専門クリニック兼自宅が全焼。精神科医・山之内一蔵が焼死体として発見され、妻・和代の行方が分からない。警察は山之内の患者であった連続放火犯に疑いの目を向けるも決め手に欠ける。自殺か、それとも妻が犯人なのかー。様々な推理と憶測が飛び交い捜査が難航する中、下京署の刑事・片岡真子は山之内医師周辺のある事故を手がかりに、思わぬ着想で犯人を追い詰めていくが…人間の“情”に迫る、渾身の長編警察ミステリー。
太平洋に浮かぶ美しい島ミクロ・タタに、泉の守り神である愛くるしい両生類が棲んでいる。ジョージはその生物に魅入られるが、隣りの島に移したところ、夥しい数の死体となってしまった。同じ頃、父や同僚たちが真っ黒で俊敏なトカゲのようなものに襲われ、ショック状態に。口中に細菌を持っているのだ。広がり続ける被害。しかしこれは始まりに過ぎなかった…。美しい島を襲うバイオハザード。名手が描く生物パニックミステリー!
元の世界に戻る日がいつになるのかわからないまま、過去の世界のマーキス島で暮らす医学生の西條遊馬。いまの生活にも慣れてきた矢先、姫王子ヴィクトリアの結婚話がもちあがった。大国アングレからの申し入れだから、断るのは難しい。だが簡単に受け入れるわけにもいかない…。王であるロデリックが見出した答えとは!?そして遊馬は唐突に決断を迫られることに!
夜見坂少年が先代から引き継いで営む金物屋では、まじないや憑き物落としの相談も受けている。やけに老成した彼によると、不本意ながら副業である「まじない屋」の方が繁盛しているらしい。男爵家の令息で医学生の千尋は、自身が絡む呪いの一件で彼と知り合い、なんとなく関係が続いている。そんなある日、千尋は夜見坂少年の副業を手伝わされることになり…?
美貌の敏腕宝石商・リチャード氏の店でバイト中の正義。氏の鑑定眼はますます冴え渡り、日々厄介な謎が持ち込まれる。本日老舗バレエ団から依頼されたのは、死んだバレリーナの呪いがかかったエメラルドのネックレスの謎鑑定。リチャード氏がエメラルドから導き出す意外な真相と石に秘められた想いとは!?宝石に宿る人の心の謎を解き明かすジュエル・ミステリー!
森若沙名子、27歳、経理一筋5年。きっちりと働き、適正な給料は自分のために使う。完璧な生活、のはずだった。だがその日、営業部のエースが持ってきた領収書「4800円、たこ焼き代」が波乱を呼び…!?
事故で両目の視力を失った蒼。角膜移植さえすれば、見えるようになるーそう思うと、むしろ何事もやる気になれない。二年が経ち、高校もやめ、漠然とした不安のなかにいる蒼に声をかけてきたのは、友希という女子大生だった。ふたりは惹かれあい、恋人になる。直後、蒼は移植手術を受けることに。だがそれは友希との別れを意味していた…。せつなく香る、恋の物語。
口下手だけど、頭の中はぶっとんだ妄想でいっぱいな木絵。ある日、異動してきた名門「高台家」のイケメンエリート・光正にデートに誘われ、トントン拍子で婚約者に!?しかし、高台家の人々には秘密があった。それは彼らが人の心を読めるテレパスであるということ!愛する光正に妄想が筒抜けであると知った木絵は…!?注目コミック原作の映画を完全ノベライズ!
不仲に思えた両親の絆、亡き妻への秘めた思い…時計店には今日も人々の「思い出」が持ち込まれる。そんな中、秀司が作ってくれているドレスウォッチの完成が近いと聞き、喜びとともに複雑な気持ちになる明里。秀司の元に、スイスの時計工房から手紙が届いているらしいからだ。ともに商店街で暮らす未来を夢見つつ、本当は秀司がスイスで修業を続けたいのではないかと悩み…。ついに完結!
「わしはずっと八月を、くり返してきたんじゃ」。急性骨髄性白血病で自宅療養することになった亮輔は、中学のときに広島で被爆していた。ある日、妻と娘は亮輔が大事にしている仏壇で古びた標本箱を見つける。そこには前翅の一部が欠けた小さな蝶がピンでとめられていた。それは昭和二十年八月に突然断ち切られた、彼の切なくも美しい恋を記憶する品だった。第26回小説すばる新人賞受賞作。
父の逮捕から二年、高見陽介は高校進学を機に札幌の養護施設から仙台の寮に移った。イケメンで成績優秀な中本、画家志望の菅野、中国人留学生の周ら、個性豊かな同級生と共同生活を始めた陽介だったが、実行委員の一人として臨んだ九月の学園祭当日、体験したことのない巨大な地震に襲われてー。友情、恋、親子の葛藤など様々な想いを抱えるなかで少年は大きく成長する。人気シリーズ第三弾。